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発信! 理系女子(1)私たち「科学の天使」です!

authored by 東北大学サイエンス・エンジェル
発信! 理系女子(1) 私たち「科学の天使」です!

 皆さん、こんにちは。私たちは東北大学サイエンス・エンジェルです!...と言っても何だかわからないですよね(笑)。東北大学サイエンス・エンジェル(以下SA)は、東北大学の自然科学系大学院(博士課程前期・後期)に所属する女子学生で構成された団体の名称です。

 私はメンバーの1人、東北大学工学研究科修士2年の滝沢翠里です。これからSAのメンバーが、私たちの活動や理系女子大学院生の研究・生活等を皆さんにお伝えしていきます。

 さて、第1回では、SAとは何か、その活動内容をご紹介します。加えて、私自身がSA活動を通して経験してきたことと、今後の活動についてお話ししたいと思います。

科学の魅力を伝えたい

科学イベントで、子どもたちとテコの原理を使ったロケット作り

 そもそもなぜ「サイエンス・エンジェル」なのでしょうか? 「エンジェル」=「天使」とは本来"知らせ"、特に"よい知らせ"をもたらしてくれる使者であるということから、科学の面白さを次世代に伝える役割を果たしたい、との願いが込められています。

 SAの誕生は2006年まで遡ります。最初の3年間は文部科学省による女性研究者支援モデル育成事業として運営され、その後は東北大学の独自経費で活動を継続しています。今年で誕生10周年。小中高校生に対して科学の魅力を伝えつつ、理系女子の身近なロールモデルとして、次世代の研究者を育成することを目的に活動してきました。

 今年度は、自然科学系の8部局に所属する61名のSAが活動を行っています。主な活動内容としては、①全国の高校を訪問し、自身の研究や大学生活、高校生の時の進路選択などを紹介する「出張セミナー」、②科学イベントに出展し、科学を身近に感じてもらえるようなイベントの企画と実施を行う「科学イベント」、③東北大学のオープンキャンパスで、理系分野への進学に興味を持つ女子中高生の疑問、悩み、相談にお答えする「オープンキャンパスfor女子高校生byサイエンス・エンジェル」、の3つです。要するに、科学の魅力を小中高校生に伝えるサイエンスコミュニケーターの役割を担っています。どの活動も参加者との距離が近く、お互いにとって毎回良い刺激になっているようです。

イベント終了後に記念撮影(左から2番目が筆者)

 私がSAになったのは、より若い世代の人が理系に興味を持ってくれたらいいなぁと思ったからです。中学生の時に理科が大好きだった私は、高校進学の際に迷わず理数科を選択しました。進学した高校の理数科はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されており、通常の授業の他に数多くの自然科学系課外授業を受講することができました。

 そこでの経験や出会った講師の方々の生き生きとした姿を見て、自然と工学部への進学を決めていました。そんな過去から、私の経験でも少しは誰かの役に立つかもしれないという思いを持ってSA活動をしています。

 最初の頃は、活動の場で、子供たちが「理系っていいな、楽しそうだな」と思ってくれたらそれで満足していたように思います。実際に、これは今でも最大の目標ではあります。

「理系ってかっこいい...よね!?」

 ですが、今年は今まで以上にSA活動の意義を考えながら活動するようになりました。振り返ると、その思いはこれまでの2つの活動を通して得た経験から来ているのだと思います。

 1つ目は、とある高校での出張セミナー。40人前後の女子高校生が参加してくれたのですが、SAからの「工学部に進学したいと思っている、もしくは興味がある人~?」という質問で手を挙げてくれた高校生はなんと4人! 工学系大学院生の私は想像すらしていなかった少なさに、膝から崩れ落ちそうになりました(実は3分の1くらい手が挙がるのではないかと思っていたのです)。

出張セミナーでの高校生とのグループトーク

 2つ目は、仙台市内で開催された科学イベント。私の担当するブースに来てくれた中学生の女の子に、「将来やりたいこととかある?」と聞いたのに対する返答が「公務員かな~。工学部は嫌だ。忙しくて大変そうだから」。

 工学部って社会に役立つことしてるし、かっこいいじゃん! とそれまで確信していた私は、このとき自分が社会では少数派なことに気付いたのです(中高生のみんな、教えてくれてありがとう!)。加えて、理系に興味を持つ子供たちの少なさに強い危機感を抱きました。

 なんとなく難しそうで敬遠されがちな「理系」。授業で習う内容がどうやって社会に役立っているか、働く場面でどのように必要なのかがいまいちピンと来ない「理系」。子供たちが科学を面白いと思ってくれなければ、理系を志す若者はどんどん減り、将来的には資源のない日本の経済は立ち行かなくなるかもしれません。

 もし私たちの活動を通して子供たちが「理科って面白い、もっと勉強してみたい!」とか、「数学って奥が深いな~」と思ってくれたとしたら、とても意義のあることだと思います。何より、先生ではなく、比較的年齢の近い大学院生と接することで、"近所のお姉さん"のような感覚で親近感を持ってもらえれば、中高生はより具体的な将来像を描けると思うのです。

 こんな経験から、私はSAとして活動する残りの期間、工学・理系の魅力を子供たちに精一杯伝えたいと考えています。そして、1人でも多くの人に理系の面白さややりがいを感じてもらうことができたら、とてもうれしいです。次回から、SAの仲間たちがそれぞれの思いと活動についてお話ししていきますので、よろしくお願いいたします!
(滝沢翠里)

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