就活生に聞く「インターン生は有利」の真実
「コミュ力」に悩む学生へ贈る言葉(9)
4年生の就活は面接が解禁されたばかりですが、一方ではその下の学年、3年生のインターンシップの説明会がスタートしました。6月1日はインターンシップの説明会の解禁日でもあったのです。今年の就活を振り返ってみて、いかにインターンシップに参加した人が有利だったか、説明していきましょう。
インターンシップの取り決め
業界研究、企業研究をし、ミスマッチ就職をなくそうというのが、インターンシップ本来の目的です。
経団連の取り決めでは
・5日間以上
・採用活動と関連づけない
・カリキュラムの明確化
などの項目が掲げられています。
ですが、これは「求められている」というだけであって、法律のような縛りや罰則のあるものではありません。確かに企業のインターンシップ募集のホームページでは「採用活動とはいっさい関係ありません」とうたっています。あくまで社会貢献の一貫というスタンスです。
「やりたいことがわからない人」こそ参加してほしい
学生はインターンシップに参加することによって以下の4点のメリットがあると考えられます。
1. 就業体験を通じて、企業研究、業界研究が行える。
2. 職場で必要な能力がわかり、自分の適性の棚卸しができ、自己分析できる。
3. 今後の課題を発見し、大学の勉学をさらに有意義なものとできる。
4. 就活のステップの模擬練習になる。
学生は就活が始まると「何がやりたいのかわからない」と相談に来ます。そんな人こそ、インターンシップに参加してほしいですね。そのインターンシップ先すら選べないという人もいます。そういう人は自分の学業に関連するところ、サークル活動に関連ある仕事という自分の体験に紐づいた業界から、まずは探してみましょう。私はこれを「体験紐づけ方式」と呼んでいます。
4の模擬練習について詳しく解説すると、インターンシップのステップは本番の就活と似ています。
1)合同説明会
2)エントリーシート
3)筆記テスト
4)グループディスカッション
5)面接
まるで本番さながらの選考ですね。大変ではありますが、就活解禁日前に経験しておくと、自分の弱点もわかり、準備ができるというものです。
また、実際にインターンシップに参加することで、この稿のテーマである、コミュニケーション力が磨かれます。職場の中、営業の随行体験などで、実際のビジネスにおけるコミュニケーションを体験できるのです。不得手な人は今後の課題として、解消していくことが必要と感じるでしょう。
前々回説明したグループディスカッションは選考過程でも経験しますし、インターンシップの中でも経験する機会があります。「新しいサービスを考案せよ」というテーマが与えられて、グループ毎に競い合うような例です。
裏側の目的
さあ、ここからは、みなさんが本当に知りたい、インターンシップの裏側の話です。本当に採用選考と関係ないのに、企業がこれだけの費用と人を割いて、インターンシップを行うでしょうか?
ここからは学生からの報告です。
・ある運輸の会社・・・本選考の際、一次面接が4日間予定されていたが、1日目はインターン生だけだった。
・ある流通企業・・・インターン後、何回かの社員懇親会に呼ばれ、解禁日には一般の学生が一次面接に行くところ、インターン生は三次面接まで進んでいた。
・あるエンターテイメント会社・・・たった3名という採用人数のうち、インターン生が2名だった。
とインターン生有利説は枚挙に暇がありません。
確かに、インターンシップの選考で既にエントリーシートなどを出しているので、そこをスキップできるのは当然という見方もあります。もちろん、インターン生ならだれでも優遇されるというのではなく、インターンシップの過程で優秀と認められた人だけでしょう。
また、本番の面接の一発勝負で実力が出しきれるかどうかわからないというリスクがありますが、5日間にわたり多方面から見てもらえるとなると、かなり安心感があります。
とにもかくにも、インターンシップには参加したほうが有利です。そこで磨かれるのも試されるのもコミュニケーション力です。これからも、いっしょにコミュニケーションについて考えていきましょう。
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