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僕らの地域のつくりかた(1)18歳の出会い~社会を変えるツールは「政治」だった

後藤寛勝 authored by 後藤寛勝NPO法人 僕らの一歩が日本を変える。代表理事
僕らの地域のつくりかた(1) 18歳の出会い~社会を変えるツールは「政治」だった

 初めまして! NPO法人僕らの一歩が日本を変える。(略してぼくいち)代表理事の後藤寛勝と申します。今回から「僕らの地域のつくりかた」という連載を担当させていただくことになりました。1994年新潟市生まれ、大学4年生の22歳です。僕は18歳から若者と政治をつなげる活動を続けています。活動の経験を踏まえながら、できるだけ自分の言葉で、わかりやすく、この連載を通して想いを伝えていきたいなと思っています。よろしくお願い致します。

 メディアでは連日、"18歳選挙権に伴う若者の政治参加"が話題になっていますが、それもそのはず。今回の参議院選挙は、選挙権年齢引き下げが実現してから初めての国政選挙です。なんと70年ぶりの引き下げ。そこで、今回から7月10日に迎える参議院選挙開票日まで、3連続の記事を通して、同世代の方々と改めて「若者の政治参加」を一緒に考えたいと思っています。第1回目では、僕自身がなぜ政治に興味を持って、NPOで活動を続けているのかを書かせていただきます。

政治との出会いは、やりたいことが何もなかった高校時代

 僕は小学校、中学校の頃、いわゆる「やんちゃ坊主」でした(お調子もので、よく先生や友達に注意されてしまう、落ち着きのないような......)。部活は野球部に入っていましたが、野球も学校の成績もパッとせず、部活を引退後はとりあえず受験勉強を必死にやって、とりあえず普通に日常を楽しみながら、地元の進学校に入学しました。政治に興味もなく、毎日を楽しむことしか考えていなかった僕は、進学先で今の活動のきっかけとなる出会いを果たします。

 それは、"学業以外"に得意分野を持つ友人との出会いです。その分野もIT、農業、音楽、教育など多種多様。深く勉強していたり、コンテストなどで成績を残していたり。教室で自分の好きな分野でことを成し遂げたいと夢を語っていた友人たちの姿に、僕は心を動かされていました。部活以外に特にやりたいことや得意なことがなかった僕は、ただただ素直に羨ましいと思っていたことを覚えています。

 しかし、高校2年生の進路選択を機に、先生もその友人たちも口を揃え「今の日本では、夢より現実だ」と、得意分野よりも進学を優先してしまい、そういった話をする場も機会も次第になくなってしまいました。仕方のないことだし、進学に向けて頑張ることは全く悪くないと今でも思っています。

 ただ、当時、その言葉に強い違和感と悔しさを感じたことを覚えています。「どうやったら、この《今の日本》と括られてしまう閉塞感を打破できるんだろう?」「誰もが夢を叶えられる社会はどうやったら作れるのだろう?」と考え、それが実現できる職業に就きたいと、その時初めて将来やりたいことを思い描けました。

 勉強し、調べていく中で、IT、農業、音楽、教育を含む幅広い分野をまたがって、人の夢を後押しできる職業「政治家」に出会いました。どんな分野にもつながっている「政治」を変えれば、世の中がもっと良くなるかもしれない。これが僕の政治に興味を持ったきっかけです。当時、僕の周りには政治を得意分野にしている友人はいませんでした。反対に、政治には興味なさげ。やりたいことが見つかっていなかったからこそ、僕は「自分はこれを得意分野にしてしまおう!」と、活動を始めました。

高校時代の友人との写真

始めたことは、小さな意思表示

 政治に興味を持ったからと言って、いきなり「NPO法人で若者と政治をつなげる活動を始めよう!」と思いついた訳ではありません。そんな大それたことではなく、僕の「何から始めたらいいんだろう?」に対する答えは、「自分の意思表示をすること」という小さなものでした。

 当時は部活に明け暮れる毎日だったので、具体的なアクションを深く考える余裕もアイデアもなく、日々は過ぎていました。そんな時、授業の合間の休み時間に、何気なく政治の話が好きそうな友人に話しかけてみました。最初は慎重に「......ぶっちゃけ政治の授業が、一番おもしろくね?」と。すると「僕もそう思うけど、なかなかクラスじゃ政治の話はできないよねー」との返答。「お!」と思わず笑みがこぼれてしまいました。

 "政治に興味がある"となかなか表明しにくい教室の空気は高校生なりに感じ取っていたので、同じ考えを持っている友人と話せたことが嬉しく、これに味をしめた僕は色々な友人の声も聞いてみたくなりました。次第に、みんなのスキを狙っては政治の授業の話にとどまらず、メディアで報道されていた政治家のスキャンダルや政局の話に関する意見を聞いたり、自分の意見を話したりするようになります(多分、半ば一方的で、今思えばうざかっただろうなと反省しています......)。

2013年の参議院選挙時、全国の街頭でiPadを掲げ、未成年の1票をワンクリックで集めた

 そんな経験から、政治をもっと自分の武器にして社会を良くする挑戦をしてみたいと思い、見聞を広げるためにも新潟を出て、東京の大学に進学させてもらいました。ちなみに、上京後も具体的に何をすれば良いか分からなかった僕は、懲りずに「意思表示」を続けました。NPOの会合や政治家の勉強会、学生団体のイベントなど、いろいろなところに顔を出し、高校時代からの延長で、大人との議論の機会も持ちました。入学してからは政治学科の教授のドアをかたっぱしからノックしていました。

 そんな中で、今のNPOの仲間と出会い、同じ問題意識を持っている仲間がいることを知り、活動を始めることになりました。今はデモやNPO、議員インターンなど、昔より「政治参加の選択肢」が身近に増えている印象を受けますが、政治に少し興味を持って何かしたいと思った人にとってはハードルが高いかもしれません。政治参加はもっとラフに考えても良いはずです。「意思表示から始めること」も立派な政治参加の選択肢の一つだと、今は思っています。同じ感情を持っている仲間と出会い、新しい動きを始められるかもしれないからです。

NPOという選択肢

 僕が代表理事を務めているNPO法人僕らの一歩が日本を変える。は、全国の中学・高校での票育授業や高校生100人×国会議員など、学校の中と外で若者と政治がつながる機会と場づくりをする活動を行っています(具体的な活動内容は次回書きます!)。

NPOの仲間たちと

 今回の選挙権年齢引き下げで新しく増えた有権者は240万人。多いと捉えるか、少ないと捉えるかは人それぞれだとは思いますが、240万人という数字は日本の人口の「2%」にしか過ぎないという事実を忘れてはいけません。また、ご存知の通り日本は急速に少子高齢化が進んでいます。さらに、国の歳入は将来僕らが負担することになる「公債金」が4割を占めてしまっています。

 若者と高齢者、行政と民間、それらのバランスがどんどん崩れていってしまう中で、僕たち若者にとっても大切なことは、「一人ひとりが政治との向き合い方、参加の選択肢を持っておく」ということだと思います。そう言った意味で、18歳選挙権は非常に大きな意味を持っています。ただ、投票だけをゴールとするのではなく、投票前、投票後にも様々な選択肢を生んでいくことが重要なのです。これを踏まえ、次回は、具体的にNPOでどんな選択肢を生んでいるのか、若者の政治参加はどうやって実現するべきなのか、書きたいと思います。お付き合いいただけますと幸いです。