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会社見学へ行こう(10)JT(日本たばこ産業)「実はグローバル企業だったんだ」

authored by 日経カレッジカフェ 
会社見学へ行こう(10) JT(日本たばこ産業)「実はグローバル企業だったんだ」

 皆さん、JT(日本たばこ産業)という会社にどんなイメージを持っていますか。「国内でタバコを製造・販売している会社」くらいで、「タバコを吸わないので関心ない」という方も中にはいるのでは。今回の会社見学会は、そんなJTの協力を得て行われました。参加したのは23人の学生。「こんな会社だとは知らなかった」。彼ら、彼女らの見学会後の感想です。なにが最初のイメージを変えたのでしょうか。

「サンジェルマン」も「加ト吉」もグループ企業

 会社見学会は7月19日、東京・虎ノ門のJT本社で行われました。地上35階建ての本社ビルの1階ロビーが参加者の集合場所。見ると多くの社員や来訪者が気持ち良さそうにタバコを吸っています。さすがにJTらしく、ロビーが喫煙と禁煙のスペースに分かれ、喫煙スペースもとても広い。ただ、換気設備や空気清浄機が整備されているので、喫煙スペースに入っても非喫煙者でも不快にはなりません。

東京・虎ノ門にそびえるJT本社ビル

 25階の会議室に導かれ、見学会が始まりました。「当社はいま、スーパークールビズなので、皆さんリラックスしてください」という人事部の女性の言葉で、学生の緊張がちょっとほぐれます。確かにポロシャツ姿の男性社員もちらほら。ベーカリー・ショップ「サンジェルマン」のラスクが配られ、「この会社もJTグループです」という説明に、「へぇ」という感嘆の声が漏れました。

 最初に登壇したのは、たばこ事業本部事業企画室で新卒採用や研修を担当する赤木直子さん。JTグループの会社概要を説明していただきました。「『ひとのときを、想う』。これがJTグループのコミュニケーションワードです」。同社の企業CMでよく耳にする言葉ですね。「おいしい、ほっとした、助かった。そんな感情を製品を通じて訴えたいとCMで伝えています」。

 1985年に旧・日本専売公社が民営化されて誕生したJTは、たばこ事業法により国産葉タバコの全量買取契約が義務づけられる一方で、国内でのタバコ製造の独占を認められている会社です。とはいえ、海外からも競合メーカーが日本市場に参入してくるため、「多角化を進める必要に迫られて、医薬事業や加工食品事業にもチャレンジしてきた」(赤木さん)そうです。冷凍食品大手だった加ト吉(現・テーブルマーク)も、今は100%出資子会社です。

JTの意外な一面を語る赤木さん

売り上げの半分以上を海外が占めていた

 参加者の関心を特に引いたのは、赤木さんの「JTグループは世界120カ国以上で事業を行っています」という言葉でした。「海外にある工場は30カ所、社員数はグループで4万4485人、国籍も100カ国以上とグローバル展開しています」。

 赤木さんの示したデータでは、同社の2015年度売上収益(売上高)2兆2529億円(連結)のうち、海外でのタバコ販売が58.5%と半分以上を占めます(国内販売は30.1%)。本業のもうけである営業利益の伸び率は、年平均8.3%と高い数字。「タバコ産業はもう成長しないというのは誤解。海外のタバコ事業はまだまだ成長を続けています」。JTは1999年に「ウィンストン」や「セーラム」で知られるアメリカのRJRインターナショナルを、2007年には主に欧州でタバコ事業を展開するイギリスのギャラハーを買収しました。こうした世界的M&Aで世界第3位のタバコメーカーに成長したのですね。「長期的には世界ナンバーワンのタバコ会社を目指しています」(赤木さん)ということです。

 参加者のひとりで、所属するゼミでは唯一の喫煙者という鈴木貴也さん(青山学院大3年)は、「これほどグローバル展開しているとは知らなかった。タバコ以外の事業にも力を入れており、JTのイメージが変わりました」という感想を終了後に話してくれました。

 赤木さんへの質疑応答では多くの参加者から手が上がりました。「消費量が落ちている日本市場の展開は難しいのでは」という問いには、「日本市場の重要性は変わらない。製品に厳しい目をもつ日本の顧客がいてこそ高い品質が保て、ブランド力として世界に発信することができます」という回答。「タバコによる健康被害が言われる中で、タバコの良さを伝えられるのか」との厳しい質問には、「大人がリスクを知った上で選択する商品。マイナス情報もしっかり伝えたうえで、人生にいいひとときを与えてくれるものと伝えたいです」と答えていただきました。

 「JT社内の喫煙率はどのくらいですか」という質問も出ました。赤木さんは微笑みながら「私の感覚では7割くらい。やはりタバコを愛している人が多いです。ちなみに私は吸いません」。非喫煙者も3割はいるのですね。

「共存社会の実現」を訴える古田さん

分煙で共存を目指す

 続いて登場したのは、たばこ事業本部渉外企画室の古田剛さん。JTが目指す「共存社会の実現について」というお話です。

 「我々の理念は『協調ある共存』。タバコを吸う人も吸わない人も、分煙で共存できる社会を目指すことです」。そのためにテレビCMで「大人のたしなみ方」を訴えたり、新聞広告で「大人たばこ養成講座」という企画を打ったり、携帯灰皿を街頭で配布したりする活動を行っているそうです。各地のお祭りなどと連動した市民参加型の清掃活動も回を重ねており、「吸殻のポイ捨てをなくそう」と訴えています。

 「主要な業務に分煙コンサルティングもありますね」と古田さん。企業や店舗、商業施設などからの依頼を受けて、エリアやフロア、時間帯などで喫煙スペースを分け、「こういう形を取れば煙がもれませんよ」と提案することだそうです。年間約3000件の実績があるそうで、室内に気流を作り、喫煙エリアと非喫煙エリアの間に仕切りがない仕組みも可能とのこと。分煙技術も進んでいるのですね。さらに銀座や新橋、墨田区、世田谷区二子玉川などでは、分煙を地域の集客に生かす「分煙タウン」の取り組みも進めているそうです。

厳しい質問も相次いだ

 2時間近い社員の説明が終わった後は、吹き抜けのホール2階のオブジェ前で記念撮影。喫煙者には同社の製品がお土産で配られました。質疑応答で鋭い質問を浴びせていた森舞雪さん(日本大学3年)は、「JTの電子タバコ『プルームテック』を友人が吸っていたので興味がありました。健康を考えるとジレンマのある事業という思いはありましたが、社員の方の話を聞いて、個人の楽しみと社会での共存を両立させることは可能なのだと感じました」という感想。非喫煙者で周りにも喫煙者はあまりいないという土井幹裕さん(国際基督教大2年)は、「赤木さんの、タバコを吸わない立場だからできることがあるという話はとても新鮮でした」と話してくれました。

 JTの皆さん、学生の皆さん、長時間にわたりご参加ありがとうございました。

記念撮影