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[ career-働き方 ]

さあ準備、会社デビュー学生生活も残りわずか
「自由な時間、自分磨いて」
人事部長に聞く

さあ準備、会社デビュー 学生生活も残りわずか「自由な時間、自分磨いて」人事部長に聞く

 就職先が決まった人たちは内定式も終わり一息ついていることだろう。入社までおよそ4カ月。残りの学生生活を満喫しつつ、社会人デビューに向けてどんな準備をしたらいいのだろうか。就職人気ランキングの常連企業3社の人事部長に、「内定者に入社までにやっておいてほしいこと」を聞いてみた。

「ビジネスで使える英語を」
――東京海上日動火災保険 中村一彦氏

 保険会社はメーカーとは違い、保険という形のない商品を扱っている。どうやってお客様に信頼してもらえるかが重要だ。そのために、人間としての魅力を高める努力をしてほしい。

 入社までに準備してほしいことは3つある。まずビジネスで使える英語力を身につけてほしい。当社はグローバル展開を進め、収益の4割超を海外事業が占めている。入社後3年目には一定の英語力がある社員を海外の子会社などに2週間程度派遣する研修も実施している。内定式でも「TOEIC」で700点以上を目指そうと話した。

 2つ目はいろんなことに興味を持って、継続して取り組む習慣を身につけることだ。本や新聞を読むといったことを継続して、社会人になっても自分を磨くことが欠かせない。3つ目は色々なことにチャレンジしてほしい。目標を持って何にでも本気で取り組むことが大切になる。

 私の経験で言えば、学生時代に見聞を広めるために欧州に1カ月間貧乏旅行に行った。多様性に富む欧州での経験が、今でも色々な人と仕事をする上で生きている。専門的な分野でも知見を磨いてほしい。学生時代に企業会計の勉強をしたが、入社後に財務部門に配属されたときに役立ち、グループ企業の経営にも生かすことができた。

 17年春は692人が入社予定で、18年春も同程度の採用を見込んでいる。採用活動を通じ、今の学生は目的意識を持って自分を磨こうという意識が高いように感じる。社会人になると自由な時間はなかなか取れない。今しかない貴重な時間を有意義に使ってほしい。

「旅に出て世界広げて」
――三菱商事 河手哲雄氏

 仕事の知識は入社後にいくらでも学べるため、内定者に特定の課題を義務づけることはしていない。それよりも学生時代を満喫し、時間がある今しかできないことを全うしてほしい。クラブ活動や卒業論文、読書など何でもよい。

 ただし、社会人になる前に習慣づけてほしいことがある。まず新聞を毎日読むことだ。総合商社はテロ活動など地政学リスクの影響を受ける。国内外の情勢に目配りし、分析することは欠かせない。新聞で政治経済や企業動向を定点観測すれば、変化にも気がつきやすくなる。スポーツや事件など幅広い分野の記事を読むと、顧客と会話をする際にも役立つ。

 学生の間に旅行に出かけて見聞を広めることは仕事でも役立つ。商社マンは世界中のプレーヤーと出会い、仕事を一緒にする。うまく意思疎通をするには外国文化を知ることが必要になる。旅先でスケジュールや交通手段を自分で考え、自分で決めることは仕事での出張も同じだ。時には予期せぬハプニングも起こる。自力で対応することは良い経験となる。

 入社前に英語や財務会計の知識を磨くことは推奨している。英語の勉強では文章読解やリスニングだけでなく、自分から会話をする機会を求めると効果的ではないだろうか。学内の留学生と話してみるのも有効な手法となるだろう。

 最後に。商社は週末や夜間に海外を出張で飛び回ったり、時差のある地域とのテレビ会議をこなしたりすることがある。健康状態をきちんと管理する習慣も身につけてほしい。

「独自の視座を高めよう」
――味の素 吉宮由真氏

 味の素では入社まで一切課題を出さない。社会人としてスタートするまで非常に有意義な時間が与えられている。旅行でもアルバイトでも構わない。やり残したことがないように精いっぱい、いろいろなことを経験してきてほしい。そのうえで、しっかり気持ちを切り替えて会社に入ってもらいたい。

 私自身は入社前に九州を1人で旅した。途中でお金がなくなり、ユースホステルで手伝いをしながら過ごさせてもらった。全然違う世界に行ったときに、結構どこでもやれるという自信のようなものを身につけられた。

 1つ期待したいのは自分なりの視座を高めてほしいということだ。「自分はこうありたい」とか「自分は誰のために働くのか」。会社にビジョンがあるように、自分にとってのビジョン、視座を考えるいい機会だと思う。

 社会は大きく変化している。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などの進化で、どこで仕事をしようと、基本的に世界とつながっている状況が出現した。世界市場の中で自分がどう仕事をしていくのか、想像力を膨らませてくれるのが望みだ。

 仕事で必要なスキルは、会社に入って学べばいい。当社では入社後に全体研修があり、その後、配属先での研修がある。ほかにも様々な教育の場を提供していくし、スキルを磨く場も用意している。自分の視座を土台に学ぶとスキルの身につき方も変わる。自分の可能性を高めていくことにつながるはずだ。
(逸見純也、渡辺伸、黒瀬泰斗)[日本経済新聞2016年10月25日付朝刊「キャリアアップ面」より転載]

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