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みんなの食事(2)「Mealink」を立ち上げて学んだこと

みんなの食事(2) 「Mealink」を立ち上げて学んだこと
authored by もちゆかMealink総代表

 2010年5月、「食事(Meal)が様々なものに繋がっている(Link)意識を持ってもらいたい!」そのような想いでMealinkを立ち上げました。"Mealinkという組織を立ち上げた"といっても、もちろん最初は1人でした。それもそのはずです。なぜなら、同じ思いをもって活動できそうな仲間が身近に1人もいなかったからこそ、仲間が欲しくて、仲間を探す意味も込めて個人ではなく、団体という形で何か行動を始めようと思ったからです。

 ベジタリアン食の持つ可能性を感じている同世代や、食事が社会を作っているという意識を持つことの大切さを伝えていきたいと感じている同世代に出会いたい。そのような思いでいっぱいでした。ただ、自分の体調のこともあり、1人のペースを大事にしたい時期でもありました。当初、仲間は欲しいけれど自分から組織を立ち上げたいと思う気持ちは全くありませんでした。

 そこで、まずは既存の学生団体や学生サークル・社会人団体等も含め、自分の発信したい思いと親和性の高い事をやっている活動にはできるだけ足を運んでみました。インターネットやSNSでの検索はもちろん、人に聞いて様々な活動を紹介してもらいました。

既存の団体は何かが違った

 実際に農業サークルやベジタリアン食を推進する団体を見つけては、「これかも!」と思った組織や活動も幾つかありましたが、何かが違う。そんな事を繰り返す中で1度は組織に入り活動をするのを諦めました。そして、「既に1店舗、ベジタリアン食対応の飲食店で働かせてもらっているけれど、もっと自分自身の知識や経験を増やすために、ベジタリアンの飲食店を探して、アルバイトをかけもちしよう!」、そんなことを考え、実際に短期間働かせてもらった飲食店もありました。それでも、何かが違う。

 既存の何かで自分がしっくりこないのであれば、自分でやるしかない。そう思ってアクションを起こしたMealinkの最初の一歩は、当時流行していたmixiコミュニティへの書き込みでした。10代の私には今以上に、仲間もお金も経験もスキルもありません。「何か一緒にやろう! 団体・組織を作ろう!」なんて声をかけてもらうような機会すらありませんでした。

 そんな当時の自分にもできたことは、どこからか湧き出てくる強い使命感と、目の前にあった携帯電話を使い、mixiで自分の想いを発信して呼びかけることでした。今でも当時投稿した文章をメンバーと"ネタ"として振り返るほど、支離滅裂な文章でした(笑)。とにかく必死に考えていたやりたいことを書き連ねた「誰か一緒にやりませんか? どうしても頑張りたいです!」のメッセージ。そのような支離滅裂で、無茶苦茶な呼びかけでも、徐々に人が集まって下さって......、気が付いたら私は発起人として、組織の代表となっていました。

「今できることを1つ残さずやってみる」

 Mealink立ち上げに際して多くの事を学び、体感させてもらいましたが、中でも「色々試しても上手くいかないときは何かのサイン。少し立ち止まって、流れに身をまかせてみると答えがでてくる」「たとえ下手くそでも、今できることを1つ残さずやってみる」ということの大切さを学びました。今でもそれは自分の中で礎の1つになっているように思います。

 さて、団体はできたし、名前もついた。協力し合える仲間も集まってきてくれた。しかし、そこからが大変でした。何よりも当時の自分は、まさに"思いはあるけれど、具体的にどんなアクションをしたらいいか分からない"ような状態でした。人は既に集まっているのに......。

 また、当初呼びかけた仲間は学生という枠に限定していなかったこともあり、自分よりも一回りも二回りも上の年齢の大人もいました。なので、そもそもどのようにメンバーと接したらいいかもわかりませんでした。それに加え連絡手段や情報共有の仕方もどうしたらいいか分からず、1つずつ手探りでした。1人ひとり個別に諸連絡を送っていた際に、メンバーからメーリングリストという、メールを一斉送信ができる機能を教えてもらった時、心底感動したことを今でもおぼえているほどです(笑)。

最初の活動はベジタリアン食専門の飲食店巡り

 そのような状況ではありましたが、メンバーと共に支え合いながら、少しずつ活動を始めていきました。現在のMealinkでは"ベジタリアン食を切り口に、食について考えるきっかけをつくりたい!"という思いを掲げており、ベジタリアン食を入り口とした手段で、食全体に視野を広げていますが、当初はどちらかというとベジタリアン食そのものの良さを広げることを目的としていました。「ベジタリアン食の良さを広げたい、ベジタリアン食をイタリアンやフレンチのように選択できる料理ジャンルの1つにしたい」。そのような思いが強かったので、最初の活動はベジタリアン食専門の飲食店巡りからはじまりました。

 ベジタリアン食専門の飲食店で食事を共に囲む中で、様々なアイデアが出てきました。「学食や飲食店にベジタリアン食メニューを入れたい!」「スーパーやコンビニに自分達のオリジナルメニューをいれたい!」「有機栽培の野菜やお米をつくりたい!」「マルシェで野菜を販売したい!」「○○の団体とコラボイベントがしたい!」「みんなでお料理作りたい!」「ベジタリアンカフェをまとめたガイドブックがつくりたい!」「セミナーや勉強会をしたい!」「1dayカフェをやりたい!」......。

 思いつくものやアイデアがでたものは本当に全てチャレンジしたように思います。中にはしっかり継続できたものもありましたし、途中でダメになってしまったものもあります。当時は私も10代から20代になりたてのころ。何かしたい! と思っても、今以上に自分達だけでは何もできませんでした。もちろん、相談する先輩や上司、メンターもいません。何かしようと試みる度に社会という壁がありました。

失敗やだまされたことも

 いい意味で私達の足元をすくってくれた社会人もいました。非営利団体にも関わらず、なぜか気が付くと負債ができていることもありましたし、たくさん失敗もさせてもらいました。

 例えば、口頭での約束だけで進めたものの、最後は連絡が取れなくなってしまい、当時の私達にとってはかなり大きな金額の経費が持ち出しになってしまった事もありました。Mealinkの活動紹介をさせてくれるというお話を頂き、数カ月かけて社会人の方と協力して、企画から集客まで関わったイベントなのに、当日もその後もMealinkの名前が1度もでてこなかったりしたこともありました。もちろん、本当に温かく、"社会のマナー"を教えて下さった社会人の方にもたくさん出会うことができ、今も自分の教訓となっていることも多々あります。

 ここには書き切れないほど色々な事があったものの、様々な活動を続けていく中でまず一番感じたことは、「これは一生取り組みたいと思える活動だ!」ということです。そして、「今の自分のように思いはあるけれど、何をしたらいいか誰を信じたらいいか分からない、そんな学生にとって心から信頼できる社会人になりたい。そして、今の自分のように右も左も分からずにこまっている人をサポートができるような大人になれるよう力をつけていきたい」と思いました。そのような事を自分と重ねて考えるようになりました。あっという間に時は過ぎ、就活の時期を迎えます。