ほとんどのモデルは 努力しているから美しい
女子大生経営者として学んだこと(7)
本当はコンプレックスまみれ
私がなぜ、feastのようなコンプレックスを元にしたブランドを立ち上げて、夏明けには総販売数が1万個を超えるほど愛されているのには理由があります。それは自分自身がメディアに露出していますが、本当はコンプレックスまみれだからです。
自分は自己評価がもともと異常に低く、自分の見た目に関して強いコンプレックスを持っています。小学校の頃にいじめられていた記憶も強く、自分はダメな見た目だから、幾ら努力しても元々かわいい子には敵わないと卑屈になることも多いです。それゆえ、恋や、体育祭(かわいい子はチアをやっていて、自分は美術製作で日陰にいました)にはすごく消極的で、その代わりに数字で絶対的に判断される勉強が大好きでした。
学校を卒業しても、自分の見た目へのコンプレックスは強く、ブランドでモデルを起用する際にも正直、少し妬ましいと思ってしまう自分がいました。努力もしてないくせに、きれいに生まれて得してるなあと。
ほとんどのモデルはすごく努力している
しかし、実際、自分がブランドプロデューサーとして関わってきたほとんどのモデルはすごく努力をしていました。毎日の腹筋・背筋、ランニング等の筋トレはもちろん、毎日の食べているものを記録していたり、脂質の少ない食材を選んで自炊していたり、絶対23時までには寝るようにしていたり。モデルの子同士で、最近効いたトレーニング法や体にいい食べ物の話をしている中で、自分だけ話についていけず衝撃を受けたことを今でも思い出します。
実際、自分自身、仕事を人一倍頑張って見た目にかける金額を増やし、今は月2万までは美容にかけていいと決めています。お気に入りのエステが1回3000円~なので10日に1回、月3回行っています。安い化粧品ばかり使っていましたが、diorのファンデーションと香水を使うようになりました。
毎朝お尻を鍛えるトレーニングを始め、太れるように食べるものや食べる時間を意識して間食を減らした結果、かなり体の仕組みごと変わってきたなあと実感しています。具体的には、もともと病的に痩せていてなかなか太ることが難しかったのですが、最近では体重が4キロくらい増え、バランスよく肉がつきました。さらに、いい彼氏や友人に恵まれている最近は、性格だけでなく顔つきも優しく変わってきたと思います。
見た目や頭の良さは努力だったりする
見た目のような、ある程度生まれつきというものは圧倒的な長所であるし、うらやましくなる対象であることは間違いないですが、努力で同じレベルまで到達することは不可能でないと思います。少なくとも、生まれつき美人で見た目に気を使ってない人と、生まれつきはそこそこだけど、見た目にかける時間が多い人なら、最終的には同じレベルか後者が超える気がします。
また、生まれつきだと思っているものの多く、例えば見た目や頭の良さ、人脈の多さなどは、結構努力だったりするんだなと思います。卑屈になっても、笑顔をなくしても何もいいことはないどころか、暗い表情で近寄りたくないブスになってしまうだけです。「あの子は生まれつきだから......」って思って何かを妥協する理由にするくらいでなら、「あの子も努力しているんなら、私はこのアプローチで超えてやる!」とか、「あの子はこんなに頑張っていてすごい! 尊敬!」とか思った方が気持ちもすっきりするし、自分のためだなあと思います。
少なくとも、見た目に関しては、みんな努力していて自分だけがしていないということに気づくのに私は時間がとてもかかりました。モデルの子が努力をしているのを見て「やらないよりはマシか......」と思い、自分も真似して毎日のトレーニングを取り入れてみました。そうすると、思ったより体が変わってきたので、食生活も調整してみようと、楽しくなってきて努力する部分を増やしてみました。そうしたら、想像よりもはるかに努力の部分で、もともと持っているものをフォローできました。その時になってようやく、みんなが努力していて、自分が努力をしてこなかっただけだということに気づきました。
京大滑り止めで美大受験
そして、きっとこれは見た目以外にも言えるんだろうなって思います。もちろん、人それぞれ生まれも環境も違いますから、誰の方が早い・有利とか、そういった差はあると思います。私の場合だと、祖母の代まで行っても一切美術系の人がいないので、美大進学に全く理解がなく一切反対されていました。美術系に理解のある家系は有利だし、うらやましいと毎日思っていました。
ですが、大抵のことは時間をかけたり、やり方を変えたりすれば「できないことはない」し、「少なくとも改善はしていく」と思います。私は環境のせいで美大進学をあきらめるのは悔しく、美大受験を親に許可してもらうために、ひたすら独学で一般大向けの勉強をしました。なぜなら、模試で父親の卒業校や早慶、京大などのA判定を3回連続くらいで叩き出し「京大滑り止めで受けるから美大受験させて!」と言うためでした。実際、自分は全然行く気のなかった京大文系でS判定を出し、親に美大受験していいと言ってもらうことに成功しました。
だからこそ、誰かがすごいものや自分にないものを持っていても、それは全部がその人の天性のものという訳ではなく、多くは努力やその人の実力であると思うようにしたいのです。「自分も努力や作戦次第で改善できることはある」。そう考えることが自分の状況を打開していくために必要な心持ちなのではないでしょうか。
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