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[ skill up-自己成長 ]

資格を取ろう(8)高齢化社会に欠かせない
医療・福祉という仕事

戸崎肇 authored by 戸崎肇大妻女子大学教授・経済学者
資格を取ろう(8) 高齢化社会に欠かせない医療・福祉という仕事

戸崎肇の資格を取ろう

 資格をテーマにした連載の最終回となる今回は、医療・福祉関係の資格を取り上げます。医師だけでなく、臨床心理士、理学療法士、作業療法士などさまざまな資格をみていきましょう。

卒業後、医学部に入りなおす手が

 この分野では、何といっても医師免許が中心となります。医学部人気は極めて高く、医師への道がとても狭くなっていることは皆さんもご存じでしょう。ただ近年は、社会人を対象とした入試も広く行われるようになってきました。理系の大学卒業レベルの試験内容となりますから、難易度も高く、募集人数も1ケタ台がほとんどです。しかし、高校卒業時とは違って医師を目指すモチベーションは全く違っているでしょうし、対策次第では合格するのも至難の技とまでは言えないと思います。もちろん、文系学部を卒業していても、しっかりと対策をたてれば問題はありません。

 現在、医師は地方で不足しています。先端の研究は都心部の大学が拠点となっているため、その近くで研究を続けたい、あるいは情報を得ていたいという医師が多いからです。また、分野によっても偏りがあります。24時間体制の勤務を強いられる産婦人科や救急外科、そして訴訟の対象となりやすい小児科などは医師が不足がちです。社会的需要が高いにも関わらず不足している分野を補っていくためには、社会人入試を受けて医師になろうとするモチベーションの高い人の方が適していると思われます。将来の選択肢として、改めて医師への道を考えてみるのもいいでしょう。

活躍する女性医師は多い

臨床心理学の専門家、臨床心理士

 臨床心理士も近年、人気が高い資格です。臨床心理士とは、臨床心理学の専門家としてカウンセリングを行い、人々の精神的問題の解決を図っていくものです。学校や病院、福祉関係施設などがその活動の舞台となります。試験は筆記と口述面接ですが、重要なのはむしろ受験資格を得ることです。臨床心理学を大学院で専攻し、修了することが主なルートとなります。その際、大学院によって種類分けされており、第1種指定大学院とされているところを修了すれば、そのまま受験資格が得られます。第2種指定大学院の場合には一定の心理臨床経験などを積まなければなりません。したがって、大学院を経由して臨床心理士の資格を得ようとするのであれば、どの大学院が自分にとってふさわしいかを慎重に見極める必要があります。

 なお、国立大学や放送大学などの大学院は受験者数も多く、相当難関の試験となっていますが、よく探せば比較的入りやすく、しっかりとした教育体制を整えている「お得」な大学院もあります。情報をしっかり収集し、分析して臨みましょう。

高齢化社会に欠かせない理学療法士、作業療法士

 高齢化社会に欠かせない存在となっているのが理学療法士、作業療法士です。理学療法士は身体に障害をもつ人に運動療法や低周波などを使った物理療法を行いながら、その機能の回復を図ります。作業療法士は、精神や身体に障害のある人に、手工芸や陶芸などの作業訓練をすることで、社会的自立ができるように指導・援助を行います。いずれも対象を高齢者に限るものではないものの、特に今後ますます高齢者の需要が増えてくることは間違いありません。

 試験は両者とも、一般問題と実地問題に分かれています。一般問題としては①解剖学、②生理学、③運動学、④病理学概論、⑤臨床心理学、⑥リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む)、そして⑦臨床医学大要(人間発達学を含む)となっています。理学療法士の場合には⑦に理学療法が、作業療法士の場合には⑦に作業療法が加わります。実地試験は①運動学、②臨床心理学、③リハビリテーション医学、④臨床医学大要(人間発達学を含む)の4つ。こちらも方でも理学療法士の場合には④に理学療法が、作業療法士の場合には④に作業療法が加わります。合格率は7割を超しており、しっかりと勉強すれば合格できる試験です。また当然ながら、これらの資格に関しても受験資格が問題となります。国が指定する学校あるいは養成施設において3年以上勉強する必要があります。ですが、やりがいのある仕事ですし、社会的に求められる存在です。これらの資格についても注目すべきです。

介護スタッフの需要も大きい

介護福祉士、社会福祉士は待遇に課題

 その他、高齢者の介護関係では、介護福祉士、社会福祉士、訪問介護員(ホームヘルパー)といったような資格があります。こちらは、労働負担と待遇面がつりあっていないといった不満の声が大きいのが現実です。第一線で高齢社会を支えるエキスパートとして、その重要性は否定できません。今後何らかの形で待遇の改善を図っていかなければ、この社会は維持できないものとなってしまうでしょう。国だけではなく、私たち自身がそのあり方を考えていかなければなりません。

 これまで8回にわたって「資格」について紹介してきました。世の中には本当に色々な資格があります。是非興味をもってどのような資格があり、自分に嗜好性にあった資格を見つけ、その取得を目指してみてください。それが新たな人生を開くことにもなるでしょうし、人生に潤いを与えることにもなるでしょう。ただ、単なる資格マニアにはあまりなってほしくありませんが。

連載【資格を取ろう】
「(1)英語試験では「英検」がお得?」
「(2)簿記やアナリストに挑戦しよう」
「(3)宅建、社労士なども有望」
「(4)教員免許や司書に注目する理由」
「(5)習得したいIT技能 情報社会を生き抜くために」
「(6)大学でパイロットになれるの?『乗り物』の将来性を考える」
「(7)ムリエや栄養士...飲食や流通で活躍するには?」

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