面談、グループワークは選考なのか?
就活リポート2017(1)
就職活動が始まってから2カ月近く、企業の採用活動も本格的になってきた。4月下旬がエントリーシート(ES)提出のピークで、多くの学生はES執筆に追われている。ただ、経団連に加盟している一部の大手企業は、すでに選考(面接)を始めているところもあり、「6月1日選考(面接)開始」という今年の就活スケジュールはあってないようなものになりつつある。就活生の声を中心に、2017年春入社予定者の就職活動の進捗状況を見てみよう。
メガバンクの「面談」、もう3回!
都内の私立大学に通う男子学生Aさんはメガバンクの「面談」をすでに3回も受けている。「3月上旬の説明会に出席したら、すぐに大学別の座談会に呼ばれた」という。そこでは、学生が先輩行員に就活のことから仕事ことまでを質問するといった内容で、「選考の雰囲気はなかった」。ところが、次に企業側から案内された「面談」には、前回の座談会に参加した学生でも呼ばれなかった人がいたという。結局、何らかの形で選考があったということだろう。
Aさんは面談の様子を次のように話す。「面談者は一般の行員で、質問形式ではなく雑談といった感じ。ただ、志望理由を話したら行員の目の色が変わったので、選考のように感じた。6月まで面接をしないとしたら、面談はあと何回あるのか......。でも、呼ばれたら行くしかないし」。終わりの見えない面談に不安を感じていた。
ちなみに、Aさんの本命は総合商社。「周囲では総合商社の内定が出ているという噂もあり、実際どこまで進んでいるのか分からない」と、6月1日選考開始という建前と現実の動きの間で疑心暗鬼になっている。
エントリーしたら、グループワークに呼ばれた
都内の私立大学の女子学生Bさんは、大手電機メーカーにエントリーしたら、「企業を理解してしてもらうためのグループワーク」の案内が届いた。会場には、100人近い学生がおり、6人ほどのグループに分かれて成果を競い合った。優勝グループにはその日の夜に、就職支援として「模擬面接」の案内があったそうだ。
Bさんのグループは優勝できなかったが、優勝チームから数日遅れで模擬面接の案内がきたという。グループワーク当日には採用担当者から「選考には関係ない」という断りがあったが、実際には優勝チームが優遇されていた。「本当は選考に影響があるのではないか」と、グループワークに参加した他の学生との情報交換を欠かせない日々を送ってる。
Bさんは他にも、友人と同時期にESを提出したIT系企業の対応を教えてくれた。「私には選考結果は5月以降という連絡があったのに、友人はすでに面接の案内が来てる。何を信じていいのかわからない」と話す。Bさんは、このような企業の対応に人間不信に陥りそうだという。
内々定からオワハラまで!
面談ではなく、大手企業の面接を受けている学生もいる。都内私立大学の女子学生Cさんは大手企業の役員面接まで受け、結果待ちの状態。「インターンシップに参加した企業なので、選考が早かった」と振り返る。さらに、都内国立大学の女子学生はすでに大手生命保険会社からの内々定を得ている。ただし、これで就活が終了したわけではなく、本命企業のES作りに必死だ。
また、ある男子学生は「絶対に内々定が出ていることを言うな」と口止めされていると話す。その企業は経団連にも加盟する大手企業で、「就活を終えるかどうか早めに連絡をほしい」と言われている。すでに就活終了を強いる「オワハラ」が始まっているのだ。
就活生の現状は上記のように、「面談」や「グループワーク」といった実質的な選考を受けている人が多い。さらには経団連加盟企業から内々定をもらい、オワハラまで受けている人もいた。多くの就活生たちは6月1日選考開始という建前のスケジュールと別に、水面下で進んでいる選考に戸惑うばかりだ。
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