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HPとビジネス記事から企業姿勢を読み取る

ブラック企業との向き合い方(13)

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前々回は『就職四季報』の活用を、前回は「女性活躍推進企業データベース」の活用をお勧めしました。今回お勧めしたいのは、企業ホームページ(HP)の掲載情報やビジネス誌の記事、新聞記事などから、企業の経営姿勢や労務管理の姿勢を読み取ることです。

新卒採用情報に隠れている「白い嘘」

皆さんはこれまでの就職活動で、どのような情報源を頼りにしてきたでしょうか。応募企業の新卒採用ページや就職情報サイトの掲載情報は読んでいたでしょう。『就職四季報』や『業界地図』も書店の就職コーナーで手にとったでしょう。

これらのうち新卒採用ページや就職情報サイトの掲載情報には、学生に積極的に伝えたいことが掲載されています。一方で、積極的に伝えたくないことは掲載されていません。例えば主力事業が撤退に追い込まれそうだとか、製品の欠陥が判明して問題になっているとか、裁判で係争中の事案をかかえているとかの不都合な情報は書かれていないのです。

金井壽宏『働くひとのためのキャリア・デザイン』(PHP新書、2002年)には「黒い嘘」と「白い嘘」という言葉が紹介されています。「黒い嘘」とは偽ったことを語るという文字どおりの嘘のことですが、「白い嘘」とは「大切なことを故意に語らないこと」です。「入社案内や会社案内には、それなりの品格をもった会社なら黒い嘘はけっして存在しないけれども、そうとう高い志をもった会社でも白い嘘は混じっている」と金井は指摘しています。

長時間残業の存在や主力事業の不振など、応募者にとっては大切な情報だけれども会社にとって不都合なことは、積極的に応募者に伝えられることはほとんどありません。そのため、自分で情報を取りに行くことが大切です。

企業の新卒採用ページや就職情報サイトの掲載情報とは異なり、『就職四季報』や『業界地図』には売上高や営業利益などの客観的な情報も掲載されているため、企業側が積極的に伝えたくない情報もある程度は知ることができます。前々回に紹介したように3年後離職率が「NA(非公開)」であるというのも、重要な「情報」です。

ただしこれらの情報源はいずれも、就活中の学生向けにカスタマイズされた情報です。世の中にはほかにも、業界や企業を知るための様々な情報源が存在します。つい身近な情報源だけに頼りがちですが、志望業界を選ぶ当初の段階でも、そして選考が進んで絞り込まれた企業を検討する段階でも、より多様な情報源を活用したいものです。

企業ホームページから読み取る企業姿勢

企業ホームページについては、新卒採用のページ以外も確認してみましょう。例えば、しばらく前に不適切会計がニュースになった東芝のホームページを見ると、トップページに「不適切会計問題への対応について」というリンクがあり、開くとこの問題に関して随時公表された情報がまとめて掲載されています(6月12日現在)。問題が起きたときにどう向き合うかという企業の姿勢を、トップページの構成からうかがうことができます。

また「ニュース」から「IRニュース」を開くと、不適切会計にかかわるニュースが、新たな技術の開発や海外における製造拠点の設立などのニュースと共に時系列で掲載されています。「IRニュース」とは株主・投資家向けのニュースです。上場企業は株主・投資家に対して、投資判断に重要な影響を与える会社の業務、運営または業績等に関する情報は適時開示しなければならないことになっているため、新技術の開発のような明るい出来事も不適切会計のような不都合な出来事も、ともに「IRニュース」には開示されているのです。

別の企業の例をあげましょう。労働問題で大きく注目を集めたワタミとゼンショー(すき家を運営)は、共に第三者委員会を設置し、その報告書をホームページで公表しました。ワタミは2014年1月17日に、ゼンショーは2014年7月31日に、それぞれ会社側が報告書を受領しています。

受領時の両社の対応は対照的でした。ワタミはホームページのニュース欄でその報告書の受領を公表し、報告書の内容を掲載したものの、記者会見は開かなかったため、直後に目立った報道はありませんでした。一方のゼンショーは広い記者会見の場を設定し、第三者委員会の委員長がその内容を報告したのちにゼンショーホールディングスの小川賢太郎会長が会見し、質疑応答も受け付けました。報告書の内容も同日にホームページで公表しました。報告書の内容と記者会見の様子は大きく報道されました。

当時、私はワタミの対応については閉じた印象を、ゼンショーの対応については開かれた印象を持ちました。しかし現時点(6月12日)で両社のホームページを見ると、異なる印象を持ちます。

ワタミの「IRニュース・お知らせ」には報告書受領の記事が掲載されています。開くと報告書のウェブサイトへのリンクがついており、現在でも報告書本文を読むことができます。一方、ゼンショーは「ゼンショーニュース」に報告書受領の記事がありますが、記者会見当時と異なり報告書の内容をそこから閲覧することはできず、ホームページの中に報告書本文を見つけることができません。

ワタミが報告書を今でも掲載しているのは、企業側に厳しい内容で過労死裁判が和解に至ったことと関係しているのかもしれません。他方のゼンショーが第三者報告書の内容も、その後の2015年4月8日に「職場環境改善委員会」から受領した報告書の内容も、当時は開示していたものの現在はおそらく非開示としているという対応には、疑問が残ります。

ビジネス誌には分析記事が多い

何か問題が表面化したとき、あるいは新しく注目される動きを経営側が示したとき、その背景を詳しく分析した記事はビジネス雑誌に多く見ることができます。『日経ビジネス』『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』『週刊エコノミスト』などが代表的なビジネス雑誌です。これらの雑誌が駅の売店に並んでいるのを見たことはあるでしょうか。

これらのビジネス誌では各社の動きや業界の動きを毎週取り上げており、特集では詳しい分析記事を読むことができます。例えば『日経ビジネス』6月6日号は「三菱、必然の凋落 ゴーンが描く自動車再編」の特集を、また『週刊東洋経済』5月28日号は「セブン再出発」の特集を組んでいます。

これらのビジネス誌は、おそらく皆さんの大学の図書館に所蔵があるはずです。一定期間経過後に順次廃棄されている場合もありえますが、昔の雑誌も製本して閉架書庫に収められている場合もあります。

自分が知りたい企業や業界のことがどのビジネス誌のどの号に取り上げられているかは、図書館の雑誌記事データベース「magazineplus」で検索できます。企業名や社長の名前などのキーワードを入れることによって、国内の雑誌記事が記事単位で検索できるデータベースです。記事そのものをこのデータベースから閲覧することはできませんが、記事情報をメモして図書館に実物を探しに行く価値は十分にあります。ネットで読める限りの情報しか読まないというのでは重要な情報を取りこぼしますので、そこはぜひ、もうひと手間かけて下さい。

また、ネット上にも「日経ビジネスオンライン」や「東洋経済オンライン」のようなビジネス記事を掲載したサイトがありますので、日ごろからそうしたサイトをチェックしておくのもお勧めです。

新聞記事データベースも活用を

図書館データベースの新聞記事もぜひ検索してみてください。新聞社ごとにデータベースがあり、「日経テレコン21」では日本経済新聞、日経産業新聞、日経MJなどの記事が一度に検索できます。企業名や社長の名前などのキーワードを入れることによって、新事業の展開や役員交替、事故や問題の発生を伝える記事、分析記事、インタビュー記事などを読むことができます。

10年ほど前にその企業で起こった大きな出来事も、就職活動を通じてはじめてその企業と出会った皆さんは知らないかもしれません。そういう出来事についても、新聞データベースを検索して記事の見出し一覧をチェックすることによって、知ることができます。

このようなデータベースはネット上に無料では公開されていません。個人でこのようなデータベースを利用するには、かなりの利用料がかかります。皆さんはそれを、大学図書館のデータベースから無料で利用できるのです。実は無料というわけではなく、皆さんの授業料の一部が、大学によるデータベースの購入に充てられているのですが。

せっかく使える資源なので、ぜひ有効活用してください。ネットで「○○(企業名) ブラック」などと検索するよりも、よっぽど信頼性が高く詳しい情報を得ることができます。大学のデータベースに自宅から接続できる方法が大学で公開されているなら、その設定を行うことによって自宅でもログインしてデータベースが利用できます。

インタビュー記事も探してみたい

データベースでは社長や創業者の語りもぜひ探してみたいものです。日本経済新聞の「私の履歴書」のように自らの人生を語った連載もありますが、新聞やビジネス誌にはその時々の話題についてのインタビュー記事もたびたび掲載されます。

トップのリーダーシップが強力な会社であれば、トップの考え方を詳しく知っておくことは重要です。例えばユニクロで地域正社員として働きたいと考えているなら、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が地域限定社員についてどう語っているか、調べておきたいものです。

著名人以外の社長の発言や人事労務担当者の発言も、業界誌や人事労務関係の専門誌などには多く掲載されています。雑誌記事データベースで見つけた業界誌や専門誌が自分の大学の図書館になくても、図書館のリファレンス・コーナーで相談すれば、記事のコピーを他の図書館から取り寄せてもらえるかもしれません。

企業ホームページには社長のメッセージや企業の沿革、役員一覧などの情報が記載されています。けれども、そこには無難な挨拶しか載っていない場合も多いものです。ビジネス誌や業界誌・専門誌では、より率直なトップの見解や人事労務管理の方針などを知ることができます。その会社の雰囲気や企業文化は、「入ってみなければわからない」わけではなく、事前にある程度は調べられるのです。

法律監修:嶋崎量(弁護士・神奈川総合法律事務所)

上西充子(うえにし・みつこ) 法政大学キャリアデザイン学部教授。法政大学大学院キャリアデザイン学研究科教授。1965年奈良県生まれ。労働政策研究・研修機構で7年あまり調査研究に従事したのち、2003年より法政大学へ。若者の学校から職業への移行過程と初期キャリアに関心。近著に、石田眞・浅倉むつ子との共著『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社、2017年3月)。

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