日本経済新聞 関連サイト

OK
[ skill up-自己成長 ]

会社見学へ行こう(11)トヨタ自動車「GDPの1割を
支える"カイゼン"の秘密」

authored by 日経カレッジカフェ 
会社見学へ行こう(11) トヨタ自動車「GDPの1割を支える

 日経カレッジカフェは、トヨタ自動車の協力を得て会社見学会を開催しました。雨の中、夏休みのインターンシップを控えた3年生を中心に1、2年生や大学院生もまじえて、水道橋のトヨタ自動車東京本社に集まった大学生は23人。岡山や北海道から参加した熱心な学生もいました。

 ロビーで入館証を渡されて社内に入ると、まず案内されたのは役員用の会議室。30人ほどで囲める大きなテーブルがあって、少し古風なモスグリーンの布張りの重厚なイスに座るように促されます。トヨタの本社は愛知県豊田市にあって、東京本社に役員が集って会議する機会はあまりなく、この日も空いていたため、会社見学のガイダンスのためにとってくれたようです。

「日本の産業を守る」責任

役員会議室でガイダンス

 ここで豊田の本社から来た人材開発部の川下俊輔さんから、トヨタとはどんな会社なのか、お話をうかがいました。川下さんのお話の中心はトヨタの責任と覚悟について。(1)人の生活を支える(2)交通事故死ゼロをめざす(3)持続可能な社会をめざす(4)日本の産業を守る――という4つの観点から、会社の理念をわかりやすく話すストーリーですが、この日は通常の会社説明会より時間が短かったため、(3)と(4)に絞って話を進めてくれました。

 なぜトヨタは、世界初の量産型FCV(燃料電池車)「MIRAI(ミライ)」を開発したのか。そこには自動車メーカーとしていかに持続可能な社会に貢献していくのかというより大きな文明のビジョンがあります。そうした世界規模の大きな視点をめざしつつも、日本のトップ企業として「日本の産業を守る」という責任もトヨタにはあると川下さんは強調します。「トヨタの生み出す付加価値は年間50兆円。これは日本の国内総生産(GDP)の1割に当たる」と川下さん。それだけの規模を持つ以上、国内生産を守り、日本の産業を守る必要がトヨタにはあるのです。

 川下さんのお話のあとは、社内のいろいろなところを見せてもらうことに。東京総務部人事室の人事グループ長、床並圭子さんの案内で人事室などが入る執務フロアに入りました。整然と並ぶデスクを前に、電話をしたりパソコンを使ったり、席を立って打ち合わせに向かったり、多くの社員が思い思いに自分の仕事をしています。皆さん忙しそうなところを脇の通路から見ていると、邪魔をしているようで落ち着きませんでしたが、オフィスワークの日ごろの雰囲気はよく伝わってきました。

食堂の並び方にも「カイゼン」が

食堂の床には待つ人のルートが描かれている

 続いては食堂。「ちょっと床を見てください」と床並さんが促します。そこには待つ人が並ぶ位置やルートが赤や緑の線で示されていて、混雑時でもスムーズに料理の受け渡しができるように工夫されているのです。「こういうところがトヨタらしいかもしれません」と床並さん。食堂のオペレーションにもカイゼンの考え方が浸透しているようです。

 移動しながら売店なども見せてもらった後、別棟の地下に案内されました。そこは防災対策室。地震などが起こったときに司令塔となる部屋です。実際2011年の東日本大震災のときに使用されましたが、そのときの経験を生かして大きく改善されたとのことです。

 例えば、実際の計画や行動を書き込む大型のホワイトボードもその一つ。「何を行ったか」「誰が」などと、行動や指揮の混乱を防ぐ項目立ての仕方は、東日本大震災の経験から生まれたカイゼンの成果だそうです。簡単な食料や飲料水なども倉庫に備蓄する方式から自分のデスクまわりにある程度置いておくといった変更もなされました。「こうしたところにもトヨタらしさを見てもらえると思います」と話す床並さんは、なんとも頼もしげに映りました。

防災対策室で

大型のホワイトボードに書き込む

 最後は社外の人も利用できる社員クラブに案内され、アイスコーヒーをごちそうになりました。夜はアルコールやおつまみなども提供している施設で、社内外の人との飲みニケーションなどにも利用できます。街の居酒屋などに比べるとかなり安いので、単身赴任の社員や独身者などはここで夕食を済ませて帰る人もいるといいます。アイスコーヒーを飲みながら付き添ってくれた社員の人や見学者同士でしばらくくつろいで話をしたあと、ロビーに下りて記念撮影し、散会となりました。

 参加した学生たちは「トヨタが人を大事にする会社だということが防災室などの見学を通してよくわかった」「実際に仕事をしているところや食堂などが見られたので、自分にひきつけて考えることができた」などと感想を話してくれました。

 トヨタ自動車の皆さん、学生の皆さん、長時間にわたりご参加ありがとうございました。

好評のカレッジカフェ会社見学は、10月以降第3弾の開催を予定しています。お楽しみに。

「日経College Cafe」のお勧め記事はこちら>>