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career-働き方

内定受諾
決め手は「ノー残業」「成長性」
大学生座談会

内定受諾決め手は「ノー残業」「成長性」大学生座談会

 人手不足を背景に今年の採用市場は例年以上に学生優位になり、複数の企業から内々定を得ている学生も多い。彼らはどのような基準で入社する企業を決めたのかを座談会形式で聞いた。

女性も無理なく

 ――どのような基準で入社する企業を決めたのですか。

 西村 私はイベント企画・製作会社とインターネット広告会社の2社から内々定をもらいました。入社するのはインターネット広告会社です。その会社で長く働いている女性社員が「忙しくない時期であれば定時で帰宅できる」と話しているのを聞いて、女性である私も無理なく働き続けられると考えました。

 断った方の会社には長時間の残業が当たり前といった雰囲気がありました。内々定者を集めた会合で社員が「並べたイスの上で寝る練習をしておくように」と言ったのを聞いて、働く環境がかなり悪いのではないかと不安に感じました。

 ――女性は働きやすさに重きを置く傾向が強いようですね。川田さんはどうですか。

 川田 入社するマーケティング会社は在宅勤務制度が整っていて、子育て中でも仕事を続けられると思いました。就職活動では、働きやすさに関する情報を会社説明会や企業のホームページで得ました。興味を持った企業については、その会社の社員や元社員が参加しているクチコミサイトを見ました。

 私が特に気にしたのが残業時間です。最近は多くの企業が残業削減をうたっていますが、実際はどうなのかはわかりません。クチコミサイトに書き込まれている内容を見れば、ある程度は実情がつかめるのではないかと考えました。

 ――男性の林さんと谷川さんはどのような基準で入社する企業を決めましたか。

  インターネットビジネスに関するコンサルティング会社に入社します。会社設立から30年たっていて経営の地盤がしっかりしていると思いました。このほど株式を新規上場して社会的信用が増したことも決め手の1つになりました。ネット関連の事業はこれからまだ伸びていくので、成長性も感じています。

 谷川 人材派遣会社に入社します。決め手となったのは独立志向の強い若手社員がいたことです。私は会社や仕事は自分が成長するための手段だと考えています。その若手社員は「あと2年で今の会社を辞める」と宣言していました。自分も独立することには少し憧れがあるので、起業を目指している人と一緒に働けたら楽しそうだと思いました。

 ――規模や知名度は入社する企業を決めるときにどれほど影響しましたか。

 谷川 規模や知名度、上場しているかどうかというよりも、その会社が自分に合うかどうかを重視しました。

  私は大学の経営学部にいるので、そこで学んできたことを生かせる仕事を探しました。入社するコンサルティング会社では、社員が顧客の企業に常駐することが多いと聞いています。本社にずっといるよりも幅広い経験を得られると思っています。

座談会に出席した4年生

 川田 大手企業だからよいとは思っていません。ベンチャー企業の方が成長する余地が大きく、私はそこに魅力を感じました。確かに大手企業は福利厚生制度が充実していますが、ベンチャー企業の中にも「髪を切りに行くために半日休める」といったユニークな制度を設けている例がありました。

 西村 上場していない企業だと説明会が小規模で寂しい感じがしました。お金もそれほどかけられないためなのか、大手企業に比べると雰囲気が違っていました。

 私の周りにいる学生の中には、まず大手企業に入社して社会人としての経験を積もうとする人がいました。その人は大手企業での実績を武器に独立するという希望を持っているようです。

通年採用に期待

 ――採用選考のときに不満に思ったことはありますか。

 谷川 (企業が有力大学の学生を優先する)学歴フィルターで苦しんでいる人は多くいました。ただ、インターカレッジサークル(参加者が複数の大学にまたがるサークル)やSNS(交流サイト)などを活用すれば、どの企業が学歴フィルターを使っているのかといった情報を得られます。そうした企業を避けてエントリーできます。

 西村 今は経団連のルールで採用選考は6月1日になっています。だけど、それより前に有力大学の学生を水面下で選考している企業があります。そのようなことをするのなら、大学が冬休みや春休みの時期に行うインターンシップ(就業体験)で選考していることを明示してほしい。

 ――各社が採用スケジュールをそろえる「一括採用」ではなく、年間を通じて採用活動をする「通年採用」が望ましいとの声があります。

 西村 就職活動の期間が限られていると、複数の会社の説明会の日程が重複してしまうことが多くなります。通年採用になれば、興味のある企業すべてに足を運べるようになります。学生が内々定を得るチャンスも増えると思います。

 谷川 就職活動の時期が来て自分の人生や働くことについて初めて真剣に考え始める学生が多くいます。私はそのことに違和感を覚えています。学生が自分の意思で動けるようにした方がよいと思います。

  通年採用は企業にとってもメリットが大きいと思います。求める人材を探すのに十分な期間を確保できるのではないでしょうか。

(聞き手は企業報道部 桜井豪、流合研士郎)


1・2年生も企業研究を~~聞き手から

 座談会に参加した学生は「業界ごとに複数の企業を見比べる時間はなかった」と話していた。経団連の指針による今年の就職活動のスケジュールでは、採用選考の開始が前年より2カ月早い6月1日になった。企業が学生に自社をPRする広報活動の開始は前年と同じ3月1日だったので、学生が企業を調べる期間は2カ月短くなった。
 しかも、6月1日より前に実質的な採用選考をする企業も多く、企業研究が不十分なまま選考に臨まざるを得なかった学生は多かったようだ。企業のフライングが常態化していることを考えると、大学1、2年生のときから企業を研究したり、働くことについて考えたりする必要がある。
(桜井豪)

 この座談会は採用コンサルティング会社のパフ(東京・中央)の協力を得て実施した。
[9月1日付日経産業新聞、日経電子版から転載]

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