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アフリカの現実(2)ケニアで見た貧困の実情~食事は1日1回だけ

アフリカの現実(2) ケニアで見た貧困の実情~食事は1日1回だけ
authored by 根津朋子早稲田大学5年生

 初めて訪れたアフリカは東アフリカにあるケニアでした。小学校でボランティアをするプログラムに参加し、その町にいる外国人は私一人という環境です。受け入れ先である小学校の理事長先生宅にホームステイさせてもらいました。学校では子どもたち、家に帰ったら近所の人たち・理事長先生の家族と話すことで、現地の生活を知り、何を考えているのかを肌で感じることができました。

貧困はないのかもしれない......

 渡航前には、物乞いに襲われたりするんじゃないか、アフリカ人は食事ができない日もあるんじゃないかなど、アフリカに対してネガティブなイメージがありました。しかし、ボランティアを始めて数日、「貧困はないかもしれない」と思い始めました。なぜなら、農業が盛んで、毎日新鮮な野菜がとれ、ご飯は毎食食べています。町の人は近所の人と仲が良く、毎日井戸端会議をしているし、食卓ではテレビがないので楽しく家族でおしゃべりができています。

井戸端会議の様子。ホストマザーと近所のおばさんが話している

 日本では一人でご飯を食べる子どもがいたり、隣に住んでいる人が誰かわからなかったりします。それが、ケニアではみんなが常に笑っていました。むしろ日本よりも豊かな国なのではないかと思いました。

学びたくても学べない子どもたち

 ある日、学校の理事長に「ケニアには貧困はないと思う。日本よりもケニアのほうが笑顔が多いし、暮らす水準が違うだけでこれは貧困と言わないんじゃないかな」と伝えました。すると理事長が「それはどうかな。明日、トモコに見せたいところがある」と言ってきました。

ボランティアで活動の様子。子どもたちに勉強を教えている

 次の日、理事長に連れられてやってきたのは一軒の家。ケニアにはよくある土壁でできた家です。そこから出てきたのは一人の男性と、5人の小さな子どもたち。子どもたちは外国人の私を物珍しそうに眺め、私が話しかけると恥ずかしそうい「Jambo(こんにちは)」と言ってくれました。男性は子どもたちの父親で、忙しそうに農作物を収穫していました。理事長がスワヒリ語で父親と一通り会話し、私に訳してくれました。

 子どもたちはもう小学生くらいの年齢ですが、学校に通っていませんでした。ケニアの公立小学校は無償で教育を受けられる制度なのですが、この家は収入が少なく、子どもたちを働かせないといけません。教育を受けたほうが生涯賃金があがるというデータを示したこともありましたが、父親自身が教育を受けていないから子どもが教育を受ける必要性が心から理解することができないのです。理事長はもう何度もこの家に通い、子どもたちを学校に通わせるように説得しているのですが、父親はなかなか応じないとのことでした。

1つの教科書をみんなで見ながら勉強する子どもたち

受け継がれていく貧困

 親から子どもへとどんどん貧困が受け継がれていく、負の連鎖がある事実をそこで初めて知りました。その事実を知り、私は自分が関わったことのある人のことしか知らないことを認識しました。小学校で子どもと話すときも深い話をするのは特定の子でした。そこで、もっとみんなが何を思っているのかを知るために貧困に関するアンケートをとることにしたのです。

ホームステイ先で。このキッチンで料理をしていた

 アンケートの結果、ほとんどの人が親が学費を払えているから中流家庭だと思っていると答えました。私はそれまでケニア人は全員が貧困だと思っていると思い込んでいたのですが、意外にも中流家庭だと答えた人が多数でした。そしてさらに驚いたのは自分は貧しいと答えた生徒が約10%いました。その理由は、1日に1回しか食事を取っていないから、学校に通うのを支援してもらっているからというものでした。

 私が知らなかっただけで表面的には生きていけても、困っている生徒はたくさんいることを知りました。学校から支援を受けている子どもたちは奨学金制度が充実していないことで行きたい学校に行けなかったり、そもそも学校に通えなくなったりすると校長先生が教えてくれました。

 ケニア内での教育制度を充実させ、そのために他国からの支援をもっと入れなければケニアは発展していかないと強く思いました。しかし、現在はファッションブランドを立ち上げ、支援は一切やっていません。次回は他国からの支援が必要だと考えていた私が、ビジネスに興味を持ったきっかけについてお話しします!