20歳の私が25歳、35歳の人を目標にする理由
女子大生経営者として学んだこと(9)
目標はビジュアルから
私は将来の夢を聞かれた時に、5年、10年先の話であれば「perfumeの『のっち』になりたい」と答えることが多いです。周りでよく「なんか大学卒業後の自分が想像できない」とか「アラサーになりたくない~! 今のままがいい!」という声を聞きますが、私は自分の「なりたい25歳像」があります。といっても、最初からはっきり見えていたわけではありません。なんとなく「perfumeの『のっち(大本彩乃さん)』みたいなすらっとかっこいいお姉さんで、スラックス穿いてルブタンとかのヒールが似合う人になりたい」というように、表面的で簡単なビジュアルの憧れや妄想から入っただけなのですが。
なぜ見た目から入ったかというと、「まずは形から」ではないですが、「その見た目に相応しい行動をしないと」というように、自分への戒めになるからです。高校生の頃、フリフリして目立つロリータ服を着る時には、いつも以上に立ち居振る舞いや周りへの気遣いを心がけていたことに近いのかなと思います。
でも、いざなりたいビジュアルが決まってくると、「じゃあしっかり自立した女性がいいなあ、恋愛もうまくいって結婚したいなあ」とか、どんどん内面の部分も決まってくるものです。そうなると「じゃあいつまでに、こういったことをしよう」ということが見えやすくなります。例えば、それまでに、髪は伸ばそうとか、会社の業績はここまで伸ばしたいとか。自分がこれからどう振る舞っていけばいいかが想像しやすくなってすごく良かったです。
1つのイメージを作ればルートが見えてくる
これは個人の話ですが、会社の話にも重なる部分があると思います。例えば、5年後くらいには店を持ちたいなあ、店を出すなら人同士の関わりが深く温かい関西圏、大阪あたりでのスタートがいいなあ、と思ったとします。そうであれば、都内にメーン工場があるので早めに東京の社員を育てないといけないし、上位スタッフに大阪に1号店を出すことを早めに伝えないといけないし、最悪、自分がいなくても回るような会社の仕組みを作っておかねばなりません。
私は社長業にしばられず自由にやっていきたいので、早めに信頼できるスタッフに座を譲り、会長くらいの役職になりたいなあ、とも思っているのですが、そのためには社長に見合う人材を早めに育てねばなりません。このように、1つのイメージを作れば、必然的にそれに向けたルートが見えてくるわけです。
これは私の話ですが、同い歳くらいの人を目標にして頑張ると、その目標の人も常々進化していくし、全く同じになれるはずもないので、一向に追いつけなくてすごくフラストレーションが溜まります。しかも年齢が同じくらいだと、どうしても自分の現状と比較してしまいがちなので、自信をなくしたり、卑屈になったりしやすいかと思います。
例えば、私は2つしか年齢が違わないような起業家のプチ先輩方にすごく憧れていた時期があります。見習って何かをしようとしても目先の小さなことしか真似できず、大きな変化は起きづらいなと思いました。しかも、私が成長するのと同じく先輩方も日々事業を変えているので、追いかけているだけでは二番手にしかなることができません。自分のできなさだけが見えてしまい、勝手に憧れて勝手にフラストレーションの溜まる日々を過ごしていました。今では、同い歳の人に憧れて自分と比べて卑屈になるのはもったいないなあと思います。
どうしても変化には時間がかかるもので、しかもみんな徐々に変化していきますから、直近の数年でなく更にちょっとその先くらいの5年、場合によっては10年くらい先の人に憧れるのがいいのではないかと思います。「自分自分もそうなるぞ」と比較して、ないものや被っているものなどを比較しながら、具体的かつ長期的に足りないものや足りているものを見つけて努力していくことの方が気持ちも楽だし、目標も見えやすいと思います。
この15年で変わったこと
さらにそこから先の話、35歳は今から15年後の話です。15年の変化というものは凄まじいもので、私が5歳から20歳になる15年間の間に、ガラケーが登場し、SNSが登場しました。連絡手段1つとってもこれだけの変化があります。また、15年前にはこれから行く場所の地図を印刷するなど準備にそれなりの時間がかかっていたものが、今はスマホを開き数秒でどこでも確認できるようになりました。
これから先、時間感覚や価値観も変わっていくと思います。15年後の具体的な目標を持ったとしても、もしかしたら10年後くらいには目標が世の中で淘汰されて存在しないものになっている可能性さえあります。なので、15年後に関しては、「何か面白いことが起きるんじゃないかなあ」とやんわり夢を抱くだけで、そこまで具体的な目標を立てる必要もないのではないかなと思います。目標は随時更新されていくものですし、あまり決めつけてもね、と感じました。
30歳くらいの人と話して、いろいろ現実的な話(結婚した瞬間から嫁が酷いだの、夢を持っていた後輩が働きすぎで体を壊して職場を辞めただの)をされるとがっかりすることも多いですが、「自分に関しては大丈夫だろう!」くらいの気持ちがいいでしょう。来てもない未来や問題に不安になるのではなく、こうだったらいいなあ、こうできるようになりたいと楽しみにして毎日ハツラツといきたいです!
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