落ち着けるコミュニティは多いに越したことがない
女子大生経営者として学んだこと(5)
私は昨年20歳になったばかりですが、一人で飲みに行くことがかなり好きです。行きつけのお店ができたり、店でたまたま隣に座った人と世間話をしたりすることが大好きだからです。
この前も、たまたま入った飲み屋で隣に座っていた人たちとたわいもない話で盛り上がって、話していくうちに共通の友達が結構いることが分かりました。さらに話が弾み、そのまま別の店にハシゴするなど、仕事とか付き合いとかそういった色々なことを気にかけることなく純粋に会話を楽しめました。
自分の居場所を複数持つことの大切さ
ところでなぜ、こんな話をしたかと言うと、今回は自分の居場所を複数持つことの大切さを話してみたかったからです。実は、私が一人で飲みに行くことが好きな理由はかなり明快で、一人で飲みに行くと肩書きを気にせず人と話すことができるからです。例えば、私がちょっと離れた知り合いと飲みに行く時には、少なくとも一度は「社長~!」っていう煽りが入り、会計が近づくと「これ領収書で落ちる?」とふざけたことを言う人がいます。
私は経理や契約の都合上、法人化しているだけで、社長という肩書きに憧れてなったわけではありません。仕事以外で社長と呼ばれること自体がストレスで、何も面白くないです。例えば、自分が全然仕事と関係ないことをしていても、「社長~」とふざけて呼ばれたり、「社長だから、おごって!」 などと、めちゃくちゃなことを言われたり、すごく嫌味で言われたりします。
「君は、◯◯だからな~、笑」
それどころか、何を話しても「まあでもハヤカワちゃんは起業してるしなあ~笑」のように肩書きだけで流されることもあります。例えば、あなたがミスコン出場者だったら? オタクだったら? 有名企業に就職したら? きっとそれを知っている人には「君は、◯◯だからな~、笑」と言われて、肩書きだけで判断されることが日常的に起きるでしょう。悩みを相談したところで「君は、◯◯だからな~、笑」と。想像すると辛くないでしょうか?
そういう偏見や先入観なしに人に相談できる環境、激励してもらえる環境、人によっては愚痴を言える環境を守るという意味で、私はフラっと一人で飲みに行きます。見ず知らずの初対面の人と仲良くなったり、普段はあまり関わりのない集団と遊びに行ったりします。ここからは、このように一定の界隈で区切った集団、そこから派生して自分の関わりのある集団を「コミュニティー」と定義して話していきます。
愚痴を言えるコミュニティー
私がコミュニティーの広さにこだわるのは、1つ理由があります。昨年、自分の身の回りで起きた人間関係的な揉め事の原因を整理していくと、どれも最終的には所属するコミュニティーの少なさが災いしているな、と感じたからです。
30歳くらいになって仕事場と2、3人の飲み友達しかコミュニティーがないのではないかという人と仕事で関わったことがあります。その人はある時、仕事でちょっとミスってしまいました。周りは彼女を責めるつもりはなかったのですが、本人からしたら、所属するコミュニティーの半分以上をしめるところでの出来事だったのでパニックになってしまったようでした。
さらに、その件に対する愚痴等を話せる残りのコミュニティーも、問題を起こしたコミュニティーの人達と被っている部分があるため、愚痴を吐くことで事態はさらに深刻に......。そして最終的には、彼女はある日突然、蒸発してしまいました。これがもし、他に全然関係ないコミュニティーがあって、全然違う世界で愚痴を言えたなら、本人のストレスも全然違っただろうし、そもそもこのようなことは起きなかったのだろうなと思います。
「逃げられるコミュニティーがある」という事実
自分がここ数年で見ている中で、だいたい物事が上手くいってない人やこじれている人は高確率で属しているコミュニティーが少ないな、と思っています。私自身も、仕事を始めたばかりの頃は忙しく、大学と実家の行き来のみで、本当に近しい友人と実家しかコミュニティーがありませんでした。結果として、ストレスが全て実家に向かい、関係がこじれてしまったことがあります。その結果、実家にいるストレスに耐えられなくなって家出をすることになり、持ち金もあまりなく苦労することになりました。
その後、実家という大きなコミュニティーを失ったため、意識してコミュニティーを広く持った結果、今では大学、会社、アパレル、モデル、中野の某飲み屋系、音楽......という感じで、いくつかのコミュニティーがあります。それぞれに友達がいて、一緒に飲んだり遊んだりしています。
浅く広くということではありませんが、普段濃厚に関わる人とは別に「逃げられるコミュニティーがある」という事実が大切だと思っています。ただ、ちょっと前の自分のように、頼れるコミュニティーが1、2個しかない人って結構いると思うし、だいたいその1、2個の中でもめてしまい、居場所がなくなって精神的に詰まってしまう人も多いような気がします。
なので、全然違うコミュニティーに属しておくってことは、それぞれの悩みを全然ジャンル被らず相談できるという意味でも、何か挑戦したりなどして大事件が起きても自分には他にも居場所があるぞという保険になるという意味でも大切なことだなって思います。
学校という絶対的なコミュニティー
私は小学校の頃にずっといじめられていました。今原因を考えてみると、ちょっとクラスの女の子達とは趣味が違い、ゲームをしていたから男子と仲良くなることが多く、それが反感を買ったのかなあ、と思っています。それと、元々周りの子より勉強が好きで成績が学年でも目立つように良かったことも原因かなと思っています。
このことと今の状況を踏まえて考えると、小学校~中学校のいじめが深刻化しやすい理由ははっきりしていると思います。ネット環境が自由でない人が多いため、学校外に自分でコミュニティーを形成できず、いじめが起きているコミュニティーが絶対的になってしまいがちだからです。
私は中学に上がり、たまたまガラケーを手にすることができ、そこから抜け出すことができました。モバゲー等で、外にコミュニティーができたおかげでだいぶ救われた部分があります。今、これを読んでくださっている方々は、ネットという出会いの場に触れられている訳ですから、もし今いるコミュニティーに息苦しさややりづらさを感じるのであれば、仮でもいいのでコミュニティーを広げてみたら面白いんじゃないかなと思います。
ということで、今回はコミュニティーの話をしてみました。人間関係では、自分もすごく苦労をしたし、今後もいろいろあると思うので自分に言い聞かせるつもりで書きました。何か力になれればと思います。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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