6月1日は選考解禁日? 1次面接、最終面接、内々定、拘束も
就活リポート2017(3)
6月1日、都内のオフィス街にはスマホの画面を見ながら面接会場へと急ぐ就活生の姿があった。昨年よりも2カ月前倒しとなった今年は、解禁前の内定率も昨年ほど高くはないが、解禁日という言葉と就職活動の実態との乖離は大きいようだ。都内の就活生4人の1日を振り返りながら、解禁日の実態を探った。
リクルートキャリアが発表した、選考解禁1カ月前の5月1日時点の就職内定率は24.6%。昨年は解禁1カ月前の7月1日時点で49.6%と、ほぼ半数の就活生が内定を得ていた。昨年に比べれば選考の進んでいる企業は比較的少ないようにも見える。ただ、5月に入ってリクルーターに会った、面談を受けたといった学生も多く、5月末時点での内定率は4割を超えていると見られる。ではさっそく1日の就活生の活動を紹介しよう。
「始まった」という感じはない
金融業界を志望する男子学生Aさんは、午前中にメガバンク、午後に生命保険会社と政府系金融機関の面接を受けた。解禁日ではあるものの「すでに何社も面接を受けているので、特に始まったという感じはない」と。面接では自己紹介や銀行業界に興味を持った理由に加え、他社の選考状況を聞かれた。「メガバンク3行を受けることを伝えたが、特に第一志望かどうかなどは聞かれなかった」。
メガバンクからは数時間後に2次面接の連絡があり、「他社の面接もあるだろうから希望する時間を指定できると言われたので、空いている時間を伝えた」という。午後に受けた政府系金融機関は5月中にリクルーター面談を受けており、実質的な1次面接ではなかった。「面接終了直後にその場で"合格"と言われ、2次面接の予約をした」。2日以降も1次面接の予定が数社あり、「1次面接と2次面接のスケジュール調整が大変になりそう」と心配していた。
リクルーター面談10回近く
メガバンク2行の面接を受けた男子学生Bさん。午前中に受けた1社目はすでにリクルーター面談を10回近く受けていた。「約20分間の面接では自己紹介、学生生活で力を入れたこと、志望動機とオーソドックスな面接。面接官にはリクルーターから話が伝わっているようで、特に突っ込んだ質問もなく終始和やかな雰囲気でした」。夕方には合格の連絡があり、2日に2次面接を受ける。
午後に受けたもう1社は書類選考、筆記試験を経ての面接で事前の接触はなかった。面接での質問は午前中の銀行と似たような内容だった。面接終了後すぐに次回の面接の連絡があり、今日と同じようなスケジュールで2行の2次面接を受けることになった。
Aさん、Bさんのように6月1日から面接開始という就活生も多く、昨年に比べて解禁直後に面接が集中することも少ないようだ。ただ、1日から面接を始める企業が多く、さらに1次面接から最終面接までの期間が短縮されているため、選考が進めば進むほど就活生のスケジュール調整は難しくなりそうだ。
1日は最終面接、そして内々定
地元企業への就職を目指す男子学生Cさんは1日、地銀から内々定を得た。Cさんは同行のインターンシップに参加し、これまでにリクルーター面談や人事面談を複数回ずつ受けていた。1日は最終面接として呼ばれたが、「面接は形式的なもので、内々定を告げるために呼ばれたようなものだった」と振り返る。採用担当者からは「1週間以内に他社の選考を断って連絡をください。もし、迷っているようであれば、いつでも相談に乗ります」と言われた。
Cさんは1日にもう1社、面接を受けている。5月中にリクルーター面談を受けており、「今日が実質的な最終面接のようだった」と話す。2日に第一志望の企業の面接が入っている。「内々定をもらえて心に余裕ができた。地銀からは1週間の猶予をもらえたので、最後まで頑張る!」と、明るく話す。
朝から夕方まで内々定先に缶詰
最後にすでに内々定を持っている女子学生Dさんの1日を紹介しよう。午前9時に内々定先企業に向かった彼女は夕方まで社内で過ごした。いわゆる拘束だ。内々定の学生が集められ、社員との懇談会や採用担当者との面談などがあった。そして、最後には「明日以降、就職活動を続けないでください」と念を押された。
Dさんは内々定を受けた時、採用担当者には就活を終えることを告げている。拘束された企業は「志望度は高く、入社してもいいと思っている」が、「悔いは残したくない」という理由で2日以降も就職活動は続ける。
他にも大手生命保険会社が内定者懇談会を開くなど、昨年同様、他社の選考を受けさせないための「拘束」があったようだ。ただ、企業の面接日程が昨年ほど過密ではなく、日程調整に応じる企業も多いため、拘束をする意味はそれほど大きくないようだ。
2カ月前倒しとなった今年の選考解禁日、昨年同様、1次面接、最終面接、内々定出し、拘束と、「選考解禁」という言葉とはあまり関係のない1日となった。
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