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発信! 理系女子(3)苦手だけど、好きだから勉強したい

authored by 東北大学サイエンス・エンジェル
発信! 理系女子(3) 苦手だけど、好きだから勉強したい

 突然ですが、大学の理系学部ってどれくらいの割合で女性がいると思いますか? 1割?2割? それとも半分ぐらい?

 学部によって異なりますが、実際の東北大学を例にとって数をお示しします。私が所属している薬学部は比較的女性が多いと言われる学部ですが、例年1学年80人中女性は約20名程度です。これが工学部になりますと、1学年849人中109人(2016年学部入学者) 。約13%でしょうか。では女性の方が男性より成績が悪いのか、というとそうでもなく、男女比の割に私の学部で女性が学年トップであることは珍しくありません。科学に興味のある女性って、少ないのでしょうか。

「数学は苦手だけど勉強したい」

活動を通して色々な学部の人と交流できます(一番右が筆者)

 私は女子校出身ですが、全6クラス中理系クラスは2クラス、いわゆる国公立理系(数IIICを選択する人)は1クラスくらいでした。私が出張セミナーで訪れた女子校も、おおよそ同じくらいとのことでした。高校の文理選択の時点で、すでに理系進学希望の女性は少ないのです。

 もちろん、理系に進学しない理科好きも中にはいるでしょう。好きと得意は違いますので、「興味」 (科学の事象を面白いと感じること)と実際の「能力」(理系進学においては、入試問題が解けること)が異なるのは不思議なことではありません。理系に進学する人=理系科目が得意な人=理科が好きな人、というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、実際の理系進学者は単純にこのイコールで結べない人もたくさんいます。

 しかし、理科や自然現象にあくなき興味を抱けることは、間違いなく人生を豊かに、深みのあるものにしてくれると思います。そういった意味でも、科学に興味を抱くことは能力以上に重要なことだと考えます。

 オープンキャンパスの企画で「数学が苦手だ、でも宇宙が好きだから勉強したい」と言う女子高生に出会いました。なんて素晴らしいのだろうと思いました。科目そのものが多少苦手であっても、科学に対する興味や夢がそれを上回れば彼女たちは理系に進学するのです。わたしたちサイエンス・エンジェル(SA)のメンバーの中にも、「理系科目が苦手だったけれど、好きだから/やりたかったからここに来た」という人が何人もいます(かくいう私も、数学物理が苦手な人間です)。

オープンキャンパスfor女子高生の様子
出張セミナーで女子高生とグループトーク

 女の子がより理系に進学するように。つまりは女の子たちが科学に興味を持ち、その興味を継続し、大学で理系に進むという選択をするには、どうしたらいいのでしょうか。SAには何ができるのでしょうか。

子供たちのロールモデルに

 私は、そのひとつの答えが高校への出張セミナーや市民向けの科学イベントだと思っています。市民向けの科学イベントで、子供たちが楽しそうに実験している様子が印象的でした。小中学生の頃から、サイエンスへの興味を抱いてもらう機会をつくることがひとつめです。「なぜ?」「なに?」といった知的好奇心を呼び起こすような場を作り出すことが、まずは意義あることだと考えます。

市民向け化学イベントで子供たちと実験。紫キャベツの色素を使って酸とアルカリについて学びます

 子供の疑問は尽きることがありません。親御さんがその疑問に答えられなくなったとき、回答できる人間がいるというのは貴重なことです。そういった場を創設することは興味の維持・継続という観点から重要であると思います。

 そして、好きなことを仕事にしたいと思うこと、憧れの人と同じ職業につきたいと思うこと、これらは子供からするとごく当たり前のことだと思います。私は小学生の頃、某小学生名探偵マンガに出てくる女性弁護士さんに憧れて弁護士になろう!と思っていました。

 サイエンス好きな女の子たちが研究を仕事にしたい、あるいは学びたいと思ったとき、ノーベル賞受賞者も、テレビにでている偉い先生も、宇宙飛行士もエンジニアもだいたい男性であるという現実に直面します。数が少ないがゆえに、成功している女性研究者や、一般企業で働く理系職(技術職・研究職)の女性を、私たちは普段の生活で目にしにくいのです。つまり彼女たちがどうやって進学し、就職し、結婚し、生きているのかイメージする材料がない。

 もし仮に、科学に興味を抱き、それに伴う能力はあるのに理系に進まないことを選択する女の子たちがいるのなら、それは社会にとっても大きな損失なのではないでしょうか。

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 SAにできること、もうひとつはロールモデルとしての存在であるということです。よくわからない領域に足を踏み入れるのは、誰だって少し怖いものです。「理系って男の人ばっかりでしょ?」「大変そう」という声を高校生からよく聞きます。科学に興味を抱き、それを学びたいと思って進学してきた私たちの経験を、たくさんの高校生に伝えていけたらと思っています。怖がらなくていいんだよ、女子だって増えてきているよ、大変なこともあるけれどこんなに楽しいことができるんだよ、それを聞いて進学を志す子たちが増えてくれたら本望です。

 これを読んでいる皆さんは、何に興味を抱き、どんな選択をしてこられましたか? 私からひとつだけお願いしたいことがあります。みなさんが親となり子供と関わるようになったとき、どうか子供のやりたいことや興味のあることを応援してあげてください。科学イベントに連れてきてくれたら、なお嬉しいです。すべての子供たちが、心置きなく好きなことを学べる社会になったらいいな、というのが私の願いです。
(大澤沙優里)

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