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右か左かではなく、「前へ」進める政治をつくるには?

僕ら流・社会の変え方(17)

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NIKKEI STYLE

世界ではいま、極端な主張をする政治が人気を博しています。アメリカ大統領選挙ではドナルド・トランプ候補とバーニー・サンダース候補が大躍進。トランプ候補は共和党の候補の座を射止め、サンダース氏もクリントン氏に迫る票を獲得しました。イギリスではボリス・ジョンソン元ロンドン市長をはじめとしたEU離脱派が、国民投票で勝利をおさめました。その他のEU諸国でも、EU離脱を訴える極端な右派政党や左派政党が支持を集めていることも、よく報道されています。また、このような現象は、海外だけでなく、日本でも起こっています。「中道」と言われる勢力がだんだんと姿を消し、極端な主張をする人々が増えるようになりました。

無関心がつくり出す、極端な主張

なぜ、このようなことが起きているのでしょうか? いろいろな考え方がありますが、僕はひとえに、僕たちがこれまであまりにも政治に関心をもたず、放っておいてきたことが影響しているのだと思っています。

これまでの日本では、「政治のことについて話す」ことはなんとなくタブー視され、教育現場でも「政治的中立」を守るために具体的な論点について話し合うことは避けられてきました。また、まちや自分たちの生活をどう良くするかについて、普段から議論をすることはしてきませんでした。

もちろん忙しいし、「そんなことを日々考えていられない」人たちが政治家に託すというのが「代議制民主主義」なのです。ところが、その政治家(代議士)選びにしても、選挙の時にさっと調べて、さっと投票するだけになってしまっています。自ら選んだ人が、その後どのような行動をしているかについてウォッチしている人はどれだけいるでしょうか。

選挙に便利な「2択」争点

政治が「コンビニ化」している現状にあっては、政治家もメディアも選挙の時にはなるべく便利な争点を持ち出し、有権者に選択を迫ろうとします。先日行われた参院選でも、「Yes」か「No」で答えられる主張が目立ちました。「アベノミクスに賛成か反対か」「改憲するか改憲阻止か」など、わかりやすくて捉えやすい2択が提示される中で、僕たちも「どちらかと言われればこちらかな......」と選択したというのが現状だと思います。古くは、小泉政権の「郵政民営化に賛成か反対か」にはじまり、政治家やメディアがとにかくシンプルな論点をつくり出し、有権者もなんとなくそれに流されているように感じます。

ワイドショーは連日、「2択」についての論点ばかり報じ、政党や政治家も極端な発言で人気を集めようとする。そうして次第に政策や主張の二極化が増幅されているのが、現状ではないでしょうか。マスメディアだけでなくSNSやインターネットも、「極端」な主張を生み出すツールになってしまっています。SNSやインターネットでは、ユーザーが閲覧したサイトやクリックしたURL、友人関係などをもとに、上位に表示される内容が人によって変化する仕組みが採用されています。

FacebookのタイムラインやGoogleの検索結果など、僕たちが普段接している情報空間は、属性やインターネット上でとったアクションを考慮したアルゴリズムによって一人ひとりにとって"最適化"されているのです。それはすなわち、「自分と異なる価値観と出会いにくい」ということ。マスメディアの影響を受け、日常で小さな「Yes」か「No」かの選択を積み重ねていくうちに、僕たちは知らぬ間に、偏った考え方を持つようにもなってしまっているようです。

中道が消え、極端な主張ばかりがなされるようになった結果起きているのが、先日のイギリスのEU離脱問題で起きているような社会の分断です。若者と高齢者の対立、お金を持っている者と持っていない者の対立などと言われていますが、僕はその裏に政治への無関心とコンビニ化があると思うのです。

議論の中で、妥協点をみつけていく

でも、今、僕たちはきっと、社会の分断などを求めてはいません。本当は右か左かで争う状況を見たいのではなく、社会にある様々な課題を解決し、政治を前に進めていきたいと思っているはずです。右も左もうまく取り込んで、いろいろな意見のいいところを少しずつ取り入れつつ、着実に社会を前に進めていかなければ、僕たちがこれまで「社会科」の授業などでさんざん伝えられてきた「お先真っ暗」な日本を変えることはできません。政治を誰かにお任せして、自分は無関心でい続けていてもダメなことに、そろそろ僕たちも気づかなければだめなのです。

では、どうしたらいいのでしょうか? それは地味だけど、選挙の時だけでなく、普段から政治について、あるいは自分たちの生活をもっとよくするための方法について調べ、議論を重ね、たとえば就職のあり方について、理想の子育て環境について、あるいは自分のまちに必要なものについて、自分なりの考え方をもっておくことです。そして、折に触れ、SNSで主張したり、主張している人に「いいね!」したり、政治家にどんどん意見を伝えたりすることです。物事を簡単に理解しようとするよりも、難しいことを難しいまま、一生懸命考えようとすること。そして自分なりの小さなアクションを積み重ねることこそが、大事なのだと思います。そう、これからが勝負なのです。

極端な意見に流れたり、2択で提示される選択肢に安心してその先の思考を停止させたりしないためには、政治や社会に関するリテラシーを一人ひとりが身につける必要があります。僕もそんな思いから、『18歳からの選択 社会に出る前に考えておきたい20のこと』という本を博報堂時代の先輩・上木原弘修さんと、全国の学校で自治体とともに政治教育を行っているNPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」の後藤寛勝くんとともに出版しました。社会に出る前に知っておきたい20のトピックと、7つのアクションプランが提示してありますので、良かったらぜひ手に取ってみてください。

社会の問題はいつも複雑怪奇でわかりづらいものです。そして社会課題について、すぐに解決する特効薬はなかなかありません。自分の頭で考え、人と議論を重ね、いろんな主張を少しずつ汲み取りながら多くの人が納得できる妥協点を見出していくこと。これこそが地道だけど確実な「社会を変える」「前に進める」方法なのです。

横尾俊成(よこお・としなり)
 NPO法人グリーンバード代表/NPO法人マチノコト代表/港区議会議員(無所属)/慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 後期博士課程に在籍中。早稲田大学大学院修了、広告会社の博報堂を経て現職。まちの課題を若者や「社会のために役立ちたい」人の力で解消する仕組みづくりがテーマ。第6回、第10回マニフェスト大賞受賞。月刊『ソトコト』で「まちのプロデューサー論」を連載中。著書に『「社会を変える」のはじめかた』(産学社)、『18歳からの選択 社会に出る前に考えておきたい20のこと』(フィルムアート社)。
HP:http://www.ecotoshi.jp
Twitter: @ecotoshi

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