学生の見る企業は5%以下?! そこに集中するから受からない
生涯キャリアの選択肢(4)
西山昭彦の生涯キャリアの選択肢
今回は、志望先の選択についてみておきましょう。学生は毎年過当競争に陥っています。数ある企業の中から知っている会社だけを選んでいるからです。あなたはいったい何社企業を知っているでしょうか。50社? 100社? それも、自分が利用したり、CMで見た会社がほとんどではないでしょうか。
過当競争が起きる
就活を始めるときはこのような誰もが知っている有名企業や人気企業をまず志望する。しかし、皆があなたと同じ行動をするので、そうした企業には志望者が殺到し、倍率が100倍、いやもっと高くなる。たとえば、JTB、NTTドコモや全日本空輸など人気企業には、エントリーシートが何万通も寄せられる。
倍率が100倍のケースでは、99人に勝たないと受からない。これまでの人生で、それだけ競争したことはあるだろうか。周りの友人を見て自分のスペックが100人中1位にあるだろうか。
入れる会社を探すのが第一歩
ある女子学生は会社説明会に30社出たのに、ESが通ったのが3社、それも一次面接で全て失敗したという。
なにか欠点があるタイプではない。しっかりしていて働く意欲も十分だ。でも、受けた会社のリストを見て、この結果も仕方ないと思った。有名企業、特に女子に人気のある食品業界が多かった。激戦区で、ESを見ても他の学生を圧倒する要素はなかったからだ。
東証上場だけでも3500社超
一方で、世の中にいい会社はたくさんある。東京証券取引所上場企業は日本の有力企業群だが、その全体を見たことがあるだろうか。それだけで3519社ある。
ここを見ないと、知っている5%以下で職を探していることになる。これで受かるのはほんの一部の人だ。残りの95%で探して受かる人のほうが大多数だ。
就活とは、自分の知っている企業を受けるのではなく、知らない企業を調べてその魅力を分析して受けるものだ。調査が活動に含まれている。
一橋大学社会学部卒業後、東京ガス入社。ロンドン大学大学院留学、ハーバード大学大学院修士課程修了。中東経済研究所研究員。アーバンクラブ設立、取締役。法政大学大学院博士後期課程修了、経営学博士。東京女学館大学国際教養学部教授(キャリア開発委員長)、一橋大学特任教授などを経て2015年より三菱商事社外取締役。18年から立命館大学共通教育推進機構教授。人材育成、企業経営、キャリアデザインを中心に研究し、実践的人材開発の理論を構築。研修・講演は通算1000回を超える。ビジネスリーダーの生涯キャリア研究がライフテーマ。著書は計61冊。就活関係では「受かる!西山式内定バイブル」(小学館)がある。
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