面接はここに注意しよう 「準備が8割」ってどういう意味?
生涯キャリアの選択肢(1)
このコーナーは2週間に1回、私が一橋大学で教えている「キャリアマネジメント」の授業(毎年300人が受講し満席状態が続く)をベースに、就活から始まる生涯のキャリアを展望していきます。皆さん、違う個性や強みを持っているので、それに合った就職先の選択をしてもらいたいという思いが常に私の原点です。
学生時代に力を入れたことは?
3年生はインターンシップの面接、4年生は採用本番の面接シーズンになった。あなたの攻略作戦は固まっているだろうか。私も面接はこれまでたくさんやってきた。また、採用面接官への調査も何度もやった。このコーナーを読んでくれた方に、直前エッセンスを紹介しよう。
採用担当から聞いた実際の面接での場面を再現する。大手企業の一次面接で、時間は25分程度。個別ブースにて、若手社員2人対学生1人。まず、ESに書いてあることから質問が始まった。この学生は、部活をメインに書いたので、質問はそこに集中した。
・部活の成果の中で自分がどのような役割を果たしたのか
・その中で特に組織に大きく変化を与えた経験について
・部活を振り返って、後悔している点、改善点は
次に、ESに書いてないことについての質問。
・アルバイトの業務内容の説明、苦労したこと
・アルバイトのなかで自分が工夫して残した成果
最後に、当社に聞きたいことがあるか。
わかりやすく説明できるか
こうして25分はあっという間に過ぎた。ここで問われるのは、自分の体験を第三者にわかりやすく簡潔に説明できるかだ。理系でESに専門のことを書いていた場合、「それを文系の面接官にいかにやさしく説明できるかで、仕事の能力がわかる」(面接官)という。また、そこであげた成果、教訓を相手に納得させられるか。具体的にどのようなことを考え、行動し、何の成果を得ることができたか。部活であれ何であれ、それが問われる。あなたの学生時代の取組姿勢は、入社後の仕事のシミュレーションになる。計画、行動、改善のサイクルを回しているか、体験から学ぶ力があるかが面接官の知りたい点である。この辺は準備8割、当日2割の法則で、いくらでも事前に準備できる。でも、丸暗記はだめ。会話力を問われているので、ライブリーに話すことが大事だ。それには文章でなく、キーワードを押さえておこう。
あらかじめ現場をみておこう
就活ノートには、OB、OGに聞いた面接官を喜ばせるような話や、その会社の中期経営計画へのコメントなど、面接で使えるネタがいろいろと書き込まれているはずだ。そこを復習する。足らないところはすぐ調べる。店舗を持っている会社なら訪問、個人向け商品を売っている会社なら直接見たり買ってみる。本当に入りたければ、リアルな実態を知りたくなるはずだ。中には店舗20店回った人やその会社のユーザー5人にヒアリングしていった人もいる。面接官だって、「そこまでやられたら、とるでしょう」となる。
一橋大学社会学部卒業後、東京ガス入社。ロンドン大学大学院留学、ハーバード大学大学院修士課程修了。中東経済研究所研究員。アーバンクラブ設立、取締役。法政大学大学院博士後期課程修了、経営学博士。東京女学館大学国際教養学部教授(キャリア開発委員長)、一橋大学特任教授などを経て2015年より三菱商事社外取締役。18年から立命館大学共通教育推進機構教授。人材育成、企業経営、キャリアデザインを中心に研究し、実践的人材開発の理論を構築。研修・講演は通算1000回を超える。ビジネスリーダーの生涯キャリア研究がライフテーマ。著書は計61冊。就活関係では「受かる!西山式内定バイブル」(小学館)がある。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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