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雑談もビュー子にお任せ
資生堂のAI進化

雑談もビュー子にお任せ資生堂のAI進化

 資生堂がメーキャップ相談アプリ「おしえて!ビュー子」を進化させている。人工知能(AI)がチャットで受け答えをする。もともと同業他社にない取り組みだが、化粧に関係の薄い話にも応じる「雑談力」をつけたり、会話を自然な速さに変えたりしている。苦手としていた若年の顧客層の相棒に育てている。

 利用者はスマートフォン上でアプリを立ち上げ、キャラクターのビュー子にチャットで話しかける。メークの悩み、化粧品の使い方を相談すると返事が来る。マスカラの付け方など化粧の仕方が分からなければ動画を送ってくれる。

 利用者の悩みの内容をみて、同社の通販サイトで買える商品を紹介することもある。商品はあえて3つまでしか提案しない。おすすめ商品がずらりと並ぶ口コミサイトに比べた使いやすさを意識した。

 アプリを利用している20歳の大学生は、「黒髪でマツエクしているからケバケバしくなりやすいけど、ビュー子のアドバイス通りにやってみると自然な感じになる」と話す。

資生堂のメーキャップ相談アプリは「ビュー子」が利用者の書き込みに応じる

 現在は試験版で、2015年9月に無料配信を始めた。アプリ開発の担当者がツイッターなどインターネット上から悩みの声を集め、1つの悩みに対して3人のメーキャップアーティストがアドバイスを作った。

 適切なアドバイスをするためには、利用者の悩みの言葉を十分に理解することが欠かせない。アプリにはNTTコミュニケーションズの自然言語処理の技術を使った。登録者は10万人になった。正式配信の時期は未定だが、配信開始以来、着実に進化している。

 挨拶を交わせたり、日々の出来事を話せたりする方が、利用者がメーキャップの相談をしやすいことがわかった。そこで雑談力を高めるように改良してきた。AIが雑談として返す文章の量は当初から約6割増え、日常会話からメークの悩みを引き出す役割も果たせるようになった。

 チャットの返答スピードは当初より遅くなっている。当初は利用者が何かを書き込むとすぐに返事をしていたが、利用者から「ビュー子からの返事が早すぎていかにも人工知能という感じ」との声が上がった。あえて遅らせて自然なやりとりを醸し出すようにした。

 ほかにもビュー子が送る動画を1年間で4本増やし、現在は13本になっている。

 アプリを開発したビューティークリエーション部の中山真弓さんは美容部員の経験を持つ。「店頭に立っていた時には聞かなかった質問が来る」と驚く。「雨の日用のメークが知りたい」「男性にもてるメークを教えてほしい」といった声だ。中山さんは、店頭では聞きにくいこともビュー子なら聞けるのだと、アプリが販路を広げる可能性を実感している。

 ビュー子はメーキャップへの悩みにしか応じておらず、今後はリップやスキンケアの質問にも答える仕組みにしていく。質問をより正しくとらえ、適切に答えられるようにAIを改良する余地もまだある。
(企業報道部 柴田奈々)[日経産業新聞から転載、日経電子版2016年10月6日付]

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