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チャレンジャーズ(4)都心のゲストハウスで
地方の魅力を発信~野村友莉子さん

チャレンジャーズ(4) 都心のゲストハウスで地方の魅力を発信~野村友莉子さん
authored by 八木彩香フリーライター

 こんにちは。フリーライターの八木彩香です。この連載では、様々な分野で活躍する人の人生を深堀りしていきます。ビジネスやスポーツ、芸術、IT、教育、音楽など、それぞれの舞台でチャレンジし続ける人たちのお話を聞いて、大学生の参考になる経験談やアドバイスをお届けしていきたいと思います。

 今回ご紹介するチャレンジャーは株式会社R.projectが運営する「IRORI Hostel and Kitchen」というゲストハウスで働く野村友莉子さん。立命館アジア太平洋大学卒業後、2015年にIRORI Nihonbashi Hostel and Kitchenの立上げメンバーとして株式会社R.projectに参画しました。

 ゲストハウスがあるのは日本の問屋街の歴史や文化が感じられる日本橋の馬喰町。世界各国から毎日たくさんの人が訪れています。今後はさらに都内に2店舗オープン予定。「人と人がつながれる場所」を拡大中です。

 そんな株式会社R.projectで活躍する野村さんに、今までのご経験やこれからの「チャレンジ」についてお話をお聞きしました。

IRORIを囲んで様々な交流が生まれる

――まず、「IRORI Hostel and Kitchen」についておしえてください。

IRORIの運営チーム(手前が野村さん)

 「IRORI Hostel and Kitchen」は2015年10月にオープンしたゲストハウスです。コンセプトは2つあって、1つ目は「囲炉裏を囲んで交流が生まれる場所を作ること」。そして2つ目は「日本各地のローカルな魅力を伝えること」です。

 1つ目については、IRORIという名前や宿のデザインを見ればわかりやすいと思いますが、囲炉裏を中心に交流が生まれることを意識して設計しました。私たちの想い通り、1人で来た人でも囲炉裏を囲むことで会話が生まれて仲良くなれる場所になっています。

 2つ目は日本全国いろんな地方の魅力を発信できるような場所になれたらいいなと思っています。東京や京都など、有名な観光地以外にも日本にはたくさんの魅力がありますよね。例えばどんな取り組みをしているのかというと、富士五湖の1つの本栖湖から料理人を呼んで、シカ肉や地ビールをふるまってもらったり、地域おこし協力隊の人にきてもらって地元の良さを伝えてもらったり。まだまだ課題はありますが、月1回のペースでイベントを開催しています。そうしたイベント以外に、日常の予約処理や清掃、もちろん接客も何でもやっています。

狭い価値観から飛び出した高校時代

――「ゲストハウスへ就職する」という道は、なかなか珍しいのかなと思うのですが、野村さんはどんな道を歩んで現在に至ったのですか?

 私は東京の世田谷区出身で、幼稚園から大学までエスカレーター式の私立校へ通っていました。そんな環境だったので、クラス替えがあっても基本的には同じ人たちと過ごすことが多くて...。中学3年生のときに狭い価値観の中で過ごすのが嫌になったんです。そう思ってから学校に行かなくなり、とりあえず高校に進学したのですが、中学と変わらなかった環境に嫌気がさして1週間で辞めました。

IRORIスタッフ集合写真(野村さんは右から3番目)

 その後は通信教育の学校に転校し、アルバイトをしたり、渋谷でギャルみたいなことをしてみたり、ネイリストの資格を取ったり、ボランティア活動で和太鼓を演奏したり...。やりたいことはなんでもチャレンジしましたね。人と関わることで価値観が広がっていくと、強く実感できた時期でした。大学は海外に行くか迷ったのですが、大分県別府市にある立命館アジア太平洋大学へ進学を決めました。その大学は学生の半分が外国人で、日本人も全国から集まってきています。本当に様々な人が入り混じっているような学校でした。

 あっという間の4年間で、そのあとは一応就職活動をしたのですが、やはり自分には合わないと思いましたね。結局外国人向けの不動産会社で法人営業のアルバイトをして、半年後にはオーガニックレストラン、その後はフィットネスクラブで働きました。そのあとに友人の紹介で今の会社のコンセプトに共感し、接客も好きだったのでゲストハウス立ち上げに参加しました。

――様々な職を経験していますね!職を選ぶ上で軸にしていることはありますか?

 「人と関わりたい」という想いが一番なので接客業を選んでいます。その原点になっているのが高校を辞めて落ち込んでいるとき、いろんな人に会って自然と元気になれたこと。それがすべてだなと、自分の中では思っています。

 実際やってみないとわからないと思うタイプなので、短期間でもいいからやってみるようにしています。日本では「中途半端にしないで最後までやり通せ」といったような価値観があって、様々な職を転々とすることが悪いと思われがちですが、それよりも「やらないと絶対後悔する」と私は思います。

就活で気が付いた「無理をしていた自分」

――学生時代に就職活動をして思ったことはありますか?

外国人のお客さんと

 大学のときは大手企業に行きたい気持ちもありました。せっかく大学に行ったわけだし、新卒なら大手企業への就職もしやすい。名のある大手企業に行ったらそれなりに満足感を得られると、多少思うこともありました。しかし結局、表面的な志望動機しか言えず、就職活動はうまくいきませんでした。そのときに合わないことを無理にやろうとしてた自分に気がついて、自分の興味のあるものをとりあえずやってみることにしました。

 様々な職を経験しましたが、今ここで働いていて、すごく楽しいです。ここが自分らしくいられる場所なんだと思います。毎日同じ作業でも、来るお客さんが毎日違うからそれがまた面白い。

――やりたいことにはチャレンジしてきたように見える野村さんですが、学生時代にしておけばよかったと思うことってありますか?

 もっと勉強しておけばよかった(笑)。学生時代にやっている勉強が社会に出てどう役に立つのか想像できていれば、もっと興味を持って勉強できたのではと思います。

――これからの「チャレンジ」についてお聞かせください。

 2016年12月15日に「北斗星」という新しいゲストハウスがオープンします。私はそこのマネージャーを務めさせていただくので、まずはそこを盛り上げることですね。北斗星は列車の旅をイメージして作られた宿で、きっと日本人のお客さんも外国人のお客さんも来ると想定しています。そのときにその人達の間を私たちがどううまく交流させるかがこれからのチャレンジですね。

合わないなら辞めて別のことにチャレンジすべき

――最後に学生に向けてアドバイスをお願いいたします。

大学時代のイベントで

 就職活動の時期に入ると「自分を変えなきゃいけない」と思っている人がたくさんいる気がします。しかしそれはすごくもったいないことだと感じています。本当の自分ではない姿のまま就職先を決めてしまったら、入ってからも続けなくてはいけない。常に少し無理をした状態で疲れてしまっている友達もいるので、もったいないなと...。上手くいかないのは自分のせいだって暗くなってしまう人を見ていると、そもそも就活の仕方から間違っていたのではないかと思います。

 常に自分の信じているものを曲げるべきではないと思うし、なんでもやってみないとわからない。合わないと思ったら辞めて別のことにチャレンジすべきです。それで人生終わるわけではないので。むしろ新しいもの探せるワクワク感はすごくいいものだと思うんですよね。現状に満足していない人はすぐに新しいものを探しに行ってみてください。

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