もし米国に留学したら現地で就職するのは大変なの?
人事部長のひとりごと(5)
学生の皆さん、こんにちは。帝人の人事部長、藤本治己です。10月に米国に出張しました。そこでの見聞をふまえ、今回は米国の留学事情をテーマに選んでみました。留学に興味ある人だけでなく、関心がない人にも参考になれば幸いです。
大戸屋が高級レストラン?!
「日本食が大好き。お米を毎日食べたいし、お酒はやっぱり日本のビールか芋焼酎!」っていう小生にとって、約2週間の出張は、結構気が重い。食事だけでなくて、いろいろな人が話す英語を聞くだけで、気のせいかもしれませんが、頭の芯がずーんとしてくる。時差ボケのせいばかりではないと思う。ニューヨークの物価って、高いなあ。ランチでサンドイッチとサラダ付のプレート、コーヒーとチップ20%で25ドル以上?! 日本の定食屋さん大戸屋さんが超行列するらしい。日本の倍の値段だけど、ニューヨーカーからするとリーズナブル。スピーディーなデリバリーは日本のサービスだし、おいしいからだと思います。本格的な日本のラーメン屋さんも増えていました。日本食の輸出は多様化していますね。
ニューヨーク経由で西海岸へ
ニューヨークでの会議を終えて、西海岸に飛んで、サンディエゴ、シアトル、バンクーバーに行きました。東と西で時差3時間。サンディエゴは日中30℃近くまで上がって、まだ残暑。
一方、シアトル、バンクーバーは、晩秋の寒さでした。サンディエゴは、少し内陸に行くとスキーができる山があって、海ではサーフィンが年中できるので、一日で夏と冬のスポーツができる環境だそうです。本当にチャレンジした人がいたかどうかは、聞きもらしたけど。シアトルは、世界のイチロー選手がいたマリナーズのセーフコ球場。今でもイチロー選手は市民に愛されています。スターバックスの1号店や、魚を店員が投げるパフォーマンスで楽しませてくれる魚屋さんなどがあるPike Place Market、全米で一番住みたい街の一つと言われています。
バンクーバーは、シアトルの気候と近いのですが、もう少し洗練させたおしゃれな街並みです。観光客の誘致に熱心ということもあって、安心・安全に気を遣っていることを感じました。観光旅行で訪問するなら、ホエールウオッチングなど海のアクティビティーが豊富なので、夏の方がいいかもしれませんが、秋も街路樹の紅葉がすごくきれいですし、鮭の味が良くなるので捨てがたいと思います。
米国で学ぶ日本人留学生を採用したい
さて、なぜ米国西海岸に行ったかというと、米国の大学で学んでいる日本人留学生向けのリクルート活動です。オンキャンパスリクルーティングといって、2017年4月から2018年4月までの間で入社可能な学生を対象に、直接大学に足を運んで実施する採用活動です。それぞれ1~2日間の駆け足の訪問でしたが、会社説明と面談だけでなく、「グローバルで活躍する」というテーマで、キャリア講座をやってきました。それぞれの大学で30人以上の学生さんが集まってくれて、日本食弁当を食べながら、リラックスしている学生に向けて話すのはいいですね。講座の内容としては、率直に意見交換しながら、以下のような話でした。
・日本と米国の雇用システムの違い
・日本企業での仕事とキャリア例
・採用面接で企業は学生のどこを見たいのか、見ているのか?
・自己分析の効用と限界
・仕事や企業の選択はどうするのか?
・日本企業が留学生に期待していること
日本人が米国で就職するのは大変
米国国内で就職をしたい留学生でも、米国オリジンの会社と日系法人を考えているケースがありますが、どちらにしても、日本人留学生が米国内で就職するのは、なかなか大変のようです。そう言えば、 グリーンカード(米国永住権、移民ビザ)には移民のダイバーシティーを目的に、毎年抽選があることを初めて知りました。毎年5万人くらいがグリーンカードホルダーになるとのこと。
日中韓で異なる就活事情
大多数の米国にいる日本人留学生にとって、日本企業が留学生採用を増やす流れは、歓迎すべきものでしょう。そもそも米国で就職するのは、ハードルが高く、将来日本に戻るつもりであるなら、新卒一括採用の日本型就職活動を選択したい気持ちは良くわかります。
一方、米国にいる中国や韓国の留学生は事情が異なります。韓国では、母国での就職難の影響で、国の政策として、海外への留学生を増やし、海外で就職することを奨励しているようです。中国人はかなりお金持ちの子女(日本人より派手?!)が留学に来ています。大学院に進む学生もいますが、将来性を考えて、母国以外の地域で働いてはくを付けたり、起業を考えたりすると、米国にとどまることが有利と考えているのかもしれません。現状、日本人留学生とは、そもそもキャリア設計が違うのだろうと感じました。
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