業界・会社をどう調べるの? まず買うべきこの2冊
生涯キャリアの選択肢(5)
就活のためには業界、会社の内容をきちんと知っておく必要があります。今回は、内定を取れる会社を見つけるために、どんな調べ方をすればよいのか説明しましょう。
「空いている電車」を探すこと
人気企業への就活は私がよく言う「満員電車に乗る就活」だ。朝、都心に向かうぎゅうぎゅう詰めの電車で必死に座れるシートを探しているのと同じで、席はあるはずがない。
しかし、そうした満員電車の反対側の線路では、席が空いている電車が走っている。「満員電車に乗るような就活」で疲弊して内定が全然取れない状態より、ちょっと目線を変えて「席に座れる」=「内定が取れる」就活をしたほうがいいのではないだろうか。
こうした企業を探すには、この2冊がよい。「日経業界地図」を読むと、業界の全体像がわかる。電子部品、自動車部品など世界的に強いが学生が知らない業界がある。電子部品業界を読んでみると、スマホの部品など、自分たちが使っている製品に使われていることがわかる。学生は完成品メーカーは知っていても、部品は知らないことが多い。
次に「日経会社情報」を開いて、関心を持った業界の中の知らない企業を見ていく。よく知らなかったが、業界ではナンバーワンだったり、部品では世界的なシェアを持っている企業がある。これらは優良企業であるにもかかわらず、調べない志望者は知らないので倍率は相対的に低い。まさに狙い目だ。
非上場でもいい会社がある
上場企業だけでは、非上場企業を見逃す恐れがある。そこにも、いい会社はたくさんある。
こちらの探し方は無限にあるが、2つ紹介する。ひとつは大手就職情報会社のHPに登録している会社を見ることだ。そこに載っている会社は、規模も相対的に大きく、広告費も使うなど一定の基準以上の会社になる。また、商工会議所のHPや説明会に出ている企業も、地域のおすすめ企業になる。
有名企業のグループに目を向けよう
もうひとつは、有名企業の「グループ企業」だ。母体企業のホームページや財務諸表などに紹介されている。こちらは、母体企業の資本系列にあり、社長は親会社からくる場合が多い。なので、社長をねらう上昇志向の人には向かないが、それ以外の人にはメリットが多い。
母体となる企業の経営が盤石であれば、その系列にあるグループ企業は有利だ。会社のしくみは母体並みに整備されており、非常時は助け舟がくることもある。福利厚生なども母体企業に準じており、充実している。しかし、知名度が違うので、母体企業より志望者が一気に少なくなる。そこがねらい目になる。
視野を広げれば選択肢は多く、競争率は低く、自分にぴったりの会社を選ぶチャンスが増える。
一橋大学社会学部卒業後、東京ガス入社。ロンドン大学大学院留学、ハーバード大学大学院修士課程修了。中東経済研究所研究員。アーバンクラブ設立、取締役。法政大学大学院博士後期課程修了、経営学博士。東京女学館大学国際教養学部教授(キャリア開発委員長)、一橋大学特任教授などを経て2015年より三菱商事社外取締役。18年から立命館大学共通教育推進機構教授。人材育成、企業経営、キャリアデザインを中心に研究し、実践的人材開発の理論を構築。研修・講演は通算1000回を超える。ビジネスリーダーの生涯キャリア研究がライフテーマ。著書は計61冊。就活関係では「受かる!西山式内定バイブル」(小学館)がある。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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