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[ skill up-自己成長 ]

島キャンリポート(18)自分の力不足を実感した島おこし体験

authored by 島キャン
島キャンリポート(18) 自分の力不足を実感した島おこし体験

 はじめまして! 関西大学法学部法学政治学科3年の玉橋唱平(たまはし・しょうへい)と申します!! 私はこの夏、株式会社カケハシスカイソリューションズさんが主催している何やら面白そうな長期インターンシップ、"島キャン"に参加してきました。離島へ行って学生の力で地域創生をしてみようというもので、そのなかでも私は鹿児島県奄美大島に行ってまいりました。そこで出会ったもの、感じたことについて書かせていただきます。

日本全体をより熱くしたい

 島キャンへの参加動機は私の夢に関係あります。私の夢は日本をより熱くすることです。局地的ではなく、日本全体を熱くしたいということで手段として地方創生に興味があったのと、奄美大島が高校生のときに行った思い入れ深い場所だったので、あの魅力的な場所を自分の中で終わらせるのではなく他の人にも知ってもらいと思ったからです。ざっくり言えば、奄美大島に飛び込んで日本をより熱くする最初の一歩にしようと考えました。

奄美大島の魅力を写真に収めようと中腰になっている筆者(左)。集中しているときは他を寄せ付けない空気がある

 島おこしはできたか。結論から言うとできませんでした。というより、力不足だったという表現の方が正しいかもしれません。なぜなら私にはまだまだ情報発信力がないため、目に見えて島をおこせたなという実感がないからです。学生が2週間奄美大島に住み、働き、発信する。これで島おこしができてしまうのであれば、今頃日本の離島はとても栄えていることでしょう。島おこしはそんなに簡単なものではありませんでした。

 しかし旅行者でもない、在住者でもないただの学生だからできたこともありました。それは若い人もお年寄りも含めて島の人の声を聞くということと、島の人に改めて奄美大島の魅力を気付かせるということです。例えば若い人は島から出て行きたいがお年寄りは島に残ってほしいという気持ちがあります。

 お互いに言いにくいその間を、私はうまくパイプ役として機能し、客観的な目を持って相談に乗りました。また島の人は綺麗な海を当たり前のように享受しているせいで、その美しさに気付かずにいました。だから逆に新参者の私が島の魅力を延々と語ったりもしました。島に来て学び学ばせ、私にまだ力はないけれど、奄美大島以外にも日本にまだ眠るたくさんの魅力に出会って発信したいと思えるような感覚、つまり、地域創生をしたくなるようなきっかけをこの島キャンでつかみました。島をおこす前に自分がおこされてしまった感覚です。

我が海洋展示館のアイドルうみがめちゃんたちに餌をあげている様子です。一般人の方でも餌やり体験ができますよ。いつでも大人気!魚たちもレタス食べます

周囲の人をおこすには

 島キャンが終わってから改めて感じたことがあります。それは大きいことを達成しようとする時には一人では限界があるということです。私は奄美大島から帰ってきて「沖縄楽しそうやったね。」と何人にも言われました。日本の綺麗な海の写真=沖縄なのです。「いや奄美大島だから鹿児島県なんだよ!?」と言っても、大抵の人は「ふーん」と興味を持つ前に会話が終わってしまいます。この熱量の差が私は辛く感じました。私は奄美大島の魅力について声を大にして言いたいのに、この浸透しいない状況がもどかしく感じました。みんなこの夏に沖縄の綺麗な海の写真をSNSでアップしてたのに、同じくらい綺麗な海がある奄美大島は知らないのかと歯がゆく感じました。

 と同時に、この島キャンでの自分の情報発信力・影響力のなさに、まだまだだなと実感しました。実際に行動した者と行動してない者のその地域に対する思いの熱量は違うと思います。では行動させるにはどうすればいいか。自発的に奄美大島に行きたいという気にさせないといけない。島のことを知ってもらわないことにはどうしようもない。ということは、一人で発信するよりもたくさんの人が発信したほうが、より多くの人を巻き込みムーブメントを起こせると、私は改めて気づきました。政府の推進もあり、日本全体がいま地域創生の波が来ています。このまま波を起こし続け、島キャンに限らず地方創生を行おうとする行事に参加する人たちが増えてほしいと願うばかりです。

 さらに言えば島の人たち自身の島おこしスイッチをもっと稼働させるべきであったと感じました。いくらこちらが駆け寄ろうとも、島の人たち自身に島を起こす気がなければ空回りに終わってしまいます。誰もが地域創生の必要性に気付き、危機感を持たないと物事は進まないと思います。ただ、それらをうまく統括して進めるとなると、まだまだ時間がかかりそうです。

ウッチーさん(右)と筆者(左)。「しょうへ~い!!ちょっとこっち手伝え~!」と呼ばれた日々が懐かしいです

恩師との出会い

 私は奄美大島では奄美海洋展示館という水族館で働いていました。そこではもちろん海洋生物の展示を行っているのですが、近くの海岸でバーベキューの営業も合わせて行っています。人手が足りないときは私もテントの設置などの手伝いに行きました。そのバーベキューの営業所に私の奄美での恩師はいました。

 ずばり熱い男ウッチーさん。何年か前までバリバリのビジネスマンだったそうですが、子育てを機に奄美へ移住されたそうです。私が島おこしとして何をやればいいかを悩んでいるときに、ウッチーさんは「誰も来たばっかりのお前に地域創生なんて求めねえよ。ただのきっかけでいいじゃん。学ぶことは学んで、この2週間過ごしたらいいんだよ」と言ってくれました。

 私はとても気が楽になりました。と同時に自分の過信に気がつき、自分の力でまずやれることをやろう。大きいことを考えるのは小さいことができてからにしようと決めました。まず指示された業務を確実にやろうと、事業先では展示が見えやすくするために水槽のレイアウトの配置を変えたり、自分が使っているSNSで奄美大島のことや奄美海洋展示館のことをわかりやすく発信したりなどをしていました。すると、ウッチーさん以外の事業所の方が「玉橋君一生懸命頑張ってくれてるから、うちの広報大使に任命します!」と言ってくださり、2回もブログの記事を書かせていただきました。その記事も奄美大島で有名なしーまブログさんにシェアしていただき、たくさんの方の目に止まるとても貴重な体験ができました。

まさかの休日に島を巡っている際に出会った、鹿児島県・三反園知事(右)。勇気を出して写真の許可をとるも緊張しすぎて筆者(左)の顔は固くさらに知事は半目である

 もう一つ、ウッチーさんに言われたことですごく胸に残っているのは「他人と比べず自分を見ろ。お前の人生を生きたらいいんだよ。お前がしたいことをして生きていけ。自分の生きていく道のなかに後悔だけはするなよ」という言葉です。この言葉通りウッチーさんは奄美大島に移住してきたことを全然後悔していませんでした。「人の営みなんてどこでやろうが本質的には一緒。大なり小なり社会に貢献できてたらいいんだよ」。ウッチーさん素敵すぎました。

 私は大の負けず嫌いで、なんにでも他人と張り合うような人生を送ってきました。しかし、このウッチーさんの言葉や奄美大島の島の人の大らかさに自分が入っていくうちに、他人と比較して生きている自分がばからしくなりました。競うということは自分を高める上で悪いことではないですが、そればかりしていると張り合う相手がいなくなったときに自分の人生を振り返ると寂しいものになるのではないかと考えさせられました。

これからの思い

 島キャンを通して得たものはたくさんあります。島の人や島料理、自然、どれをとっても素敵です。いま生きている環境と違う環境に身を置いてみるのも新たな発見があると思います。島キャンは島をおこす。自分をおこす。最終目標は他人をおこすことにあると思います。行動することを恐れない。これを忘れないで生きていきたいです。

玉橋唱平(たまはし・しょうへい) 関西大学法学部3年。2016年夏の島キャン生。奄美大島では奄美海洋展示館という水族館に就業した。島キャンを通して日本をより熱くしたいという気持ちがより熱くなった熱い男である。大学では劇サークルに所属し、主役を演じたり台本を書いたり絶賛大学生生活を謳歌している。
【島おこしインターンシップ「島キャン」】
離島での就業体験をしながら、離島の島おこし・地域活性化に貢献する新しいかたちのインターンシップ企画。
http://www.shimacam.com/index.php

事業所(奄美海洋展示館)近くの大浜海岸での1枚。良いカメラを持ったお父さんたちが集まる名スポットである