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[ career-働き方 ]

留年などの過去が不安?
企業が見るのは今のあなた

authored by 上田晶美
留年などの過去が不安? 企業が見るのは今のあなた

 先日、ある男子学生が就職相談に来たが、母親も同伴だった。私は大学で就職講座を担当しているとはいえ、相談を受けるところがどんな場所か、怪しいところではないか、心配だったのだろう。

 親の勧めで来所する、または同伴で来る、もしくは親だけで相談に来るという例は多いが、そういった学生には一つの傾向がある。高校、大学生活がストレートに進んでいない人である。

 高校を中退し、高校卒業程度認定試験を受けて大学に入った、高校卒業と大学入学の間に何年間かブランクがある、大学で何年か留年している、転校している、などだ。

 その男子学生は2年留年していた。気にするほどの年数ではない。本人と話してもコミュニケーションに問題はなく、頭の回転も良い。十分に社会に適応して働けそうな人だが、親は心配なのだろう。

 学生本人も、留年の理由を聞かれたときに何と説明するかを悩んでいた。「本当のところはどんな理由?」と尋ねたが、本人もよくわからないらしい。大学に合格したものの、第1志望ではなく、何となく大学に行く気がしなかったというのだ。では、その間は家に引きこもっていたかというとそうでもなく、アルバイトをしてそれなりに充実した毎日だったそうだ。

 就職関連の調査によれば、学生の就職留年について「不利になる」と回答した企業は約30%だった。留年に関しては、7割の企業が気にしていないということがわかる。

 留年以外にも、小学生のころいじめにあったことや、中学生で不登校になったことなど、大学を卒業する就活の時点でも、幼少期などの過去を不安材料に思っている学生が意外と多い。企業側はそんな過去のことまで遡って調べようとは思っていない。人間は成長とともに変わるもので、数々の経験を経て現在に至っている。幼少期のことよりも、現在の学生の人となりを見ようとしているからだ。

 就活は結婚とは違い、ワークライフバランスでいえばワークの部分の話だ。ライフのことまで全てを把握しようとは思っていないし、またできない。期待通りの仕事をしてもらえばそれでいいのだ。

 不安になる原因の一つに、詳しすぎる自己分析があるのではないか。過去の振り返りが多すぎる。過去といっても学生の過去は幼少期が中心のたかだか20年そこら。それよりもはるかに長い未来を見据えることの方が重要である。

 過去を引きずらないこと。企業は今のあなたを見ているのだから。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)[日経電子版2016年4月4日付]

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