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大学生観光まちづくりコンテスト2016大分ステージ~温泉だけではない魅力探る

大学生観光まちづくりコンテスト2016 大分ステージ~温泉だけではない魅力探る

 大学生が考えた地域観光振興のアイデアを競う「大学生観光まちづくりコンテスト」(観光庁、文部科学省など後援)が、全国の5つの会場で順次開かれました。第1弾の9月6日の「青森ステージ」に続き、9日に開催された「大分ステージ」の本選の様子を紹介しましょう。

9大学10チームがプレゼンで競う

 大分ステージの会場はJR大分駅前の「ホルトホール大分」。2013年にオープンした複合文化施設で、その1階にある小ホールが本選の舞台となりました。ステージの参加総数は14大学18チーム。この中から書類審査による予選を通過した9大学10チームが、会場での10分間のプレゼンテーションによる本選に臨みました。

広島文教女子大
広島文教女子大学の「チームぴぼく」は浴衣姿で登場した

 コンテストの対象地域は、大分県全域。テーマは、①若者を惹き付ける「観光まちづくりプラン」②訪日外国人を惹き付ける「観光まちづくりプラン」――のいずれかを選ぶ形でした。大分ステージが設けられたのは昨年に続き2回目。別府と湯布院という知名度の高い温泉地を抱え、「おんせん県」を打ち出したキャンペーンなど、先進的な観光施策を続けている同県ですが、なおどん欲に新しい戦略やプランを求め続ける姿勢が垣間見えます。大分の観光行政や観光振興に携わる人が並んだ審査員たちからは「学生らしい、新鮮な発想を楽しみにしている」と、期待の声が上がりました。

 午前11時からオープニングセレモニー。審査員の紹介やコンテストの概要説明が終わると、飛行機の遅れで到着が遅れている1チームをのぞいた9チームのリーダーが壇上に上り、掛け声と共に一斉に右手を突き出し気合を入れて、いよいよ成果発表のスタートです。一番手には広島文教女子大学の「チームびぽく」が浴衣姿で登場しました。大分を代表する温泉地、湯布院に外国人を呼び込む滞在型観光を提案していきます。欧米人訪日客に向けて英語の案内や日本食や温泉の入り方講座などを充実させ、そこに着物の着付け講座や郷土料理をつくって楽しむ体験講座などを組み合わせ、ゆっくりと湯布院周辺の文化を体験してもらおうというプランでした。

チーム中判田
日本文理大学のチーム中判田は建築学科らしい大掛かりなプランが目をひいた
跡見学園女子大学
跡見学園女子大学の「村上ゼミteam大分」は女子大生が継続的にかかわる特産品づくりを提案した

 全体を見ると、湯布院、別府を対象地域にしたプランは思いのほか少なく、「チームびぽく」のほかは1チームが別府を取り上げただけ。一般にあまり知られていない地域に着目したチームが多く見られました。県南部の山間の町、豊後大野市に注目したのは地元、日本文理大学の「サービスラーニングチーム2016」。東洋のナイアガラといわれる原尻の滝観光をメーンに地元の食材や自然を楽しむツアープランで若者をひきつける提案です。

同じ日本文理大学の「チーム中判田」は、チーム名にも冠した大分市郊外の小さな駅、中判田に目をつけました。ここにモニュメンタルな歩行者橋とロープウエーを作り、周囲の観光拠点や大型商業施設と有機的につないでさびれた駅を活性化するプランで、建築学科のチームならではの壮大な提案です。このチームは参加レポートという形で中間報告をカレッジカフェに寄せてくれました。ほかにも内陸部の竹田市や九重連山、玖珠町、県北部の豊後高田など、知名度がまだまだの地域を取り上げていました。

 若者と外国人訪日客という2つのテーマでは、若者を取り上げたチームが多数を占めていました。玖珠町を取り上げた跡見学園女子大学の「村上ゼミteam大分」チームのプランは、たくさんの童話にまつわる銅像があるこの町で女子大生が学習の一環として特産品開発や情報発信に取り組み、これを核に若者の集客を広げる内容。静岡県立大学の「team.のぞみがとまらないっ!」も自分たちが行きたくなるプランとして、久住高原に「星と光のレストラン」をつくり、女子学生らを呼び込み、彼女たちを使ってインスタグラムで情報を広げてもらうプランを考えました。ほかにも自動車免許の合宿を誘致するプランや、縁結びを核に若者を呼び込み2町1市が合併した豊後高田市を広域的に活性化する提案などが発表されました。

県立広島大が観光庁長官賞

 各チームの熱演が終わり、審査に入ります。審査は九州運輸局や大分県の観光行政担当者、地域の観光振興団体やJTBの観光関係者など計6人の審査員が新規性・創造性、効果、実現可能性、フィールドワークの4つの観点で評価しました。本選出場者を対象に5つの賞があり、その受賞者の中から最高賞の観光庁長官賞が選ばれます。5つの賞の受賞チームのチームリーダーが緊張した面持ちで壇上に並ぶ中、最高賞である観光庁長官賞が発表されます。栄冠を勝ち得たのは、「『運トレ』in九重」を発表した県立広島大学「湯とりガール」でした。

静岡県立大
静岡県立大の「team.のぞみがとまらないっ!」は自分たちが行きたくなるプランを考えた
県立広島大
韓国の若者の気持ちを寸劇で表現(県立広島大学「湯とりガール」の発表)

 「湯とりガール」が練り上げたのは訪日外国人を呼び込むプラン。九重連山を舞台とした「開運トレッキングツアー」を韓国の若者向けに実施するという提案です。トレッキングは韓国で愛好者が多く、そのコースはオルレと呼ばれています。九州観光推進機構がこれに目をつけ「九州オルレ」というキャンペーンを展開し、年間4万2000人の集客に成功していますが、中心は40~60代。若者向けに、しかも大分の観光資源を使って展開するにはどうすればいいか考え、導き出したのが「開運」というテーマでした。韓国では尾根を歩くと運気がたまると言われていて、そうした風水好きの韓国の若者に九重連山の尾根道を歩き、ご利益のあるこの地の宝八幡宮で開運グッズを手に入れてもらう企画で、運気を上げて受験や就活にのぞんでもらおうというわけです。

ポスターセッション
ポスターセッション優秀賞は大分県立芸術文化短期大学の「ゆめたまご」が射止めた
観光庁長官賞
観光庁長官賞は県立広島大「湯とりガール」の手に。パフォーマンス賞、JTB賞を合わせ3冠を手にした

 テーマのユニークさもさることながら、開運と韓国の若者というテーマに沿って、九重連山の尾根道の地脈を調べたり、ソウル市立大学で若者のアンケート調査を実施したり、背景となるデータを丹念に積み上げたことが高い評価につながりました。プレゼンテーションでもリュックを背負って韓国の山ガールに扮し、韓国の若者たちの悩みや楽しみをミニコント仕立てではさみ、クライマックスでは手作りの開運Tシャツをそろって見せてポーズを決めるなど、インパクト十分。会場投票で選ばれるパフォーマンス賞も受賞し、JTB賞、観光庁長官賞と合わせて3冠に輝きました。

 メンバーの明地佳奈さん(経営情報学部3年)は「5月から調べて、どこをどんなテーマで取り上げるのかなかなか決まらず、一番悩みました」とプランづくりの難所を話してくれました。山根萌々香さん(同)と植松里菜さん(同)も「トレッキングにもなじみがなくて旅行プランを作るのが大変だった」「九重町の皆さんからいろいろと教えてもらったのが本当に助けになった」と、完成までの苦労を口々に話していました。

 本選に参加した10チーム(9大学)は以下の通り。(大学名、チーム名、タイトルの順)


大分ステージ 本選出場チームとタイトル(発表順)

・広島文教女子大学/チームびぽく 「ゆふいんに魅せられて~滞在型観光でゆふいん文化体験~」

・日本文理大学/サービスラーニング2016 「Bungogiorno(ブンゴジョルノ)五感で楽しむコース」 

・跡見学園女子大学/村上ゼミteam大分 「小さなおとぎの城下町~もし女子大生が玖珠町をマネジメントしたならば~」 「大分県知事賞」

・明海大学/チームK 「大分さんちの孫になろう!」

・日本文理大学/チーム中判田 「まちを復活させるプロジェクト 橋とロープウェイがつなぐ中判田のまちと未来」 「クリエイティブ賞」

・静岡県立大学/team.のぞみがとまらないっ! 「星と光のレストラン~竹田の魅力を届ける空間~」 「ツーリズムおおいた会長賞」

・県立広島大学/湯とりガール 「『運トレ』in九重」 「観光庁長官賞」「JTB賞」「パフォーマンス賞」

・大分県立芸術文化短期大学/豊後Girls 「親孝行のまち別府」

・琉球大学/みいぶんご 「"むすび"のまち豊後高田再生プラン~結い・お結び・縁結び~」
 
・拓殖大学/Cultiplan Tokyo 「大分に行けばわかる!マル秘 合宿免許」

集合写真

(取材は水柿武志)