日本経済新聞 関連サイト

OK
[ career-働き方 ]

リアルタイム就活ストーリー(1)インターンVS学内セミナー
就活開始、勝つのはどっち?

西山昭彦 authored by 西山昭彦一橋大学特任教授
リアルタイム就活ストーリー(1) インターンVS学内セミナー就活開始、勝つのはどっち?

 3年生はまもなく就活の季節。大手のエントリー解禁は3月1日だが、既にインターンや学内セミナーのような準備は本格的に始まっている。今回からとある大学の2人の3年生、就一と活子の就活を同時進行で追っていきたい。2人は果たして納得のいく内定を得られるのだろうか?

就一、インターンシップにはまる

 就一は夏以降、もうインターンに4社も行っている。はまっているといってもいい。初めはESで落ちたが、都内の私立高校時代の先輩で、有名企業に内定している4年生に見てもらって(内緒だが、ほとんど代筆)からESは通りやすくなり、勢いがついた。話すのは得意なので、面接も突破できた。「なんだ、たいしたことないじゃないか」。インターンに受かると、本選考も受かるような気になり、気持ちも昂ってくる。業界は一切関係なく、有名企業だけをねらう。人に自慢できない内定なんて、耐えられない。

 参加して人事の人に顔を覚えてもらえると、うれしくなる。「俺は背が高いので目立つから得だな」。インターン経由の内定へのショートコースがあると先輩も言っていたので、参加している間は高得点を得るよう点数稼ぎに努めている。

 その結果、1社からインターンのフォローの会に呼ばれ、豪華な夕食をごちそうになった。「第一志望でないけど、いいのかなあ」と思ったものの、食事につられて参加。おいしい。社会人ていつもこんなの食べてるのかな。1回食べたら、次からためらいはなくなった。もう1社は、2月に上級インターンシップがあると誘われた。「あの時の仲間から何人が選ばれたのかなあ」。

 4社行って2社は俺を買ってくれた。他の学生にも差をつけた。幸先いいぞ。もっとインターンを申し込もう。12月の寒さも全く感じなくなった。

活子、学生説明会に参加

 地方出身の活子はバイトで忙しいが、授業はほとんど欠席なしだ。12月からいよいよ学内での業界研究セミナーが始まったので、早速参加している。「3月1日以前は採用のことは一切話さない」と説明があった。それを聞きたいのにー。

 でもそもそも、私がよく知っている業界なんてほとんどない。このままじゃ怖くて就活できない。「私でもやっていける業界はあるのかな」と、小心者の活子は週2回のセミナーに毎回出ている。

 授業で座る席はだいたい決まっている。左の真ん中より少し前が好み。そこだと、スライドがよく見えるし、寝ても目立たない。「なんで皆ここに座らないんだろう」といつも思う。セミナーには少し早く行って、シートを探す。授業よりは寝ないはず(でも、この間は説明がつまらないので爆睡。ごめんなさい)なので、いつもより4列前にした。とにかく、多くの業界の説明を聞いてみたいので、個別の会社のインターンにはまだ応募していない。あせりもあるけど、正直どこを志望していいかわからないのだ。

 みな、有名企業、人気の会社ばかりに目が行っているけど、「ES3万枚で内定は200名」だって。そんな倍率では自分が受かるはずがないと思ってしまう。みんな、なんで受かる気になっているのか不思議だ。

 私はまずはどことは絞らずに、いろいろな業界や仕事の中身の話を聞くようにしている。そして、それぞれの業界や会社で自分がどんな力を発揮できそうかをノートに整理している。大学の成績はよくないけど、いつもノートだけはよくとっているのは、やっぱり小心だからかも。

 昨日セミナーを終えて帰る頃には、外は真っ暗。「まだ一社も接触してない。私、ほんとにどこか入れるのかな」。思わず背中がぞくっとする。年末は心に重い荷物を抱えたまま帰省することになりそうだ。
(2016年12月26日現在)

「日経College Cafe」のお勧め記事はこちら>>