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[ career-働き方 ]

さあ準備 会社デビュー「できた」が自信
入社1年生に新人記者が直撃

さあ準備 会社デビュー 「できた」が自信<br />入社1年生に新人記者が直撃

 来年4月の入社に向け内定をもらったものの、自分が実際に働いている姿をイメージできず不安に思っている学生も少なくないだろう。果たしてどんな環境に置かれ、どんな仕事を任されるのか――。今春に社会人デビューした3人に、3人の新人記者が取材。入社して感じたことや自身の成長について聞いてみた。

顧客目線に手応え――花王 手島章吾さん

 大学で都市政策を学んでいた花王の手島章吾さん(23)。畑違いの日用品メーカーに入ったきっかけは学生時代のフィリピン留学だ。現地の子どもが手を洗わずに食事をしていたのを見て、「せっけんや洗剤を普及させ人々の生活の役に立ちたい」と考えた。

 ただ、入社すると「予想外」の化粧品事業ユニットに配属された。現在は主力ブランド「ソフィーナ」を担当。販促イベントの運営や店頭の販売施策に携わっている。

 当初は全くの未知の分野に戸惑うばかりだったという。販促イベントで化粧品の魅力を伝えるため何十回と商品を使ったデモをやってみせたが、客の反応はイマイチ。そこで顧客自身に体験してもらうことにした。「自分の目で確かめてもらうことで納得感が増す」と考えたからだ。

 名古屋のイベントで接客していたとき、「あなたの説明を聞いて近くのドラッグストアで化粧水を買った」と女性に声をかけられた。顧客目線の接客を心がけて商品を実際に体験してもらう自分のやり方に手応えを感じた。

 「入社前は、花王を年功序列の古い体質の企業だと思っていた」と手島さん。しかし、実際には1年目から仕事を任せてもらえる雰囲気があるという。「自分を信頼し与えてもらった仕事をしっかりこなすことがいま最も大事」と力を込める。

確認徹底、心がける――全日空 加藤快平さん

 全日本空輸の加藤快平さん(24)はANAエアポートサービス(東京・大田)に出向し、羽田空港で国内線の搭乗券の発券や搭乗手続きのサポート業務に携わっている。学生時代は教師を目指し教育実習にも参加したが、結局「教えるというより人と接するのが好き」と気付いた。就職活動は多くの人とかかわれる会社の中から「社員が魅力的だった」全日空を選んだ。

 よく空港内の飲食店などについて質問を受けるが、配属当初は答えることができなかった。そこで休日に空港を訪れ、勤務先の第2ターミナルだけでなく第1ターミナルや国際線の施設も覚えた。

 失敗もある。自動手荷物預け機に条件に合わない客を誤って誘導してしまった。預けられる荷物の上限は20キログラムと決まっているが、早く対応しようと目視で判断し、かえって時間をロスさせてしまった。搭乗口は安全運航の最後のとりで。「お客様の命をお預かりしていると肝に銘じ」て今は確認を徹底しつつ迅速な誘導を心がけている。

 教育実習で生徒を指導した経験から、同僚や乗客には平等に接する。「教育を通じて人間関係を学んだ」。学生には「一見社会で役に立たないことを学生時代に追求して」と要望する。

やり遂げる達成感――三菱重工 伊藤菜津生さん

 学生時代はフィールドワークで宮古島に8回も足を運んだという行動派の伊藤菜津生さん(24)。現在は三菱重工業の横浜本社(横浜市)でウズベキスタンの肥料プラントの設計業務を手掛ける。

 環境系の学問を専攻していたが、大学院で特別に設計を勉強したことはなかったという。「夏と冬に参加したインターンシップ(就業体験)でプラントの設計から調達・建設までの一連の工程を手掛けるEPC事業に興味を持った」のが入社のきっかけだ。

 現在は1人で業務をこなすことも多いが、最初から1人でできたわけではない。初めて任されたプラントのポンプ設計では、「設計の仕方はもちろん数字の意味すら分からなかった」。指導役の先輩社員に教えてもらい何とか仕上げたという。

 一度教わったらできるようにするとの信念で、2回目のポンプ設計は先輩の助けを借りずにやり遂げた。「『できたじゃん』と先輩にかけられた一言がうれしかった」と伊藤さん。できなかったことができるように――。「自分の成長を実感できるのが仕事のやりがい」と話す。

 夢は「自分が設計したプラントを現地に見に行くこと」。そのために英語で書かれたプラントの仕様書を読み込む訓練をしている。専門知識を身につけて先輩たちの議論に加われるようになることも当面の目標だ。
(柴田奈々、清水孝輔、千住貞保)[日本経済新聞2016年10月26日付朝刊「大学面」より転載]

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