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liberal arts-大学生の常識

「世界を変えようとするバカたちの集い」って何?

「世界を変えようとするバカたちの集い」って何?
撮影協力:神田外語大学
authored by 森川 亮C Channel社長

 先日、デジタルハリウッド大学のイベントに出席しました。タイトルは「世界を変えようとするバカたちの集い」。杉山知之学長がモデレーターになり、私と起業家の家入一真さん、3次元CG(コンピューターグラフィックス)クリエーターの瀬尾拡史さんが議論しました。多くの人も聞きに来てくれました。

 「バカたちの集い」というタイトルについて不安に思った方がいるかもしれません。「バカか?」と言われるような挑戦をすることがこれからの生き方として大事だということがこのイベントの真意だったそうです。

 家入さんは波瀾(はらん)万丈の人生を歩んできたことを話してくれました。いじめられたことがきっかけで高校を中退したこと。その後、起業して株式を上場させるまでに至ったものの、経営に失敗したこと。そして今は人付き合いが苦手な人や引きこもりの人でも生きられるような新しい社会の仕組みを作ろうとしています。

 瀬尾さんは東京大学医学部に通いながらデジタルハリウッド大学でCGを学ぶというダブルスクールを経験しました。今は医者ではなく、CGクリエーターとして新しい領域に挑戦しています。

 杉山学長はデザインとサイエンスとビジネスを組み合わせたコンセプトを掲げてデジタルハリウッド大学を立ち上げました。設立当初は、そのようなコンセプトはどこの国にもなく、おかしいと批判されたそうです。それでも新しい才能を世に生み出していると語っていました。教育も変化が求められていることを感じました。

 別の日には菓子メーカー明治の「明治 ザ・チョコレート」という新商品の披露ディナーに出席しました。通常だと大手広告会社と協力して華やかな発表会を催します。今回は都内のレストランでチョコレートを使ったフルコースディナーを食べながら、チョコレートの原材料であるカカオへの理解を深めたり、チョコレートの歴史を学んだりしました。

 商品に関する知識を得られたのはもちろんですが、もっと大事なことを知りました。菓子メーカーである明治が自らカカオを育て、質の高いチョコレートで日本のチョコレート業界に革命を起こそうという思いを抱いていることです。歴史のある大企業も変わりつつあることを体感しました。

 最近、まだ20歳の起業家の仲山仁之助さんが老舗の技術系企業と組んでフィンテックやセキュリティーの事業を始めるという話も聞きました。彼も家入さんと同様に高校を中退しています。

 技術系企業が持つQRコードやコピーができない字体(フォント)を活用するそうです。若者が老舗企業の経営者に認められ、一緒にオープンイノベーションを起こすというものです。仲山さんにとって、これまで関わったことがない分野ですが、世界的な企業を作ると宣言しています。

 世の中は変化しています。半面、その変化についていけている人や、変化を先取りしている人がおかしいといわれることもあります。

 でも、こうした人たちが結果的に未来を先取りして世の中を引っ張っていくのだろうなと思います。そしてそれを体現している人が続々と出てきているということが楽しみでもあります。

 明治維新や第2次大戦の敗戦を機に変化した日本は、これまで外国からの圧力で変化してきた国ともいえます。また、その変化の様相も世界の大きな流れから外れているため、よく「ガラパゴス化」と皮肉られることもあります。

 今回は日本が外圧ではなく、内からの圧力で変わることができるのかもしれません。それが楽しみでもありますし、自分もその流れを加速したいと思っています。
[日経産業新聞から転載、日経電子版2016年10月18日付]

森川亮(もりかわ・あきら) 1989年筑波大卒。ソニーなどを経て2003年ハンゲームジャパン(現LINE=ライン)入社、07年社長。15年3月退任、4月C Channelを設立し、代表取締役に就任。

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