再びESを書く人へ 次のチャンスを信じよう
生涯キャリアの選択肢(3)
もう内定をとった人、おめでとう!! 皆さんが早く重複内定を断ってもらえば、次の学生にチャンスが来ます。今回は6月初めの面接で全滅し、再募集する企業にESを出す人向けです。
あきらめた時が人生の終わり
人生で一番大事なのは何か知っているだろうか。それは再チャレンジ力だ。入社後、係長昇進で遅れたとする。人は自分を2割は高く評価するので、頭に来るのは当然として、ふてくされるか。あきらめるか。どちらも人生を失う。断念した時が人生の終わりだ。未来はなくなる。そこまでの能力しかなかったことになる。ここで再び挑戦する能力こそ求められているものだ。就活も同じだ。
ES設問と執筆例
設問:あなたが学生時代に打ち込んだことのなかで、より多くの人と関りながら成し遂げた経験について説明してください。
通過者の事例を紹介する。
このESは、体育会に所属している点がプラス。そこでPDCAサイクルを回している点が評価されたと見られる。しかし、成果はわかったが、勝利した大会や数字などの具体性がない。さらに、一行でもいいので、ここから△△を学んだと付け加えたい。
内定者が留意した点は?
内定者にES執筆で気をつけていたことを聞いてみた。
「ESに取り組む上で気を付けた事は、必ず自分の言葉で書くという事、そしてとにかく書きまくる事です」
「ESの提出ラッシュの前、12月ごろに企業のインターンへのESと採用時期が早い外資系のESを数枚作成。一つの設問に1日かかるくらい苦労しましたが、自分の考えを設問に合わせた文章にするいい練習になりました」
「書き上げたESは必ず他人に見てもらうようにしました。重要なESはその会社に勤めている、もしくは同業界のOBにメールで提出して添削してもらうように努めました。時間がない時でも親しい友達に目を通してもらって、内容が伝わりやすいか、設問に沿って回答できているかのチェックは必ずしてもらいました」
ESは自分の言葉(独自性)と他人の視点(説明力)――この2つの組み合わせが通過のポイントになる。社会人と学生のギャップは大きいので、社会人に見てもらうことは抜本的改善につながる。もし見つからなければ、大学のキャリアセンターの人に一つを見てもらい、それをひな形にすることだ。いなければ、仲間の内定者に頭を下げて頼もう。その一歩が前進になり、差別化になる。
さあ、あなたの継続力を今発揮しよう。
一橋大学社会学部卒業後、東京ガス入社。ロンドン大学大学院留学、ハーバード大学大学院修士課程修了。中東経済研究所研究員。アーバンクラブ設立、取締役。法政大学大学院博士後期課程修了、経営学博士。東京女学館大学国際教養学部教授(キャリア開発委員長)、一橋大学特任教授などを経て2015年より三菱商事社外取締役。18年から立命館大学共通教育推進機構教授。人材育成、企業経営、キャリアデザインを中心に研究し、実践的人材開発の理論を構築。研修・講演は通算1000回を超える。ビジネスリーダーの生涯キャリア研究がライフテーマ。著書は計61冊。就活関係では「受かる!西山式内定バイブル」(小学館)がある。
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