入社先、もしかしたらブラック企業?
半年以上は勤め、転職活動を

新卒で入社した企業がいわゆるブラック企業だった場合、どうしたらよいだろうか。
まず、常軌を逸したような過酷さ、たとえば社内で暴力が横行していたり、過労死基準以上の長時間労働を強いられたりするような場合は、ためらうことなく、地域の公的機関や無料の司法サービスなどに相談すべきだ。
問題はそこまではいかないグレーゾーン企業だったときだ。目標やノルマが厳しい、上司や同僚の言葉にとげがあるといったたぐいのもの。このくらいだとたぶん、多くの新人は「自分が悪い」と思ってしまう。そして「入社早々辞めた根性なしでは、次の仕事など見つからない」と転職にも二の足を踏む。
そこでいくつかアドバイスしておきたい。
実は、日本の社会は若年者の転職には意外と好意的だ。統計の残る1970年代からずっと、大卒3年離職率は3割程度で推移している。好景気だと、彼らは第二新卒と呼ばれ、求人もかなり増えるので、想像するほど転職は厳しくはない。
もう一つ。グレーゾーン企業というのは、地元や人材業界に携わる人々の間では、その社名がかなり知れ渡っている。だから「ああ、あの会社ね。それなら君が悪いわけではない」というフォローをしてくれたりもするのだ。
とはいえ、すぐ辞めるのではなく、半年以上は勤めてみて、学生時代の甘さを払拭したところで転職する、という目標を持ってみたらどうだろう。
入社してからGWまでは、研修などであっという間に過ぎてしまう。梅雨を迎えるころ、本格的に辛さが募り始めるだろう。そのときは夏休みを目標にするとよい。
夏休みになり友人らと会うと、他社の状況もわかり、本当に辛くなってくる。そのときは、10月1日を2つ目の目標としよう。ここからは有給休暇が発生する。いやなら休めるのだ。有休など許可しないといわれたら、欠勤も辞さない覚悟で臨もう。辞めてしまうなら怖くもないだろう。
同時に、このころから転職活動を始めるとよい。転職にはけっこう時間がかかる。10月に活動を開始した場合、次の会社に勤め出すのは、早くて年明けから、と考えるのが現実的だ。この間、もし業績が上がらず、上司に怒鳴られ続けるようであれば、欠勤を続けてもよいだろう。
そうして1年弱、こんなハードな環境で耐えられたならば、次の会社は天国に見えるはずだ。そのころには、学生時代の垢(あか)もすっかり落ちているだろう。
(雇用ジャーナリスト)[日経電子版2016年2月22日付]
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