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パイナップルの贈り物(2)「持続可能性」の実現はワインにあり!

パイナップルの贈り物(2) 「持続可能性」の実現はワインにあり!
authored by 八木夏希早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科4年 ロンドン大学東洋アフリカ学院

八木夏希のパイナップルの贈り物

15年間、村を支え続ける「TORUWU」

 Kikajjo(チカジョ)村に到着後の1週間は、女性の自立支援を行うNGO「TORUWU」の全体像を把握することから始まりました。知れば知るほど、いかにTORUWUの活動が村の人々の生活に根付いているか驚きの連続でした。TORUWUの活動の幅と重要性は、私の想像をはるかに超えていました。女性の自立支援(スキルトレーニングやグループ貯金)から、貧しい子ども達のための小学校建設・運営、そして20世帯への水の供給に至るまで、この小さなNGOが村の公共インフラの担い手となっていたのです。

 この活動は全て、設立者Augustine,Sophieをはじめとする、熱い志を持った方々の15年間の凄まじい努力の結果です。「私たちは何かをしたいし、しなければならないんだ。幸運にも、私たちは十分に与えられた者だから」。Augustineの言葉は、心に大切に留めてあります。もちろん、政府の公共サービスの欠如は改善されるべき課題ですが、その現状のもと、草の根で挑戦し続ける方々の姿は本当に尊いものでした。

女性の自立支援活動。村の女性グループ

これだけは譲れない。プロジェクトの持続可能性

 開発途上国で現地の人々と活動するにあたって、私にはどうしてもこだわりたい哲学・信念がありました。それは「持続可能性」です。私はこれを、「そこに既にあるものを活かして、人々や環境を傷つけない、シンプルなもの」と定義しています。この持続可能性を実現させるために、絶対に必要なことがありました。

 1つ目は「八木無しの原則」。つまり、私がいなくなっても効果が持続することです。プロジェクトの持続性のためには最重要です。どんなにTORUWUが大好きでも、いつか私は帰ってしまいます。だから、現地の人々だけでできることを、私は手伝うだけでいたいと思いました。もしプロジェクトが十分に持続的であれば、TORUWUはきっとそれを続けてくれるという信頼もありました。TORUWUの15年間はその証明だと思ったからです。

 2つ目は、人々がもっている既存の宝物をありがたく使う、という点です。複雑で、かつコストのがかかることは、生活の一部になかなかなりません。難しいことを習慣化しようとして、3日坊主になってしまうのはあたりまえですよね。だから、「そこにあるものを、そこにいる人々の力・やり方で」実現することが持続可能性には重要だと思いました。

 また、そうすることによってウガンダにいかに素敵なものがあり、それは他の国の人にも伝わっているよ、ということを現地の人々に証明したかったのです(現地の人々は毎日の食べ物やお天気にとても感謝し、誇りをもっていましたが、私は他の国でもその価値は変わらないことを伝えたかったのです)。

「私無し」が一番いい

これだ!! 一口惚れのパイナップルワイン

 パイナップルワインを初めて味見した時の感動は忘れられません。赤みがかった琥珀(こはく)色で、とってもフルーティな香り。でも味はドライで甘過ぎない。正直、どんな味なのか半信半疑でしたが(笑)、「えええ!? おいしい!!」の一言につきました。文字通り「一口惚れ」でした!

 この"Wine of Cana"プロジェクトは、女性の自立支援とNGOの持続的な資金源として、2003年に始まりました。Sophieがワインの作り方を学び、村の女性達と生産をし始めたそうです。しかし、利益をどう還元し、どう再生産するのか、明確な事業計画はありませんでした。現在は規模が小さく、「お金に余裕があるときに生産する」というスタイルで続けられていました。

 課題はあるものの、このパイナップルワインはまさに、私の探していた「持続可能性」をもっていました。ワイン造りのスキル・原料・作り手の力は、全て現地に既にある宝物です。特に、赤道直下の太陽を浴びて育ったパイナップルは、最高においしいのです。そして何より、シンプルに、ワインがとってもおいしいから、もっと多くの人に知らせたい、飲んでほしい!「このワイン、最高です。このワインのプロジェクトを刷新して軌道に乗せたいですね!」TORUWU到着後、早くも5日目くらいには、AugustineとSophieと合意に至った記憶があります。これが、私とパイナップルワインの出会いでした。

 次回の記事では、持続可能なワインの事業計画作り、ファンドレイズの挑戦をお伝えします!