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「学歴フィルター」を乗り越える方法

就活の誤解(3)

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NIKKEI STYLE

就活には「学歴フィルター」があるといわれますが、実際はどうなのでしょうか。経済学や教育社会学などの研究では、就職活動の成果(学生が内定をいくつもらえたか、どの規模の企業に入れたかといった成果)にたいして、どんな要因が影響を与えるのか、長らく検証を続けてきました。

実はもっとも強い影響を与える要因は、個人の能力ではなく、「いつ就職活動を行ったか」だということがわかっています。たとえば就職氷河期といわれた2003年とか04年に就職活動を行った世代と、比較的好況期に当たる2013年とか14年に就職活動を行った世代とを比べると、明らかに後者の方が良い成果(総じて内定の数が増え、大企業へと就職を果たしている)をあげています。

就職活動の成果は、何よりも景気の動向とそれにともなう企業の採用意欲によって左右されるという、当たり前の結論です。これは個人の力ではどうしようもないですね。

就活生個人の要因を考えてみると、受験偏差値の高い大学や、知名度の高いブランド大学に進学したという「学歴」は、本当に就職活動の成果にプラスの影響を与えるのでしょうか。

「学歴フィルター」4つの理由

まず1つは、「学歴は本当に就職活動の成果に影響を与えるのか」ということです。これについては実際の就活生を対象とした調査が多数行われています。入試難易度に注目した調査では、入試難易度の高い大学を出た人ほど内々定を早期に獲得しやすく、内々定先の採用企業規模も大きいことがほぼ一貫して示されています。出身大学の入試難易度は、内々定先の企業の規模や内々定を受ける時期といった客観的な成果に対してプラスの効果を持つ、ということですね。

さらに、入試難易度の高い大学の出身者は就職活動を開始するタイミング自体が早いこと、またエントリー数や説明会参加数といったいわば就職活動における活動量も多いこと、そうしたことがさらに、就職成果にプラスの影響を与えていることもわかっています。

仕事をする能力と勉強をする能力とは全く同じではないようにも思えるのですが、にもかかわらずこれが就職活動の成果につながっているとしたら、それはなぜなのでしょうか。

これにはいくつかの説があります。1つ目の説は、入試難易度の高い大学の学生は、そこに入った時点ですでに高い能力を持っているから、就職活動でも高く評価されるという説明です(入学試験万能説)。

2つ目は、入った時点で差がついているというよりも、入学後に差がつくという説です。難易度の高い大学では他に比べてレベルの高い教育が行われているから、そうした大学を出た学生は他の学生よりも高く評価されるだろう、ということです(能力伸張説)。

3つ目は、学歴が優秀さの代理指標として使われているという説です。難易度の高い大学に入ることと実際に仕事ができることは別物であり、就職活動の時点で人材としての優秀さを明らかにすることなどできない。だとすれば、入試難易度の高い大学を出た学生を採用しておけば無難だろう、ということです(シグナリング説)。

最後は、人脈です。入試難易度の高い大学は、過去に大企業や人気企業に多くのOB・OGを送り出しているから、そうした大学に通う学生はOB・OGの人脈を就活において活用でき、その結果、他の大学よりも有利に就活を勧められる、という説です(OB・OG説)。

これらはあくまで仮説であり、実際にどれが正しいのかということに関して、専門家の間でもまだ決着はついていません。現実にはこれらすべてが渾然一体となっているのでしょうが、実際に採用を行う企業の人事担当者の中には1つ目の「入学試験万能説」と3つ目の「シグナリング説」をセットで信奉している人が多いように思います。「大学入試のできと仕事の優秀さとは完全には一致しないだろう。ただ、大学入試が個人の能力をある程度正確に測っていることも事実だ。実際に仕事をさせたことがない学生を採用する以上、入試難易度という指標は、ベストとは言えないがベターなものではあるだろう」というわけですね。

志望業界を変えた学生は成功しやすい?

では、どうすればよいでしょうか。今さら高難易度の大学に入り直すのは現実的ではありません。もちろん、就職活動の成果は、なにも学歴だけで決まるわけではありません。たとえばある調査では、「多くの企業に資料請求する」など、就職活動へと積極的に関与すること、「ゼミナール活動や大学での人脈作り」など大学生活へと積極的に関与することもまた、就職活動の成果に対して重要な影響を与えることがわかっています。所属する大学の入試難易度は、就活生にとってどうすることもできない制約条件ですが、就職活動や大学生活については、個人の努力次第でコントロールできます。

もう1つ注目されるのは、「志望動機」です。ある調査によると、就職活動の開始段階において多くの学生がマスコミや金融業といった一部の業界を志望しているが、大部分が就活途中で志望業界を変更します。そして当初の志望業界に固執するよりも、むしろ現実の状況に合わせて柔軟に変更した学生の方が、最終的な就職成果(内々定獲得時期の早さ、内々定数)が良いという結果が出ています。

大学生が就職活動中に志望業界を変えることは決して悪いことではなく、むしろ就職活動中にいろいろな情報を得て、自分の頭で考え、反省し、当初の情報不足や認識の偏りを修正されていく、学びのきっかけになっていることを示しています。そうした経験が、学生の「就活力」を向上させたと考えられるのです。

とはいえ、当然ですが、こうした調査はあくまで、「就職活動の成果」に関わるものでしかない、ということも重要です。ある調査では、大学の入試難易度は就職活動の成果に対して影響を与えるが、入社後の活躍や幸福度に対しては影響がみられない、という結果が出ています。

就職活動の成果は確かに学歴の影響がありますが、その先に、社会人として成功するか、幸せになるかについては、個人の努力と環境次第ということのようです。第一志望の企業に入社してもうまくいかない人もいますし、全く志望していなかった企業で力を発揮する人もいます。「就活がすべてではない」という言葉は負け惜しみではなく、真実が含まれているのです。

服部泰宏
1980年神奈川県生まれ。滋賀大学経済学部情報管理学科専任講師、准教授を経て、現在は横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授。専門は経営行動科学・組織行動論。科学的手法を取り入れて企業と人材のミスマッチを防ぎ、企業と学生双方にとってハッピーな採用を目指す「採用学」を提唱し、企業や学生とも共同で研究・活動を進めている。

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