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謝罪・依頼…
社外との言葉遣い、適切なのは

謝罪・依頼…社外との言葉遣い、適切なのは

 気持ちよく仕事をするもしないも言葉の選び方次第。特に相手が取引先など外部の人の場合、社内の相手以上に気を遣わねばならないだろう。なるべく相手の気分を害さず、和やかに仕事を進めるコツをまとめた。

 「謝罪の言葉はどれがベストなのか」。アパレルメーカー勤務の社会人1年生のAさんは迷うことがある。丁寧なのは「申し訳ありません」なのだろうが、取引先がイライラしている状況などでは「すみません!」の方が良いような気もするのだ。

 これについて「急いで対応した方がいい状況のときは、『すみません』の方がいい」と話すのは、語感分析によるマーケティングなどを手がける感性アナリストの黒川伊保子さんだ。言葉が与える印象は意味だけでなく語感も影響する。「すみません」のSはスピード感のある音で、申し訳ありませんのMは立ち止まった印象を与える音なのだという。Aさんの考えは間違っていなかったのだ。

母音と子音に注目

 「失礼しました」にも注意が必要だ。シとツは威嚇を示す音で、潜在意識にある威嚇が相手に伝わってしまうのだそう。確かに、心から申し訳なく思っている場合、「失礼しました」は自然と少なくなる。「若い人はよくこの言葉を使うが、それは理不尽なことで叱られているという気持ちのあらわれ」と黒川さん。真剣に謝罪の気持ちを伝えたいときは「申し訳ありません」と言った方が良いだろう。

 母音と子音も言葉の印象を左右する。たとえば「ご一緒できてうれしいです」と「ご一緒できて光栄です」。どちらも意味は同じだが、前者は軟らかい印象を与え、後者はりりしい印象を与える。

 黒川さんは、「うれしい」は母音が強く響く訓読みの言葉で情の回路を刺激し、「光栄」は子音が響く音読みの言葉で合理性の回路を刺激する、と説明する。「軟らかさを出す時、ビジネスらしさを出す時で音読み・訓読み言葉を変えるといい」(黒川さん)

 軟らかい表現は、相手にお願いをする際にも重要。「○○してください、と言い切るのはダメ」。そう話すのは、マネジメントサポートグループ(東京・港)代表でクレーム対応などビジネスの話し方に関する多数の著書を持つ古谷治子さん。

 お願いをする際のコツは「恐れ入りますが」「勝手ではございますが」などのクッション言葉と、「○○していただけますか」を組み合わせること。あくまで判断は相手にゆだねる形で伝えるのが大切だという。

 断る時も言い切りはNGだ。「相手の感情を逆なでしないよう、NOと言わない工夫が大事」と古谷さん。謝罪・理由・代案・了承・感謝をセットにした「5段階」で伝えよう(図参照)。

 より自然なテクニックもある。会社を訪問する際などは、誰とでも成り立つテーマで雑談をすれば場が和む。テーマとして「きどにたちかけし衣食住」を覚えておくといい、と古谷さん(図参照)。

 雑談がつい弾み過ぎ、取引先の異性から食事に誘われたが断りたい時は、どう返すべきだろう。古谷さんは「せっかくのお誘いなのですが、他の者も同行するルールになっておりまして」と伝えれば角が立たない、と助言する。

メールも軟らかく

 社外の相手にメールを送る際のコツはあるだろうか。一般社団法人日本ビジネスメール協会(東京・千代田)代表理事の平野友朗さんは「相手に対する興味を入れるといい」と話す。たとえば「ホームページが変わったんですね」「先日、○○の雑誌で見ましたよ」など、相手や相手の所属する会社の新しい情報に触れるようにするのだ。

 平野さんは「社交辞令であってもうれしいもの。メールの最後に追伸で書くといい」と提案する。ただし、相手のプライベートな話題だけがつづられているブログの内容に触れるのは、避けた方が無難だという。公私をはっきり分けたい人もいる、という意識は持っておこう。
(ライター ヨダ エリ)[日本経済新聞夕刊2016年8月22日付、日経電子版から転載]

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