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内定者研修・アルバイトに参加を求められたら?

ブラック企業との向き合い方(16)

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NIKKEI STYLE

夏休みが近づいてきました。内定を得た方の中には、夏休みから宿泊型研修や内定者アルバイトに参加するようにと言われている場合もあるかもしれません。そのような指示には従わなければならないのでしょうか。

多くが経験している内定者研修・内定者アルバイト

まず、内定者研修や内定者アルバイトの広がりを調査から確認しておきましょう。連合が2016年4月に行った「内定・入社前後のトラブルに関する調査」(*)によれば、内定者研修や内定者アルバイトなどに参加した者は55.9%と半数強に達しています。

(*)大学卒業後に新卒で正社員として就職した全国の入社2年目から5年目の男女1000名に対するネット調査。なお私はこの調査の企画・分析に参加しましたので、以下の説明では質問項目についての説明をプレス発表時から追加しています。

内訳(複数回答)としては「通信教育・資格勉強」(通信教育の受講・資格講座の受講・資格取得のための勉強)が25.3%と最も高い割合で、次いで「研修参加」(宿泊を伴う研修もしくは延べ3日以上の通学型の研修)が21.2%、「内定者インターンシップ・アルバイト参加」が17.2%、「読書感想文やレポートなどの課題提出」が15.1%などとなっています。

ただし業種による違いが大きく、「通信教育・資格勉強」は金融・保険業で63.7%と高くなっています。「内定者インターンシップ・アルバイト参加」は教育・学習支援業(40.5%)、学術・研究開発機関など(33.3%)、不動産業・物品賃貸業(32.4%)、小売業(30.9%)で比較的高い割合となっています。

内定者研修や通信教育・資格取得、内定者アルバイトなどに参加した者にその影響について聞いた結果では、「時間的な拘束が大きかった」という回答の割合が22.7%と最も高く、「卒業論文・卒業研究に支障があった」が13.1%で続いています(複数回答)。

また、内定者インターンシップ・アルバイトに参加した者の半数強(53.5%)は「必ず参加することが求められ」もしくは「強く参加を求められ」て参加しており、参加者全体のうち3割近く(28.0%)は延べ1カ月以上の長期間にわたって内定者インターンシップ・アルバイトに参加したことがわかりました。

このように時間的な拘束が大きい内定者研修や内定者アルバイトなどへの参加を断ることはできるのでしょうか。

内定者が働く約束は4月1日から

端的に言えば、断れます。なぜ断れるかというと、内定者はまだ、その会社の従業員ではないからです。

内定(*)とは法的には「労働契約の成立」ですが、特殊な労働契約であり「始期付解約権留保付労働契約」(しきつき・かいやくけんりゅうほつき・ろうどうけいやく)と呼ばれています。

(*)なお、いつの時点で「内定=労働契約の成立」とみなせるかについては、宮里民平弁護士らの執筆による「知っておきたい内定・入社前後のトラブルと対処法」(ブラック企業対策プロジェクト発行)の第1章を参照してください。

「始期付解約権留保付労働契約」のうち「始期付」とは「働き始めるのは卒業後の4月から」という意味です(会社によっては3月に入社式を行うところもありますが)。「解約権留保付」とは、卒業できなかったなど、よほどの場合に限り内定取り消しができることを意味しています。

つまり内定とは、労働契約は成立しているけれども、働き始めるのはまだ先(「始期付」)という労働契約なので、入社予定日(通常は4月1日)までは会社は業務命令をする権限はなく、皆さんには働く義務はないのです。そして研修も本来は業務の一環なので、会社は内定者に研修参加を義務づけることはできないのです。

内定者研修

多くの大企業では4月の入社後に時間をかけて新人研修を行っています。マナーの習得や業務の理解、業務に必要な専門的な知識・スキルの習得など、集合研修の形をとって行われるものだけでも1カ月以上に及ぶ場合もあります。その後も育成担当者のアドバイスを受けながら実際に仕事に従事するOJT(On the Job Training)が続きます。これらは従業員として参加するものであり、給与を受け取りながら仕事の基礎を習得するのです。

それを前倒しして入社前に行うというのは、本来はおかしいと言えます。

「無料で(研修費用は会社持ちで)研修を受けさせてあげる」というニュアンスで行われる場合もあるようですが、入社後に行う場合に比べて会社は研修中の給与を支払わずに済みます。また、入社前に研修を行って一定の業務能力を身に付けさせることができれば、入社後に早めに実務に就かせることができます。そのため、入社前に研修を行っておいた方が会社としては様々な意味で経費の節約になります。

しかし参加を求められる学生の側にとっては、内定後に初めて告げられる研修への参加は負担が大きいものです。就職先が決まってようやく卒業研究・卒論執筆に本腰を入れられると考えている人も多いでしょう。社会人になったら長期休暇を取りにくいことから、この機会に海外に行ってみたいという人もいるでしょう。

一方で、たとえ研修への参加が強制ではないにしても、それに参加しておかないと同期に遅れをとるのではないか、入社の段階で既に評価を落としてしまうのではないか、という心配もあるでしょう。そのため、なかなか参加を断りにくいのも実情でしょう。

このように入社前の研修は、企業側にとっては都合がよいものである一方で、学生側に負担を強いるものです。入社前に気持ちの上でも準備ができてよかったといった声も聞かれるのですが、学生生活を浸食する形で研修を行うことは、たとえ形式的には参加が強制ではなくても、企業側には控えていただきたいものです。

実際には内定者の皆さんは研修への参加を要請されれば臨機応変な対応が求められてしまうわけですが、困ったときには「仕方がない」と考えず、キャリアセンターや外部の専門家に相談してみてください。

卒論執筆のために非常に重要なタイミングで宿泊型研修への参加を求められてしまい、卒論執筆を断念しなければならないのではと悩んだ学生が教員に相談し、企業側に事情を話してみるようにアドバイスを受け、事情を話してみたところ別日程の研修への参加に変更ができたという例もあります。「会社の指示だから絶対従わなければいけない」と思い詰めないことが大切です。

なお特殊なケースでない限り、研修に参加しなかったことや求められた資格を取得できなかったことを理由に内定を取り消すことは認められていません。詳しくは上記に紹介した「知っておきたい内定・入社前後のトラブルと対処法」を確認してください。相談先も掲載されています。

さらに、会社によっては内定時または入社後に、洗脳的な研修を行う場合があります。外部との連絡が取れない山中の施設などに連れていき、スマートフォンなども回収し、夜にも十分な睡眠をとらせずに同期との競争を煽るなどして心理的に追い込んでいき、「会社の言うことは絶対でそれに従うしかない」と思わせるための研修です。そのような手法があることを知っておき、おかしいと思ったら早めに外部に相談することが大切です(*)。

(*)詳しくは、今野晴貴「現在進行中! ブラック企業の「洗脳研修」に気を付けろ!」参照。

内定者アルバイト・内定者インターンシップ

内定者アルバイトや内定者インターンシップも、研修の前倒しという意味合いがあります。それに加え現場の労働力不足を補うという意味合いが強い場合もあります。

連合の調査では「研修という名目だったが、繁忙期の人手不足を補うためのアルバイトだった」(小売業)という声も寄せられました。研修やインターンシップという名目であっても、実質的には業務であって会社の利益につながるものであれば、賃金が支払われる必要があります。インターンシップという名目で、適切な賃金も支払わずに週に何日もフルタイムで出勤するよう要請されるといった場合もありますので、注意が必要です。

また、内定者はまだその会社の従業員ではありませんので、内定者アルバイトや内定者インターンシップに参加するようにと強く求められても、それに従わなければならないわけではありません。

皆さんはアルバイト先で「お店が回らないから、土曜日も入って」などとシフトの追加を求められた経験はあるでしょうか。あらかじめ約束した曜日・時間以外にシフトに入ることについては、使用者は「依頼」をすることはできますが「命じる」ことはできません。皆さんも、それに応じてもよいのですが、断ってもよいのです。

内定者の場合も、内定者アルバイトに従事することにあらかじめ合意し内定前の段階で拘束時間をある程度特定した上で内定に至ったような特殊なケースでない限り、内定者アルバイトに参加しなければならない義務はありません。

学生としての時間の尊重を

内定者研修や内定後の資格取得の要請、内定者アルバイトへの参加要請などによって、内定後の時間が拘束され、卒論執筆に支障が出る学生を私も多く見てきました。問題は広がりを見せていたものの、内定者であるということから本人は声をあげづらく、問題として表面化させにくかったというのが実情です。先の連合の調査は、実態把握の第一歩だと考えています。

連合の調査では次のような声も寄せられました。

・アルバイトに2週間以上入ることを強要されました。遠くから来る人も関係なしで、交通費が出ても宿泊費はなし。理系学生にとっては実験が滞り最悪でした(製造業)

・取得する必要のある資格があるのなら募集要項に記載してもらいたい(運輸業・郵便業)

内定者に研修参加や資格取得、アルバイト参加などを強制する企業は、「内定を出したのだから、もうこっちのもの」と考えているのかもしれません。けれども内定者は、卒業まではあくまで学生です。学生としての時間を尊重し、内定後に学生を拘束することについては控えていただきたいものです。

法律監修:嶋崎量(弁護士・神奈川総合法律事務所)

上西充子(うえにし・みつこ) 法政大学キャリアデザイン学部教授。法政大学大学院キャリアデザイン学研究科教授。1965年奈良県生まれ。労働政策研究・研修機構で7年あまり調査研究に従事したのち、2003年より法政大学へ。若者の学校から職業への移行過程と初期キャリアに関心。近著に、石田眞・浅倉むつ子との共著『大学生のためのアルバイト・就活トラブルQ&A』(旬報社、2017年3月)。

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