そもそも絶対的不幸は存在しないと思う
女子大生経営者として学んだこと(4)
本当に嫌なことがあって、何で自分だけがこんな不幸なんだって思うこと、みんな一度はありますよね。私も3カ月前に元彼の浮気が発覚した時は、なんで自分だけこんな不幸なんだろう......と、地獄の底のような気持ちになったものです。
私は前回の記事でも話したように、あまりマイナスなことはSNSで書かないようにしているので、全てトントン拍子で上手く行っていると思われがちです。でも、私も普通の大学生なので、失敗していないはずがないんですよね。今回はそういう話ができたらなあと思います。
どんな失敗をしてきたか
まず、私が一体どういう失敗をしてきたか、ちょっとだけ書き出してみます。今から1年くらい前のことです。海外と初めて取引をすることになりました。でも、私は海外との取引経験がないので、ずっとうちの事業に興味を持っていて、ちょこちょこと手伝ってくれていた方が有志で仲介してくれることになりました。その後、あまり具体的に書くと問題があるのでオブラートに包んで書くと、全然販売できない商品を突然納期も守らずに納品され、さらに1週間以内に代金400万円を支払えという連絡が来るという事件があったのです。
具体的には、ハロウィンやクリスマスのような季節物の商品がイベント前日に何の予告もなく届くという感じです。クリスマス商品がクリスマス前日に届けられても、販売や予約も取ってないし、今からではお客様の元へも届けられないしどうしようもない! クリスマスに間に合うように、ってそういう意味じゃないから!!! しかも、納期を守らなかったためにシーズンオフになってしまっただけでなく、指示と違うもの、縫製ミスなどなど。
さらに、仲介に入った人と、その人と仲よかった30歳近いスタッフは何も解決しようとせず、私の持ちかけた相談に対して「小学生の喧嘩には付き合ってられないんだけど」と放棄される始末でした。あげくの果てに、半ば失踪するように彼らに消えられ、1年くらい一緒に仕事をしていた人とは思えない仕打ちを受けました。今でこそ、こうやって冷静に話せますが、正直、その最中にいる時には、「こんな酷いことをする人間が本当に存在するのか」「こんな苦しんで不幸なのは世界で自分だけではないのか?!」という具合にすごく落ち込んで、夜も眠れないほどでした。
1週間くらいは仕事も本調子になれず、その後1カ月くらいは販売スケジュールや取引も上手くいかず、売り上げも普段の3分の1ほど。明るいtwitterの裏で、実はこのようなひどい経験をしていたのです。ただ、これは結果論でしかないのですが、この一件は事業が本格的に勢いつく前で本当によかったと思っています。
失敗も後から考えればよい機会に
私はこれを機に一切の人事を見直して、必要な人だけに仕事をお願いし、適切なギャラを払い、会社としてのあり方や体制も一気に整えることにしました。一言でいうと一気に毒が抜け、働いていて気持ちのよい会社になりました。
今では、気持ちのよい会社になるためのいい機会として、あってしかるべきイベントだったなあと考えています。このように事件の最中だと感情的になってしまい、「自分は不幸だ」と決めつけてしまいたくなるような出来事でも、後から考えてみると今に繋がっているイベントだったと思えることもあります。「不幸か、幸せか」というのは、すごく主体的な話で、不幸だと思えば不幸だし、幸せだと思えば幸せになります。それは、半分水が入ったコップを見て「半分しか水がない...」と思うか、「半分も水がある!」と思うか、という例えでよく話されています。だからこそ、絶対的不幸というものはそもそも存在しないと私は思うのです。
実際、起業するといろいろストレスになることも起きます。でもそれを不幸だと決めつけ始めると何もできないし、ストレスに押しつぶされそうになってしまいます。だからこそ、淡々と出来事として認知してやり過ごしたり、対処したりすることで、毎日を平穏に過ごせるように心がけています。
自分で「不幸」と決めつけない
「嫌だったな」と思うことがあったとしても、自分で「不幸」と決めつけ、行動を狭めたり諦めたりするのはすごくもったいない! 大体それらは良い学びになって、その後のいい出来事を起こすトリガーになったり、何かしら生きてくることがほとんどだと思います。なので、私も一時的な負の感情だけに支配されてしまうことがないように気をつけています。
最後に、最近、経営者の知り合い達がこぞって絶賛していて、実際読んでみたら自分のここ1、2年で学んだことに近いなと感じ、心に留めているアドラー心理学の考え方を共有してまとめたいと思います。アドラー心理学とは、最近本になって話題となった、人と幸せと自由に迫る心理学です。そこから代表的でかつ、私の今回話したかった考え方をひとつ。
「現在の自分が不幸なのは、実は自分で不幸であることを選んでいるから」
次回は、コミュニティについての話です。自分の心の休まるところというか、自分の居場所について考えていきます。次回もぜひ読んでみてください。
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