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[ liberal arts-大学生の常識 ]

平和のかけら(1)地雷、不発弾、子ども兵……
「国際協力」を仕事にする

栗田佳典 authored by 栗田佳典認定NPO法人テラ・ルネッサンス 啓発チームマネージャー
平和のかけら(1) 地雷、不発弾、子ども兵……<br />「国際協力」を仕事にする

 「ほっとけない」。学生時代、子ども兵や地雷の課題を知った私が踏み出した一歩は、京都にある認定NPO法人テラ・ルネッサンスに関わることでした。大学3回生からインターンシップとして活動に参画するようになり、自身の視野や選択肢が広がりました。そして関わり続けることで、活動への共感も深まり、念願叶い新卒で就職し、はや6年が経ちました。

 当記事では、テラ・ルネッサンスの活動を知っていただくだけでなく、支援についての考え方、私が活動に参加するに至った背景や学生時代のこと、そして現地や日本での活動経験などを通して、読んでくださった皆様の少しでもきっかけになる話ができたらと願っています。

 第1回目は私が働く認定NPO法人テラ・ルネッサンスの課題やそれに対する取り組みについて紹介します。

筆者

設立15年。京都発のNGO

 テラ・ルネッサンスは2001年、「すべての生命が安心して生活できる社会の実現」を目指し、京都で産声を上げた国際協力NPO(NGO)です。地雷・子ども兵・小型武器の課題の解決のための現場での国際協力と、日本国内外での啓発活動や政策提言活動を続けています。さらには東日本大震災復興支援活動として大槌復興刺し子プロジェクトを運営しています。

 活動国はウガンダ共和国、コンゴ民主共和国、ブルンジ共和国、カンボジア王国、ラオス人民民主共和国、日本の合計6カ国です。国によって課題や取り組みは異なります。

地雷原(カンボジア)

地雷、子ども兵の課題とは?

 カンボジアでは、ベトナム戦争以降埋設された地雷が、今なお多く残されています。1年間に地雷が撤去される面積は約1640平方キロメートルで、2015年の撤去数は約2万3000個です。カンボジアの地雷撤去完了までは約404億円以上かかると言われており、まだまだ多くの時間とお金がかかります。そこで、カンボジアでは機材や資金提供を行いながら地雷撤去支援に取り組み、また地雷被害者を含む、貧困層の住民の収入向上を目的とした村落開発支援も行っています。

 ラオスはクラスター爆弾の不発弾が多く残されている地域であり、カンボジア同様、撤去のための資金提供を通しての支援や撤去後の地域において、学校建設などを行っています。

子ども兵(コンゴ)

 アフリカには、子ども兵の課題が根強く残っています。子ども兵とは、18歳未満の男女の兵士を指し、アジア、アフリカ、中東、中南米などの36の紛争地域の政府軍・反政府軍の中で現在も確認され、その数は世界で25万人とも言われてます。女の子の兵士は、銃を持たされ、戦わされるだけでなく、強制的に結婚をさせられ、性的奴隷として扱われることもあります。

 ウガンダでは、反政府勢力によって誘拐された後、自ら脱走、あるいは政府軍に助け出され、帰還した元子ども兵の社会復帰支援センターを設立、運営しています。また、コンゴやブルンジでは、紛争被害者も含め、収入向上支援などを通しての自立支援などに取り組んでいます。

 そして日本では平和教育を通して、まずは知っていただくことからと、年間170回以上の講演活動をはじめとした啓発活動にも力を入れています。

 そのような活動を現在(2016年10月末日現在)では、総勢60名(日本人職員8名、海外現地事務所職員29名、パート・フェロー・インターン23名)のスタッフが担う、事業規模1億2000万円を超える組織です。

現地の方々と(コンゴ)

援助に依存しない自立・自治の促進とは

 ここからは支援に対する考え方を紹介していきます。支援には大きく分けて2つの方法があります。緊急支援と開発支援です。老子の言葉に「魚ではなく、魚の釣り方を教えるべきだ」という教えがあります。お腹を空かせて困っている人に対して、釣った魚を渡す援助(緊急支援)も大切だが、釣竿を渡して魚の釣り方を教える技術や能力の移転(開発支援)も重要だという教えです。テラ・ルネッサンスでは、援助に依存させるような関わりではなく、それぞれの未来をつくる力を信じ、後者の開発支援に力を入れ、紛争(中)後の地域などに入って、紛争被害者への自立支援を続けています。

洋裁の授業の様子(ウガンダ共和国)

 例えば、ウガンダではこれまで192人の元子ども兵に支援を行ってきました。お金を渡すだけの援助ではなく、私たちは技術を身につけ、自身の力で生活を取り戻すためのノウハウを学ぶ場として、社会復帰支援センターの運営を行っています。

 「私には何もできない」とないものにばかりに目がいって、他人と比較してはふさぎこんでいた元子ども兵が1つずつできることを増やしていく。例えば、自分の名前を英語で書ける、英語で自己紹介ができる、洋服を作れる、家具を作れるなど。このように自身の「I can」がどんどん増えていくことによって、自信を取り戻し、それは外見や収入、さらには近隣住民との関係にも良い変化が出るようになりました。

授業の様子(ウガンダ共和国)

 その変化を目の当たりにして私が学んだことは、自立に大切なのは「自尊心」だということです。自分の可能性に気づき、自分自身を認めること、それが自立への道なのだと活動を通して実感しました。そしてそんな自立した人々が自らの意思で自らの地域のことを考え、行動することで、誰かに依存するのではない本当の自治が行われていくのだと思います。

 私たちは、困難な状況に対して、それを跳ね返す復元力、回復力といった、その人に内在する多様な力のことを「レジリエンス」と呼び、大切にしています。援助に依存しない自立と自治の促進のため、現実にある様々なリスクに対応する「レジリエンス」を人々が発揮できるように支援していくことが今、私たちが実践していることなのです。

 次回はそんなテラ・ルネッサンスの活動に参加した背景含め、私自身のことについてじっくりお伝えしていきたいと思います。

※認定NPO法人テラ・ルネッサンス15周年記念イベント
一人ひとりが平和のかけら peace by piece
11月6日(日)京都、11月12日(土)東京 開催決定
詳細はこちらから

貧困層の住民を対象とした洋裁技術の訓練の様子(カンボジア)