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「3年後離職率」に注目しよう

ブラック企業との向き合い方(11)

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長時間労働が蔓延している職場は避けたいものですが、若手社員の残業の実態を外部から把握することはなかなか困難です。そこで注目したいのが3年後離職率です。長時間労働が蔓延している企業や労務管理がまともではない企業では、3年後離職率が高くなることが考えられるからです。

主要企業の3年後離職率は『就職四季報』のチェックを

主要企業の3年後離職率は『就職四季報』に掲載されています。『就職四季報』は総合版、女子版、優良・中堅企業版の3種類があり、最新版の2017年版はそれぞれ2016年1月に発行されています。

この3年後離職率とは2017年版の場合、2012年4月の新卒入社者のうち入社3年以内に離職した人の割合を示したものです(*)。各社の3年後離職率を見ると0%や10%未満の企業もある一方で、40%を超える割合を開示している企業もあります。例えば3年後離職率が40%であれば、同期で入社した新入社員のうち4割が3年以内に離職していることになります。

(*)単に「離職率」という場合には全従業員のうち1年間に離職した人の割合を指すことが一般的ですので、区別してください。

また3年後離職率が「NA」である企業も多く見られます。「NA」とは「非公開(No Answer)」の意味です。『就職四季報』は東洋経済新報社が各社にアンケート調査を行い、その回答結果を掲載している書籍であるため、企業が回答を拒否した項目については「NA」という表示になります。

3年後離職率が「NA」であれば、「情報がない」と考えず「なぜ非開示なのか」と考えた方がよいでしょう。3年後離職率が高いために開示したくない、という理由がまず考えられます。特に高い割合ではないにもかかわらず、情報開示を嫌っている場合もあるかもしれません。いずれにしても要注意です。3年後離職率が非開示の場合に見るべき他の指標については、後述します。

3年後離職率、大卒の平均は3割程度

さて皆さんが応募している企業の3年後離職率が『就職四季報』に表示されている場合、その数値をどのように評価すればよいでしょう? 評価のためには比較が必要です。

厚生労働省の「新規学卒者の離職状況に関する資料一覧」によれば、大卒者の3年後離職率は3割程度です。つまり平均すれば100人の大卒新入社員のうち30人程度は3年以内に最初の企業を離職しているということです。

3割という割合は「案外高いな」と思う人も多いでしょう。ただしこれはあくまで「平均」であり、事業所規模によって、また業界によって、その割合は大きく異なります。

事業所規模については、規模が小さいほど離職率が高い傾向が見られます。5人未満の事業所における3年後離職率は59.6%、それに対し1000人以上の事業所における3年後離職率は22.8%と大きな差があります(それぞれ、2012年3月卒のデータ。以下も同様)。

業界によって大きく異なる離職率

業界別の違いはさらに顕著です。産業大分類ごとの離職率が公表されているのでそれを見ると、「電気・ガス・熱供給・水道業」は6.9%、「製造業」は18.6%と平均よりも低くなっています。それに対し「宿泊業、飲食サービス業」では53.2%、「生活関連サービス業、娯楽業」では48.2%となっており、3年のうちに半数前後が離職する業界であることがわかります。その他の業界はグラフの通りです。

3年後離職率が最も高い「宿泊業、飲食サービス業」は、皆さんがアルバイトで働くことが多い業界です。飲食店で働く中で、店長さんが毎日フラフラになりながら長時間働いている姿を目にしてきた人も多いでしょう。その姿をみて、「正社員として働くと、こういう現実が待っているのか」と考えた人がいるかもしれませんが、皆さんは離職率が高い業界で働いてきたのです。そこで目にしている実情が「働くということ」の標準ではないことに注意してください。

志望業界と他業界との比較を

このように規模によって、また業界によって、3年後離職率は大きく異なります。そのため応募している企業のデータだけを見るのではなく、業界の傾向をつかむことや業界内の他社との比較をすることをお勧めします。

『就職四季報』には業界別に各社のデータが掲載されているので、まずは自分が応募している企業のまわりに掲載されている志望業界の各社のデータをざっと見て、その業界の3年後離職率のおおよその水準を把握しましょう。

その業界の3年後離職率の割合が全体的に高い水準にあるならば、本当にその業界で働くという意思決定をしてよいのか、慎重に考えてみてください。場合によれば今からでも他業界に視野を広げてみることも必要かもしれません。なぜ若手社員がどんどん辞めていくのか、どういう要因が考えられるのか、同期がどんどん辞めていくと職場はどういう状況になるのか、想像力を働かせ、また情報を集めてみてください。

もっとも、3年後離職率が高いことがただちに職場の劣悪さを表しているとは限りません。前回の記事で紹介したように、厚生労働省「平成25年若年者雇用実態調査」によれば大卒者の初職離職理由のトップは「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」ですが、二番目は「仕事が自分に合わない」です。イメージしていた仕事と違った、あるいは希望した部署に配属されなかったなどの個人の側の事情も考えられます。しかし、仕事がきつすぎるといった場合も「仕事が自分に合わない」に含まれているかもしれません。

また結婚や独立、キャリアアップなどが離職理由であることも可能性としてはあります。ただし結婚について言えば晩婚化が進んでいますし、3年で独立が可能なほどの経験が積めるケースは限られるでしょう。

同業他社との比較を

業界としてはそこそこやっていけそうな業界だと判断できるなら、同じ業界の中の他社と3年後離職率を比較してみましょう。同業他社よりも3年後離職率が低いなら、その企業には定着に向けた良好な取り組みがあるのかもしれません。

同業他社よりも3年後離職率が高いなら、なぜ高いのか、探ってみたいものです。『就職四季報』には有給消化年平均の日数や非現業部門従業員全体の月平均残業時間、平均勤続年数などのデータも掲載されていますので、それらのデータを各社で比較検討したり、記者評価の記載を読んだりする中で、見えてくることがあるかもしれません。

なお毎年の採用数が少ない場合は、3年後離職率は大きく変動します。例えばある年に2人が入社し、そのうち1人が3年以内に離職したならば、3年後離職率は50%になってしまいます。そのため3年後離職率をチェックする際は割合だけに目を向けるのではなく、採用者数などの実数も確認してください。

3年後離職率が非開示なら

3年後離職率が非開示である場合は、他の指標から離職状況をある程度推測することが可能です。

平均勤続年数が他社に比べて短ければ、定着状況が悪い企業である可能性があります。ただし設立年から日が浅い企業は平均勤続年数が短くても当たり前です。設立年は『就職四季報』に記載があるので確認しましょう。また業績好調で急拡大している企業の場合も平均勤続年数は短めになります。上場企業であれば有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」から、過去5年分の売上高や従業員数の推移のデータを入手することができますので参考にしてください(*)。

(*)有価証券報告書は金融庁のEDINETというサイトを通してネットで自由に閲覧することができます。カレッジカフェの連載「いい会社の見分け方」の第1回にEDINETからの有価証券報告書の検索方法が、また第5回に過去5年分の売上高や従業員数などのデータの入手方法が実際のEDINET画面と共に説明されていますので、ご覧ください。

また『就職四季報』で従業員数と毎年の採用人数を比較することによっても離職状況の推測は可能です。従業員数に比べて毎年の採用人数の割合が高すぎるなら、そして特に業績の急拡大などの要因が考えられないのであれば、大量の離職を見越した大量の採用を毎年繰り返している可能性が考えられます。

なお3年後離職率が悪化したために情報開示を停止した、という場合もあり得ます。『就職四季報』の3年後離職率の欄には最新の値とその前年度に算出された値が記載されていますが、よりさかのぼったデータは過去の『就職四季報』を調べることによって得られます。大学の図書館データベースに「東洋経済デジタルコンテンツ・ライブラリー」があれば、そこから過去のデータを閲覧することができます。図書館の書庫やキャリアセンターに所蔵があれば実物を確認できます。

最後に、実はメガバンク各社など日本を代表する超大手企業の中には、『就職四季報』で3年後離職率を非開示とするだけでなくその他の項目の多くも非開示としている企業や、調査への回答を行っていないためそもそも企業情報の掲載がない企業も存在しています。優秀な人材はいくらでも応募してくるため情報開示の必要はない、という判断であったのかもしれません。

ただし現在では女性の活躍推進や若者の雇用促進の観点から職場の実態情報の開示が政策的に進められてきており、状況は徐々に変わってきています。次回はその新たな動きを取り上げます。

法律監修:嶋崎量(弁護士・神奈川総合法律事務所)

上西充子(うえにし・みつこ) 法政大学キャリアデザイン学部教授。法政大学大学院キャリアデザイン学研究科教授。1965年奈良県生まれ。労働政策研究・研修機構で7年あまり調査研究に従事したのち、2003年より法政大学へ。若者の学校から職業への移行過程と初期キャリアに関心。近著に、石田眞・浅倉むつ子との共著『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社、2017年3月)。

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