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日本経済新聞「未来面」
学生からセブン&アイHD社長への提案
「日本のコンビニの良さを伝えよう」

日本経済新聞「未来面」学生からセブン&アイHD社長への提案「日本のコンビニの良さを伝えよう」

 日本経済新聞の未来面は、読者や企業トップの皆さんと課題を議論し、ともに作っていく紙面です。共通テーマは「革新力」です。今回はセブン&アイ・ホールディングス社長・井阪隆一さんからの「コンビニの未来の姿を考えてください」という課題について、学生の皆さんから多数のご投稿をいただきました。

 ここで紹介したのはほんの一部です。掲載できなかったアイデアを日経電子版の未来面サイトで紹介しています。

【課題編】「コンビニの未来の姿を考えてください」

井阪隆一・セブン&アイ・ホールディングス社長「イノベーションで需要創る」

 最近、新規に出店する「セブンイレブン」の標準的な店舗面積は約200平方メートルです。百貨店や大型スーパー、ショッピングセンターは数万、いや十数万平方メートルにもなります。そんな小さなお店ですが、約1万9000店舗を束ねるととても大きな力になります。1年間の総来店客数は約70億人、おにぎりの販売個数は約21億個、全店舗の売上高は4兆3000億円です。

井阪隆一・セブン&アイ・ホールディングス社長

 今回、読者の皆さんには、この小さな街のお店に、革新的な商品やサービスなどの新たなアイデアを吹き込んでもらいたいのです。お店を拠点として考えてもらっても構いません。駐車場やお店の屋根、配送のトラックなどの活用もありです。店舗にあるマルチコピー機はネットでチケット会社や自治体などとも結ばれています。

 コンビニ業界は、10年ほど前に飽和や成長の限界説がささやかれました。しかし、セブンイレブンは新たな商品やサービスを創造して成長を続け、乗り越えてきました。

 ブレークスルーが可能だったのはイノベーションがあったからです。例えば、セブンイレブンでは2000年代になってからセブン銀行を立ちあげました。金融機関の支店が減りつつあったころに、24時間いつでも現金の預け払いが可能で「お財布代わり」として利用者に支持されました。セブンプレミアムというプライベートブランド(PB)商品では、共働き世帯の増加などが進む中、時間や手間をかけずに料理できるおいしい食品や便利な商品を有力メーカーと組んで開発しており、売上高は1兆円を超えました。昨年からはグループが扱う商品をネット経由で注文してセブンイレブンの店頭で受け取れる「オムニチャネル」にも挑戦中です。

 かつてセブンイレブンに来店されるお客様の年齢層は20代の若い人が多かったのですが、今では50歳以上が最も多くなりました。セブンイレブンに求められる便利さが変わるのも当然です。読者の皆さんには、これからのセブンイレブンに求められる「便利さとは何か」について考えていただきたいのです。私たちは「近くて便利」という標語を掲げて、便利さの創造に取り組んでいます。皆さんと変わり続けるコンビニの便利さを追求して、より社会インフラや拠点としての役割を果たしていきたいと思います。
(日本経済新聞2016年12月5日付)

◇    ◇

【アイデア編】

アイデア001 家事代行で暮らしサポート
松浦 友佳利(産業能率大学経営学部3年、21歳)

 「近くて便利」を強みにして商品やサービスを提供してきたコンビニだが今ではスマートフォン1台で何でも手に入る便利な時代となった。そんな中でコンビニが次に求められているのは暮らしのサポートではないか。例えば、洗濯や買い物など家事の代行サービスだ。朝の通勤時に洗濯したいものをコンビニで手渡し、帰宅時に済んだものを受け取る。外出中には家事も代行してくれるため、消費者は時間を有効に使える。またお店に入ってもらう機会をつくることで、通勤時なら昼食、帰宅時なら夕飯のおかずなどの購入を促す。サービスを利用するついでの買い物、という感覚だ。このサービスは立地条件が大切で、コンビニの強みを有効活用できる。「近くて便利」な未来のコンビニは人々の暮らしに大きく役立つだろう。

アイデア002 日本にとどまらないコンビニの姿
阿部 友香梨(駒沢大学経営学部3年、20歳)

 私は将来、外国人観光客向けのコンビニができると考える。訪日外国人の数は年々増え続けており、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、政府も観光業に力を入れている。現在の日本のコンビニは日本人に合った食べ物や商品が置いてある。しかし、外国人が増えてもこのまま日本人向けの物ばかり置くのかというと、少し違う気がする。コンビニは近くて便利であることを強みとしているが、それは日本人だけでなく、訪日外国人にとっても同じだ。そこで、外国人向けの、各国の商品が置いてあったり、表記の仕方も数種類の言語で表現したり、日本のおすすめ観光地などの本も置いてあるようなコンビニを提案したい。外国人向けには作りますが、品ぞろえの良さや24時間営業しているといった点は日本と同様にして、日本のコンビニの良さを伝えていけたらと思う。

アイデア003 フードロスをゼロに
井上 千花(東京大学経済学部4年、21歳)

 コンビニには「ムダ」がある。特に大きいのは食品のムダだ。そこで私は未来のコンビニの姿として「早朝食堂」を提案する。具体的には早朝、賞味期限が切れる直前の食品をコンビニの裏口や近くの公園などで無償提供するのだ。まだ食べられる食べ物が一定時間が過ぎると「ごみ」にされてしまうのはとてももったいない。「捨ててしまうくらいならもらって食べたい」と思う人もいるだろう。賞味期限直前の食べ物も貧困層や早朝に帰宅する人などには需要があると考えた。コンビニも廃棄物処理のコストを削減できるだろう。企業の社会的責任(CSR)の点からも評価を得られるかもしれない。実行には課題も多いが、コンビニが既存の資産を有効活用することで社会に新たなメリットを生み出すことができると期待している。

アイデア004 レジなし、ゲートで自動精算
鳥羽 裕介(会社員、23歳)

 コンビニの未来はレジレスだ。コンビニが便利という原点は、狭い店内に所狭しと並べられた様々な種類の商品にある。この強みを最大限生かすには、陳列スペースを確保するため、レジのある場所を縮小する必要がある。私の考える未来のコンビニでは、お客が店内に入り、レジ袋に商品を入れながら買い物をする。出入り口のゲートを通れば自動で合計金額を計算し、ICカードで支払いを済ませるというしくみだ。これならお客が一度カゴに入れた商品を、店員がレジ袋に移し替える必要も無ければ、レジのスペース縮小にもなる。レジでの混雑も無くなりコンビニの人件費削減にもつながる。人口縮小社会では、必要最小限の人員で最大限の顧客満足度を引き出すべきだ。それがコンビニの未来の姿になる。

【講評】井阪隆一・セブン&アイ・ホールディングス社長

 読者の皆さんから大変多くのアイデアを投稿していただきました。「セブンイレブン」という小さなお店に対してさらなる期待や可能性を感じさせる内容のアイデアがたくさんあり、私たちは社会的使命を帯びた企業グループであることを改めて意識することができました。

 「レジなし、ゲートで自動精算」ですが、既に米アマゾン・ドット・コムが実験を始めていて、日本でもそうした店が登場するのは比較的近い将来かもしれません。このアイデアにはもう一つ重要な可能性があります。店に商品を納品する際にも活用できるからです。検品作業がなくなり、人手不足にも一役買うでしょう。

 「病院と連携、健康チェック拠点に」は生活動線にあるお店に気楽に立ち寄って健康チェックするというもの。実現すれば新たな価値創造になるはずです。医療機関や行政と連携すればより効果的なサービスになりますね。

 「家事代行で暮らしサポート」はまさにこれからもっと積極的に取り組まなくてはいけない課題です。「近くて便利」を掲げるセブン―イレブン・ジャパンとして、生活に必要な新たな拠点作りを目指します。
(日本経済新聞2016年12月26日付)

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