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シューカツ都市伝説を斬る!会社説明会「満員」に抜け道あり

authored by 曽和利光
シューカツ都市伝説を斬る! 会社説明会「満員」に抜け道あり

 リクルート、ライフネット生命などの人事責任者として20年以上、累計で2万人を超える就活生を面接してきた「プロ人事」、曽和利光さん。「学生は、根拠のない思い込みで失敗している」という曽和さんが、面接官の本音を語ります。今回は「会社説明会『満員』に抜け道あり」です。

 今年の就活は前年よりも短期決戦なので、経団連加盟企業の会社説明会が解禁となった3月からは、学生も企業側も異常なほどの忙しさになっていますね。学生は説明会に参加する日程もぎっしり詰めて、さぞや密度の濃い毎日だと思いますが、そこで参加の予約がとれないという悩みも聞きます。予約受け付けのウェブサイトで「満員」と表示されたら、もうあきらめるしかないと思っていませんか。実は「満員」といわれても参加する方法はあります。

無断欠席多く空席残る

 まず企業側の現状からお話ししましょう。全国の企業の採用担当者が、ほぼ例外なく困っていることが1つあります。何だかわかりますか? 説明会を無断欠席する学生が異様なまでに多いんですよ。有名企業の会場でも、何と2~3割は空席が残っているのが当たり前です。

曽和利光(そわ・としみつ) 1971年生まれ。 京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新報社)、「『できる人事』と『ダメ人事』の習慣」(明日香出版社)などがある。

 担当者にとっては、学生の出席が少なければ、登壇してもらう幹部にも申し訳が立ちませんよね。「きょうは社長を呼んでいるのに、集まりが悪いぞ」なんて冷や汗を流している姿が目に浮かびます。そこで、100人規模の会場だとすれば、200人は予約を受け付けるようにするわけです。それでもふたを開けてみれば、出席は70人そこそこだった、なんてことが相次いでいます。会場があふれかえったなどという話は、ついぞ聞いたことがありません。

 これは冗談半分の話ですが、担当者同士の内輪では「無断欠席者のブラックリストを共有したいよね」なんて愚痴が飛び出ることさえありますよ。それほどまでに企業側は悩んでいます。パソコンやスマートフォンで簡単に予約できるので、無断欠席にも抵抗が少ないのかもしれませんが、せめてキャンセルの連絡ぐらいは入れたほうがいいでしょうね。ともかく、結局参加しないのに気軽に予約する学生が多いおかげで、本当に参加したい学生の枠が埋まってしまうこともままあるのが実情です。「学生の敵は学生」とでもいったらいいのでしょうか。

飛び込み参加は歓迎

説明会は「満員」でも、かならず余裕を持たせている。

 さて、そうなるともう答えは簡単ですよね。参加したい説明会が「満員」で申し込めなかったときにどうするか。そこで「やっぱり満席か」とあきらめてしまう学生がほとんどのようですが、とにかく飛び込みで行ってしまえばよいのです。予約サイトで日時や場所はわかるわけですからね。超人気の企業の場合、飛び込みの学生がキャンセル待ちのように列をつくることもたまにあるでしょうが、入場できないことはほとんどないはずです。

 私もリクルートの採用で経験したことですが、担当者は会場が超満員で収拾がつかなくなるのも困るので、普通は席に若干の余裕を持たせてあります。ましてや現状は無断欠席も多いので、さらに余裕はあります。その空席を埋める上でも、飛び込み参加は歓迎されるというものではないでしょうか。そもそも企業側にとって、そこまで積極的な学生を門前払いする意味はないですよね。今年のような、学生にとっての売り手市場であればなおさらです。

 それでも、予約段階で大学名による差別があるのではないかとの疑いは晴れないかもしれません。上位校の学生にだけ門戸を開き、それ以外の大学の学生をシャットアウトしているというわけです。結論からいうと、その見方も正しいとはいえないでしょう。

企業は費用対効果を問う

 企業側から学生へのアプローチに濃淡があるのは事実です。費用対効果を考えなければならないからです。例えば説明会をお知らせするダイレクトメールを何十万人もの就活生全員に送っていては、1回ごとに膨大なコストがかかります。優秀な学生とはできる限り多く接触したいので、広い会場を用意したいのも山々ですが、タダでは確保できませんので、規模をシビアに見極めなくてはなりませんよね。とにかく広範囲に呼び掛けた上で、大きな会場を用意して待ち受けるなんてことは、無駄が大きすぎて現実的ではないのです。

 採用活動もビジネスで、予算の制約もあります。1回の説明会にこれだけコストがかかった、では参加者のうち内定に結びつく確率はどれほどあるのか、ということが問われることになるわけです。そうなると、これまで採用の実績があった大学の学生、つまり説明会への参加を呼び掛けることの費用対効果が高そうな学生に対して、ある程度は重点的にアプローチせざるを得ないのです。これは企業側にとっては当然の考え方であって、差別と呼ぶにはあたらないと私は思います。

 今年は選考解禁までの期間が短いぶん、去年よりも早いペースで説明会に参加していかないと、就活の密度が去年よりも薄まってしまいます。さまざまな企業を見比べておかないと、せっかく内定を得られても自分に合わない就職先だった、なんて残念なことにもなりかねません。ダイレクトメールが来なければ説明会に参加できないわけではありませんし、「満員」でも飛び込みという道があるわけです。選考解禁までの間、ぜひ多くの説明会に足を運んでみてください。
[日経電子版2016年4月21日付]

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