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[ career-働き方 ]

福島のためにできること(上)福島県のフルーツとコラボしませんか?

平井幸奈 authored by 平井幸奈株式会社フォルスタイル代表取締役CEO
福島のためにできること(上) 福島県のフルーツとコラボしませんか?

 5年前に東日本大震災が発生した当時、私は高校生で地元広島にいました。連日の報道は、現実に起こっていることとは思えないショッキングな映像ばかり。何かしなければという思いはあったものの、私にできたことはほんのわずかな募金だけでした。福島に足を運び復興支援のボランティアに参加する友人もいましたが、恥ずかしながら私は思い切ることができませんでした。

 大学3年生のときに日本初のブリュレフレンチトースト専門店ForuCafeを開いてから2年目に、大学の先輩である福島テレビの鈴木康一郎アナウンサーがお店に来てくださいました。

 「福島ってとてもいい場所なんです。壮大な自然と美味しいものも沢山あって、控えめで穏やかな人たちがいて。でも、震災の爪痕は未だに残っていて、まだまだ風評被害もあります」

 福島の魅力と現状をお話しいただきました。それを聞いて今更ながら、私も何か自分にできることはないかな、そう考えるようになりました。

福島の大自然

福島のフルーツとコラボ

 それから少し経って、一般社団法人の「ふくしまチャレンジはじめっぺ」さんから福島県のフルーツとのコラボレーションのお話をいただいたのです。私は二つ返事で「します、させてください」と答えました。

 お話をいただいてから「まずは福島をもっと知りたい」という思いが湧いてきて、休みの日に実際に福島に足を運びました。福島の魅力と現状を自分の目で確かめたいと思ったのです。円盤餃子、ほっきなどの美味しい福島の名物を食べて、福島の観光道路・磐梯吾妻スカイラインを通りました。そこから福島市を見下ろした景色は絶景でした。

 そしてなにより、私が心を打たれたのはあたたかい現地の人たち。「お姉ちゃん、これ私が作ったんだけど使ってみてくんちぇ」って、その日出会ったおばあさんが手作りの巾着をくださったり。おだやかであたたかい人々に胸を打たれました。

円盤餃子

名物たこ八の前で

立ち入り禁止区域で見た現実

 被災地にも伺い、テレビニュースでは観ていた原発近くの「立ち入り禁止区域」を車で案内してもらいました。いたるところに大量に積み上げられた黒い袋は行き場を失った放射線汚染物。コンビニや薬局、車屋さんなど、中には誰一人いない異様な景色。住宅の入り口にも柵がされていました。

行き場のない汚染物

 立ち入り禁止区域の多くの家はまだ震災後壊れて、そのままの状態。そんな光景を前に言葉を失ってしまいました。ある日突然、自分の住み慣れた家や街がなくなるなんて、私には想像できなくて、当時の被災者の方々の気持ちは計り知れません。それでも明るく強く生きられている福島の方々の姿がありました。

 視察を経て、その現状に圧倒されながらも「福島のために、自分ができることはなんだろう」と真剣に考えるようになりました。でも考えれば考えるほど、「福島のために」今回コラボレーションで桃をいただいて商品をつくるなんてちっぽけなことは本当に福島の役に立つのか、ただ私の自己満足じゃないかな、と疑問に思うようになりました。

福島の現状

 それを鈴木さんに相談すると、「東京の人、しかも若い人がそう考えてアクションを起こしてくれることがとてもありがたいのです。福島県民にとっては、首都圏の人たちが、福島の桃に触れるきっかけを作ってくれることが嬉しいのです。平井さんしかできないこと。ぜひ平井さんの言葉で福島の桃を伝えてほしい」と言ってくださいました。

 ただの自己満足で終わらせないために、絶対に成功させたい、福島の桃を広めたい、私たちにできることをしたい、そう決意しました。