面接当日に気をつけたい 6つのチェックポイント
生涯キャリアの選択肢(2)
前回は面接を受ける際の準備について説明しました。今回は面接当日の注意点について解説していきます。
好印象を与えられるか
面接当日の朝は、「いかに好印象を与えるか」をチェックしよう。自分が面接官なら、髪ぼうぼう、スーツがくしゃくしゃの人や暗い表情、声の小さい人をとるはずがない。面接は、入社後の顧客との対面シーンのシミュレーションにもなり、好印象は最も大切な要素になる。はじめの数分でその人の印象の8割が決まっていたという私の調査データがある。しかも、言葉の中身は1割しか印象に影響しない。
あなたの身だしなみや声、動き、表情、などが大きな要素になっている。いったん決まった印象が、あとで変わることは2割以下しかなかった。最初が勝負だ。ある面接官は、「入ってきて初めのトークで評価は終わる」という。第一印象、話し方や表情で、その人の持つ人間力のパワーがわかるからだ。
まず、簡単な身だしなみチェック。
□シャワーは浴びたか
□男子学生ならヒゲはちゃんと剃ったか、女子学生なら髪はちゃんと束ねたか
□シャツはぱりっとしているか、靴はきれいに磨いたか
続いて、準備。
□当日の新聞のニュース、(株式公開していれば)その会社の株価はチェックしたか
□就活ノート、ESコピーは持ったか
□面接会場へのルートを確認し、30分前に着けるか
会場に向かう最中にすること
そして、マインドアップ。
面接会場に向かっている間に、「自分は明るい人間だ」「今日の面接は絶対にうまくいく」と自分に言い聞かせ、テンションを上げよう。表情は明るく、声は大きく、動きはキビキビとに変える。ふだんのあなたは関係ない。企業は明るく元気な人を取るのだから、それになりきることだ。自分が会いたいと思うショップ店員の笑顔と話し方を連想しよう。
すべて見られている
面接会場に着くと、控え室に案内される。この前に携帯の電源は切っておく。部屋で見ている人が多いが、見ない方がいい。この会社が第一志望なら、それ以上の用はないはずだ。
その会社に入った時点から「面接は始まっている」と考えて、言動には注意しよう。実際、控え室での様子を事務職員が観察しているケースがある。「あの学生だけはとらないでください。ずっとスマホをいじっていて、『実は本命は他』と隣の人に話していたので」と伝えた女性社員もいる。
控え室では、就活ノートの確認をしながら、静かに待つようにしよう。こういう時の気持ちの集中はとても大事。これまでの準備のすべてをこの一戦に集約する。部活の試合の時を想えばいい。さあ、思い切り元気に、会場のドアを開けよう。相手とのオーラのぶつかり合いに勝てば、道は開ける。
そして、面接の終了後は一気にクールダウン。すぐ次にマインドを切り替える。今の面接は次の練習と思い直す。「説明が長すぎた」「面接ではもっとゆっくり話す」「このトークは受けたな」など、面接での反省点、改善点を書いていくと、次に生かせる。皆が20社受けるので、受かる確率は倍率1倍でも5%だから、落ちるのは当たり前。就活は継続力、忍耐力、そして改善力が問われるレースだ。
皆さんの奮闘を期待しています。
一橋大学社会学部卒業後、東京ガス入社。ロンドン大学大学院留学、ハーバード大学大学院修士課程修了。中東経済研究所研究員。アーバンクラブ設立、取締役。法政大学大学院博士後期課程修了、経営学博士。東京女学館大学国際教養学部教授(キャリア開発委員長)、一橋大学特任教授などを経て2015年より三菱商事社外取締役。18年から立命館大学共通教育推進機構教授。人材育成、企業経営、キャリアデザインを中心に研究し、実践的人材開発の理論を構築。研修・講演は通算1000回を超える。ビジネスリーダーの生涯キャリア研究がライフテーマ。著書は計61冊。就活関係では「受かる!西山式内定バイブル」(小学館)がある。
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