日本経済新聞 関連サイト

OK
[ skill up-自己成長 ]

会社見学へ行こう(13)JR東日本
「ハチ公のライバルが新宿に出現!?」

authored by 日経カレッジカフェ 
会社見学へ行こう(13) JR東日本「ハチ公のライバルが新宿に出現!?」

 日経カレッジカフェは11月30日、東日本旅客鉄道(JR東日本)の協力で東京・新宿の本社見学会を実施しました。参加した23人の学生は、こんなお題に挑戦します。「みなさんの柔らかいアタマでJR東日本のキャッチフレーズを考えてください」。どんな作品が飛び出したのでしょうか――。

 JR新宿駅の1日あたりの利用者は約75万人。2位以下の池袋、東京、横浜駅を大きく引き離し、ギネスブックに「世界一利用者の多い駅」として認定されています。新宿駅の南側がこの春、生まれ変わりました。日本最大の高速バスターミナル「バスタ新宿」や商業施設「NEWoMan(ニュウマン)」などを併せ持つ高層オフィスビル「JR新宿ミライナタワー」の開業です。

駅から街へ、プロジェクトが目白押し

 入社10年目の野崎雅哉さんはこの2年間、本社の事業創造本部でミライナタワーの開発プロジェクトにかかわりました。職場の同僚から「独創的」と評されるアイデアは、仙台や千葉の駅ナカ事業にも生かされています。

 「僕たちの仕事は、まちづくりのデベロッパーです」。野崎さんの言葉に何人もの学生が頷き、手元のメモ帳にペンを走らせました。都心のターミナル駅を中心にして、オフィスやファッションビル、ホテル、フィットネスクラブといった「生活サービス」のパーツをいくつも組み合わせ、人やモノ、情報の新たな流れをダイナミックに創り出そうというわけです。東京や品川、横浜、さいたま新都心駅......。2020年の東京五輪をにらみ、首都圏の大規模開発計画は目白押しです。

3月に開業したJR新宿ミライナタワー

 ミライナタワーのプロジェクトで、野崎さんは遊び心にあふれる小技を繰り出しました。JR東日本のICカード乗車券「Suica」のキャラクターでおなじみのペンギンのブロンズ像です。台座を合わせた高さは約2.5m。ミライナタワーと直結する新宿駅・新南口に誕生した歩行者広場で愛嬌を振りまいています。野崎さんいわく「ライバルは渋谷のハチ公」だとか。

 同じ事業創造本部で働く入社8年目の樋口正賢(まさよし)さんの仕事は地域活性化のプロジェクト。首都圏の大規模開発と同じように、JR東日本のグループ会社と二人三脚で展開しています。ちなみに、JR東日本の社員数は本体だけでも5万7000人を超えます。

 樋口さんの話は、てんこ盛りでした。「東北」のもの、「新潟」のものなど、ご当地の特産品を発掘し、上野や池袋、秋葉原など駅ナカの専門店「のもの」で大々的にPR。「首都圏から観光客を呼び込もう」と、多くの自治体や地方銀行がプロジェクトのパートナーに加わっているそうです。青森駅前の「A-FACTORY」は青森のリンゴを使うシードル(発泡性果実酒)の工房。「のもの1-2-3」と銘打ったものづくりの挑戦で、6次産業化に向けた最新の取り組みが福島の「JRとまとランドいわきファーム」。地域の生産農家と一緒にトマトを栽培し、首都圏の駅ナカなどで本格販売を始めました。

会議室での会社説明
新しい千葉駅が誕生(11月20日)

「無茶振り」への答えは?

 鉄道会社ならではの強みは物流や販売にとどまりません。「電車内に設置した液晶ディスプレーの電子広告や、駅構内の広告を上手に活用すれば、宣伝費を抑えられます」とは、樋口さんの弁。山手線や埼京線など電車の車内で流れる「旅立つトマト」のCM映像を見たことのある方は多いのではないでしょうか。

 お土産にと、樋口さんから配られた「おやつTIMES」は新ブランドの菓子シリーズ。各地の昔ながらのおやつを新食感のスイーツに仕上げ、おしゃれなパッケージに詰めました。製造元はご当地の業者。「地域の再発見」をうたい文句に首都圏の若い女性の心をつかんだストーリー性が評価され、今年のグッドデザイン賞に選ばれたばかりです。

お土産の「おやつTIMES」は地域活性化の新商品
JRのキャッチフレーズを1人ずつ発表

 ミライナタワーのオフィスフロアなどを案内してもらった学生たちは本社ビルの会議室に戻ります。この時点で見学会のスタートから3時間余り。最後のプログラムが、お題への挑戦でした。15分間でキャッチフレーズをまとめ、1人ずつ、その場で1分以内に発表する趣向です。

新宿駅・新南口「Suicaのペンギン広場」で記念撮影

 「すべての道は新宿に通ず」「コトづくりの始発駅」「十駅十色」――。力作ぞろいでした。「地域」や「未来」、「まち」などをキーワードに「つなげる」「支える」「創る」といった動詞を組み合わせるなど、学生らしい発想が随所に光りました。司会進行役を務めた事業創造本部の大谷秀美さんは「無茶振りにもかかわらず、素晴らしい発表をありがとうございます」と、学生たちに賛辞を贈りました。

 「良い意味で鉄道会社の企業イメージを変えたいと、頑張っています」。大谷さんの言葉は、事業創造本部で働く人たち、いや、グループ全体の思いなのかもしれません。

「日経College Cafe」のお勧め記事はこちら>>