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これまでの5年、そしてこれから(4)緊急支援から長期的な復興に向けた活動に変わった2年目

authored by 特定非営利活動法人 Youth for 3.11
これまでの5年、そしてこれから(4) 緊急支援から長期的な復興に向けた活動に変わった2年目

 2012年度Youth for 3.11代表を務めた島田悠司です。震災から2年目の2012年、私はYouth for 3.11の代表に就任しました。当時、被災地は2年目を迎えることもあり、少しずつ現地のニーズの変化に伴い、ボランティア活動自体も変わり始めているところでした。

現地のニーズに合わせて提携団体と協業

 震災直後の緊急支援の際には、現地の被災者の方々の生活を守るような活動として、支援物資の配布や、炊き出し、緊急度の高いエリアのがれき撤去等、ハード面の活動が主でした。それが2年目を迎え、少しずつ緊急支援から長期的な復興に向けた活動にシフトし、現地コミュニティの支援等のソフト面での活動が増えておりました。現地の変化に伴い役割を終えて撤退する団体もありましたが、Youth for 3.11は設立当初から現地のニーズに合わせて提携団体と協業しながら活動していたため、新たなニーズに向けて別の団体と提携して派遣を行い、活動を続けておりました。

 震災直後はメディアで繰り返し現地の状況が人々に伝えられることもあり、甚大な被害を被った東北の被災地と被災者の方々に対して、少しでも役に立ちたいという想いを持った学生たちが、日本全国各地から次々にボランティア活動に参加してくれていました。しかしながら、2年目になり、どうしても風化してしまう人々の意識や、ボランティアの減少の一方で、現地はまだまだ復興に向けて活動の継続が必要とされていました。

 元々震災以前から、過疎化が進んでいるエリアだったこともあり、仮設住宅に入居している高齢者の方々も、津波や原発などの大きなショックを抱えたまま、先の生活が見えない不安や、孤独を抱えている方が多くいました。また、震災で仕事を失ったことにより、子育てに不安を抱えている保護者もいました。また、学校だけでなく、進学のための学習支援を必要としている子供たちも多くいる状況でした。他にも様々なニーズは存在し、そのすべてに対応できないほど、現地は変わらず複雑で膨大な問題を抱え続けたままでした。

活動した学生が社会人になって再び現地に

 そんな中、Youth for 3.11は運営メンバーや活動場所、活動内容を変えつつも、派遣を続けることで、たくさんの素晴らしい出来事がありました。世間では風化していくことが問題視されつつありましたが、元々ボランティア活動を全くしたことがない学生が、震災を期に、何度も現地の足を運びボランティア活動をしていたり、1年目に活動をした場所に、今度は社会人になって旅行に訪れ、現地の方々に会いに行く若者も多くおりました。

 学生という将来を考える時期に、様々な問題を抱えている被災地でボランティア活動したことによって、社会に当事者意識を持つようになった人がたくさんいました。団体のボランティアに参加するだけではなく、ともに活動をした仲間と一緒に新しい団体を立ち上げて活動を継続する学生や、大学を休学して現地に長期間滞在する学生、中には東北で生きることを決め卒業のタイミングで現地に移住する学生までおりました。

 ボランティア活動の意義は、もちろん現地の様々な課題を解決するための活動であることは1番ですが、それ以外の様々な価値も同時に生んでいることがわかりました。これからの社会を担っていく学生が、当事者としてそこに向き合うことで、自らの人生を再考し、生き方や価値観が大きく変わることがたくさんあります。

震災を経験し、福祉・教育の仕事に

 私自身も震災がなければ今の福祉・教育の仕事に就くことはありませんでしたし、一緒に活動をした仲間の中にも、そのような変化があった人がたくさんおりました。また、震災以後にも日本各地で様々な水害や豪雨等による被害がありましたが、そう行った際に東北での活動ノウハウを生かし、Youth for 3.11でボランティアを募ると、集まってくれた学生たちは、過去に東北のボランティアに参加してくれた方々ばかりでした。

 思えば確かに東北で出会ったボランティアの人々の多くは、阪神大震災の時に現地にボランティアをした人が多くおりました。そう考えると、今回のボランティア活動でたくさんの学生が現地で活動をしたことは、将来必ず起こる災害の際に、また必ずボランティアとして被災地を訪れ、きっと役に立つはずです。学生が現地で活動すること自体が、将来の災害の力になることを確信しました。

 そして、Youth for 3.11としては、今回の震災と被災地での活動を通じて得た知見を、今後も生かしていくために、東北以外にも学生の力が必要な場所に派遣を行うようになり、今でも東北や地方に学生を派遣をしています。ボランティア自体が日本の様々な社会問題の解決の一助となり、またそこで活動した若者が、また将来の社会をより良くしていく存在となることを願っています。

3月に訪問した現地では

 震災から5年が経った2016年3月、初めてボランティアとして活動をした気仙沼や陸前高田を訪れてみました。私にとって足を運んで色々考えを巡らせても、見られる情報は断片的です。それでも震災直後から少しずつ復興に向けて変化する一方で、海岸沿いを高く取り囲む防潮堤や沿岸部のかさ上げ工事、震災遺構が次々と取り壊されていく現実も目にしました。

 今でも現地住民の意見は割れており、議論が続いています。これから先、10年、20年と復興が進み、現地は変わり続けていくことと思いますが、直後だから見ることができたこと、5年目だからこそ見られる様子、そういったことを、自分自身で見たり感じたり、考えることができたのは、震災と、現地で活動することができたボランティア活動があったからこそです。これから先も自分にできることを続けていければと思っています。

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