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数学オリンピックからジャズピアノ、そして教育へ

数学×音楽=創造!(1)

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NIKKEI STYLE

皆さんは、「国際数学オリンピック」(通称IMO: International Mathematical Olympiad)という催しをご存じでしょうか。1959年に始まった、高校生を対象とした数学の問題を解く国際大会です。日本は90年から参加しました。私は20年前のことになりますが、96年国際数学オリンピックインド大会に日本人女性として初めて参加し、金メダルを受賞しました。

私は小さい頃は音楽に打ち込み、その後数学に魅せられ、また音楽活動も再開し、現在はジャズピアニスト・作曲家として、数学者として、また新しい学びをデザインする教育家としても活動しています。

数学と音楽と教育の深い関係

数学と音楽、教育というと、バラバラの分野のように思われるかもしれませんが、実は3つの分野は互いに深く関連しており、21世紀を生き抜くために不可欠な要素になっています。この30年ほどでICT(情報通信技術)は急激に発展し、インターネットが普及し、社会は激変しました。結果、世の中の価値はtangibleなもの(手に触れるもの:工場や製品など)からintangibleなもの(手に触れないもの:アイデアや変革など)へとシフトしています。

21世紀には、ただ知識やスキルがあるだけではだめで、どのように問題を解決していくか、具体的なモノではなく、まだ存在しない新しい価値あるアイデアを生み出すか、どのように人の可能性を引き出していけるのか、といった思考や感性の体力が必要になっています。

私は、幼少期音楽が大好き(ただし、譜面通りにひく練習は今イチ不得手)でした。特に作曲や思いのままに音を連ねる即興がその頃から大好きでしたが、中学に入る頃、段々思いつく曲の構成が似たようなものばかりになっていることに気づきました。そこで、中学2年生のときに音楽をきっぱり全てやめることに。次に私を魅惑したのは数学の神秘の世界でした。

1990年、日本が国際数学オリンピック(通称IMO: International Mathematical Olympiad) への参加を開始したと新聞で読んだのが小学5年生の頃。そのときは自分には全く縁のない話と思っていました。中学2年頃、『高校への数学』(東京出版)の「高数オリンピック」、『大学への数学』(東京出版)の「今月の宿題」などに月に一度掲載される難問正答者に同じ学年の人の名前があることに気づき、彼らの美しい解法に憧れて、徐々に自分でも挑戦するようになりました。

数学は自由だ

数学というと、答えが決まっていてそれ以外はバツ、と思われるかもしれませんが、数学の面白さは、実は「答え」は決まっていても、「解法」は一通りではないということです。人それぞれの個性や視点で、全く同じ問いであっても、全く違う解き方が生まれます。だから、そうした雑誌の難問解法を紹介するページは、まるで絵画の展覧会のようでした。天才的なアイデアがあったり、そんな泥臭い力技でできるのか! と驚かされたり。でもどの発想にも珠玉の価値があり、その発想からさらに奥深い世界へとつながっているのです。わくわくと心躍る毎日が始まりました。

数学の醍醐味は、まさにその視点の自由度です。よく知っているはずの友人が、ふと、全く知らない別の顔を見せることがありますよね。それと同じで、先入観に凝り固まった視点をどう溶かして、本質を見出すか。それが数学の研究です。数学者にとって、数学とは、マニュアル通りの運航では絶対にたどり着けない未知なる世界への道を探す旅です。

かつてピカソは、ある日、チョークで道路に絵を描いて遊んでいる子どもたちにこのマッチ箱を描いてみろと挑んだそうです。子どもたちがいろんなマッチ箱を描くけれど、まだまだまだまだ別の角度があるはずだと挑むピカソ。そのとき、子どもは、ふとマッチ箱の展開図を描きました。その発想にピカソは仰天したのです。

対象を見たままではなく、その構造(面と面の繋がり方など)からとらえようとする子どもの「数学的」発想は、天下の芸術家を唸らせ、キュビスムを更なる深みへと導きました。20世紀の芸術や社会は、こうした「構造や関係性から本質を見抜こう」とする数学や物理の世界に大いに刺激を受け、既存の価値観や枠組みを破壊し、動乱の時代を迎えます。

一方、通常の学校数学では、往々にして○か×かの二択を迫られますよね。もちろん、基礎的な計算力や公式を使う力は、これから皆さんがどの分野で仕事をする場合でも必要になる基礎体力です。でも同時に数学は、問題設定力・失敗力・発想力・問題解決力などを育成する創造的な学問でもあります。そして、21世紀の私たちに求められているのは、むしろこうしたソフトスキルなのです。これから大学生の皆さんとともに、具体的な数学や音楽を用いて、楽しみながらそうしたスキルを身に付ける方法を探っていきたいと思います。

中島さち子
 1979年生まれ。1996年、日本人女性初の国際数学オリンピック金メダル獲得、翌年銀メダル獲得。大学時代にジャズに出会い、東京大学理学部数学科卒業後、音楽家の道へ。2010年中島さち子TRIOとしてアルバム「Rejoice」リリース。著書に『人生を変える「数学」そして「音楽」』(講談社)など。現在は音楽活動の他、Phoenix Consulting CEO室長として、グローバル人材育成支援に携わる。数学×音楽の講演・ワークショップ・執筆など幅広く活動。

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