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日本経済新聞「未来面」
日立製作所社長からの課題
「IoTで10年後の街は
どう変わると思いますか?」

日本経済新聞「未来面」日立製作所社長からの課題 「IoTで10年後の街は どう変わると思いますか?」

 日本経済新聞の未来面は、読者や企業トップの皆さんと課題を議論し、ともに作っていく紙面です。共通テーマは「革新力」です。今回の課題は日立製作所社長兼CEO東原敏昭さんからの「IoTで10年後の街はどう変わると思いますか?」。という課題について、学生の皆さんからの多数のご投稿をいただきました。

 ここで紹介したのはほんの一部です。掲載できなかったアイデアを日経電子版の未来面サイトで紹介しています。

【課題編】「IoTで10年後の街はどう変わると思いますか?」

東原敏昭・日立製作所社長兼CEO「社会イノベーション、夢を実現」

 人工知能(AI)で制御された無人の電車やバスが乗りたいときにやってくるから、時刻表は不要。ずっと健康でいるためには、どんな生活を送ればよいか、緻密なデータが教えてくれるから安心。

そんな、かつて夢見た時代が間もなくやってきます。あらゆるモノがインターネットでつながる「IoT」時代の到来は私たちの生活や仕事を劇的に変えます。今は想像もつかないような便利で快適な世界が10年後には実現しているはずです。日立の「社会イノベーション事業」が、その実現をリードします。

日立製作所・東原敏昭社長兼CEO
日立製作所・東原敏昭社長兼CEO

 電力や鉄道、水、産業・流通、金融、ヘルスケアなど様々な分野で日立は技術革新に取り組んできました。今も世界には水を必要としている人が8億人、電力が足りない人が12億人もいます。人々が快適で幸福な生活を送るために、日立の技術が役に立ちます。あらゆる技術がIT(情報技術)でつながることで全く新しい世界が切り開かれ、かつての夢が実現します。

 「エレベーターの待ち時間を短くしたい」「自宅で注文すれば、すぐに商品が届く製造・物流の仕組みを考えてほしい」。皆さんが日常生活で抱く夢や希望もどんどん実現していきます。

 便利で快適な世界の実現に向けて、日立はこれまで蓄積してきた技術やノウハウを広くお客様に開放し、同じ土俵で、同じ視線で課題解決に取り組む体制を取っています。他の企業や政府、自治体などが私たちの基盤に接して技術やノウハウを一緒に活用することで新たな価値の協創を目指しています。これからの時代、私が世界の日立グループ社員33万人に求めるのは、お客様と価値観を共有し、問題の解決法を一緒に考えることができる能力です。課題を克服し、お客様がメリットを得られたら、そのメリットを共有させていただく。これが日立の目指すビジネスです。

 私たちは高度な技術を高い倫理観を持って活用するために多様化する世界を理解し、適応できる人材を育てています。「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」。これが創業時からの日立の企業理念です。

 10年後、皆さんの住む街、生活や仕事はどのように変わっているでしょうか。IoTを活用して、あなたが実現してほしい夢、解決してほしい課題を教えてください。
(日本経済新聞2016年7月4日付)

◇    ◇

【アイデア編】「IoTで10年後の街はどう変わると思いますか?」

アイデア001 高齢者に優しい街づくり
小川 英恵(明治学院大学社会学部1年、19歳)

 IoTで10年後の街はお年寄りに優しい街に変わるだろう。現在、日本は超高齢社会を迎え、お年寄りの孤独死の増加が深刻な問題になっている。家族と離れ、独りで暮らすお年寄りの生活を見守り、孤独死を防ぐのがIoTだ。例えば、気温の変化を察知し、自動的に室内温度を管理してくれるエアコン。腐った食べ物を食べないよう、食品の状態を判断して教えてくれる冷蔵庫。薬の飲み忘れを防ぐため、管理機能を持つ薬ケースもあったら便利だ。室温や薬の服用状況などが病院や介護ヘルパー、家族などにも伝わるようになったら、安心感は増すに違いない。様々な家電や日用品がインターネットとつながり、変化があったときにすぐ家族などが駆け付けられる仕組みができたら孤独死を防ぐことができるだろう。人と機械が連携し、高齢者に優しい街を実現するのが私の夢だ。

アイデア002 IoTは世界を救う
片桐 渉(慶応義塾大学大学院理工学研究科修士2年、24歳)

 道路交通の利便性、安全性がIoTにより劇的に改善される。街を走る車やバイク、自転車、人々が持つ携帯電話などがインターネットにつながることにより、位置や速さなどの情報を共有できるためだ。車は渋滞を起こさず、最短、最速の道順を進むことができる。バイクや自転車にも自動制御が導入される。死角から飛び出してくる場合でも事前に相互に認識され、衝突することは決してない。通勤通学の時間は短縮し、交通事故の発生は激減する。防災対策としても活用できるのではないか。津波が堤防を越え、瞬く間に街が海に飲まれた5年前、科学技術の無力さをただただ痛感するのみだった。街中の人や乗り物がインターネットにつながっていれば、想定外の天災が起きても全員を避難させることができる可能性が高まるのではないだろうか。災害大国といわれる日本の技術が、世界中で災害から人々を救う未来を期待する。

アイデア003 IoTで子育て支援
山村 哲也(会社員、42歳)

 子どもが通っている保育園と毎日、連絡帳でやり取りをしている。だが手帳に検温のデータに加え、食事やトイレ、睡眠など子どもの生活に関する時間と、連絡のためのコメントを手書きで記入しなければならない。朝の忙しい時間なので意外と毎日、手書きで記入することについて負担を感じている。あらゆるモノがインターネットでつながる「IoT」によって子どもの活動状況の情報「ライフログ」を自動的に記録したり、連絡のためのコメントを携帯電話での音声認識で自動的に記載できたりするようになれば、この負担から解放されるようになる。後で見ても楽しめるように写真を添付できるようにすれば、なお良い。そのような形でIoTによる子育て支援を実現してほしい。

アイデア004 車が道路を診断
秋田 収(会社員、68歳)

 道路を走行している一般の自動車。これを道路の状況を把握するためのセンサーとして利用しない手はないだろう。道路を走ることにより車のタイヤだけでなく、床面に張り巡らされた道路センサーがリアルタイムに状況を調べ、データを送り込んでいくことができる。このようにして一般の車から収集した巨大なデータをIoTの技術を活用して解析していく。道路を素早く、そして的確にメンテナンスすることにつなげることができる。道路を補修するのもロボットの機能を搭載した「自動道路補修車」だ。一般の車から収集したデータを生かし、最小限の時間とコストで道路を自動的に修復していく。こうすれば道路を封鎖する時間も最も少なくて済むだろう。そんなことがIoTを使って実現できたらいいなと思っている。

【講評】東原敏昭・日立製作所社長兼CEO

 IoTでどんな街や暮らしを実現したいのか、夢への提言をたくさんいただきました。「子育て支援に期待」のアイデアには大きな可能性を感じます。子どもの生活や音声データの蓄積によって、成長の記録や健康管理に活用できます。セキュリティーを確保しながら、家庭だけではなく学校や地域、国へとデータ活用の場を広げていけば教育の方向性を決めるうえでも役立つでしょう。IoTで「高齢者の暮らしに優しく」という街が実現すれば、ご本人はもちろん、家族や介護従事者にも大きな利点があります。大事なことはIoTによる支援が新たな社会的負担を招くことなく、より快適な生活や社会を実現することです。人と人とが地域で支えあっているような、自然にさりげない支援ができたらいいと思います。

 自動車はIoTで劇的に変わるでしょう。車にセンサーを搭載することで様々なデータの収集や分析が可能になります。収集したデータを、アイデアでいただいたような道路やトンネルの保全に生かしたり、マーケティングに活用したりといった可能性にも期待できます。今回ご提案いただいたような皆さんの夢を日立はIoTで実現していきたいと思っています。

(日本経済新聞2016年7月25日付)

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