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「日経TEST」が選んだ
2017年注目の経済日程

「日経TEST」が選んだ2017年注目の経済日程

 2017年が始まりました。新年会などの年始のあいさつでは、干支(えと)にちなんだ「相場格言」がよく引用されます。2016年は「申(さる)年は騒ぐ(相場が大きく動く)」。その通りの年になりました。酉(とり)年の2017年はどうかというと、格言では申年とセットで「申酉(さるとり)騒ぐ」といいます。つまり、「酉年も騒ぐ」。格言で改めて身構えるまでもなく、波乱要因が満載ですが、ビジネスのヒントになるトピックスも目立つ年です。

 日本経済新聞社は毎年6月と11月に、ビジネスパーソンの「経済知力」を測る「日経TEST」(日経経済知力テスト)を実施しています。同TESTの事務局が日経TESTにチャレンジする方向けに、「経済知力アップのための、経済関連予定の読み方」を、日本経済新聞掲載の情報に基づきまとめました。手っ取り早く2017年のビジネス関連日程をつかみたいビジネスパーソンや就活を控えた学生にも役立つと思いますので、以下ご紹介します。

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トランプ米大統領が就任 仏独で選挙 中国では共産党大会

 まず押さえておきたいのは、欧州の選挙日程です。4~5月のフランス大統領選挙、9月のドイツ連邦議会選挙で、2016年からの「反グローバル化」「ポピュリズム(大衆迎合主義)」勝利の流れが続くかどうかは、今後の世界経済にも大きく影響します。それぞれの情勢は日本経済新聞紙上で詳しく解説されていると思うので省きますが、とりあえずこの「節目となる日程」を頭に入れておくと、関連するニュースが頭に入りやすくなるはずです。

ニューヨークのトランプ氏の自宅で会談を前に握手する安倍首相とトランプ氏=内閣広報室提供

 1月20日、トランプ米大統領が正式に就任します。法人税の巨額減税やインフラ投資を柱とする経済再生策を100日間で断行するという「100日計画」が既に発表されています。「就任初日に実行する」としている環太平洋経済連携協定(TPP)脱退、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉なども気になりますが、法人減税が実行に移されるかなど、節目の100日(4月30日)も注目されるタイミングです。

 中国では5年ごとに開かれる共産党大会で習近平体制が2期目(~2022年)に入ります。韓国・朴槿恵(パク・クネ)大統領の退陣時期は流動的。アジアのサプライチェーンの要として4500社以上の日本企業が集積するタイでは、プミポン前国王死去後の喪が明け、ワチラロンコン新国王が即位しました。年末には総選挙が予定されています。

トランプ政策、米金利引き上げ 日本経済への「追い風」は続くか

 日本の株価上昇は年明け、当面続きそうです。米国の年金基金など海外の機関投資家がまとまった資金を再び日本株に投資し始めていることが、その根拠です。日本株見直しの背景にあるのは、他の先進国に比べた日本の政治の安定。安倍晋三首相の在職日数は戦後第4位の長期政権となり、自民党は総裁任期を「連続3期9年」に延長することも決めています。

 日本の輸出産業に追い風である「円安」も続く基調です。米連邦準備理事会(FRB)が2016年12月13~14日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりに利上げ(短期金利の誘導目標を年0.25~0.50%から0.50~0.75%に)を決めました。2017年も「年3回」の利上げが想定されています。米国は金利を上げ、日本は短期金利をマイナス・長期金利(10年物の国債の金利)を「ゼロ%」に誘導する金融政策をとっているため、日米の金利差が開き、円安になる構図です。

 とはいえ「米国の製造業の競争力」も重視するのがトランプ次期大統領の政策であれば、「ドル高」でなく「ドル安」を目指すはず。実際、人民元安が続く中国に対しては「就任初日に為替操作国に認定する」とも述べています。選挙期間中に発言していたような過激な保護主義の面が政策に反映されるようになると、追い風が向かい風に一転するリスクもはらみます。

 米金利の引き上げが続けば、新興国からの資金流出の懸念も高まります。景気が低迷するインドネシアの中央銀行は2016年に入って6回も金利を下げていましたが、米金利上げ後の12月は利下げを見送りました。同国へ投資された海外の資金が、金利の高いドルに向かうのを警戒する動きです。欧州の選挙結果ももちろん、「リスク回避で円高」に向かう要因になります。

政治ニュースは「スケジュール」 産業ニュースは「背景」に注目

政治は国会日程など「スケジュール」を軸に動く

 「国内」に目を転じます。1月の最初に「通常国会召集」とあります。国会とビジネスは一見、結びつきにくいのですが、よくニュースに登場する「通常国会」「臨時国会」について、この機会に知識を整理しておきましょう。

 通常国会は1月に召集され、会期は150日。政府が例年、年末に決定する予算案などを審議します。臨時国会は通常国会で成立しなかった法案や補正予算案などを審議する場で、最近は9~10月ごろ召集されています。直近では事業規模28兆円の補正予算やカジノを含む統合型リゾート(IR)整備推進法(カジノ法)などが成立し、年末閉幕したのが臨時国会です。2017年秋の臨時国会では、「同一労働同一賃金」に関する労働契約法などの改正が焦点になるはずです。

 以上を整理しておくと、「衆院の解散・総選挙」が年内に行われる可能性についてのニュースも理解しやすくなると思います。衆院を「解散」できるのは原則、国会を開いている間なので、1月の通常国会を何日から開くかの日程設定は重要な情報です。ここで解散がなければ、「秋の臨時国会」が次のタイミングです。また、与野党が対立する法案がある場合は、最近の「カジノ法案」のように「会期延長」を巡る駆け引きがあります。政治はこうした「スケジュール」を軸に動いているものです。

 税制改正で、7月からビットコインなどインターネット上で流通する仮想通貨を購入する際にかかる消費税がなくなります。これまで仮想通貨には法的な規定がありませんでしたが、プリペイドカードや商品券と同じ「支払い手段」として位置づけました。国際送金などで利用が広がっており、フィンテック(金融とITの融合)の重要な動きです。

 産業ニュースでは、4月のコカ・コーラウエストとコカ・コーライーストジャパンの統合、石油元売り最大手のJXホールディングスと同3位の東燃ゼネラル石油の経営統合はいずれも、国内人口縮小を背景とした動きです。海運大手3社のコンテナ事業統合は、世界経済の成長鈍化のほか、各国の企業が消費地の近くで生産する立地戦略を進めたことによる「貿易の構造変化」も映すものです。

 「人手不足」を背景にした企業の対応にも引き続き、要注目です。ファミリーレストラン最大手のすかいらーくが、「ガスト」など24時間営業をしている店舗の約7割にあたる約310店の営業時間を2017年4月までに原則、午前2時閉店に変更すると発表しました。若年層の人口減少に加え、「働き方改革」も影響しています。「人手不足」という制約が強まると、低いと指摘される日本のサービス産業の労働生産性の向上に工夫を凝らす動きが活発になります。

「iPhone10年」とポストスマホ 先端テクノロジーは「宇宙」が話題に

故スティーブ・ジョブズ氏

 「内外イベント・話題」欄の冒頭にあるのが、「iPhone発表から10年」。2007年1月9日に米国で開催された「マックワールド 2007」で故スティーブ・ジョブズ氏が「アップルが電話を再発明する」とプレゼンテーションし、同年6月に米国で発売された「iPhone」は、最近の「シェアリングエコノミー」や「フィンテック」など新しい経済の起点として、大きな役割を果たしました。

 iPhoneをはじめとするスマートフォン(スマホ)はこの10年、世界のIT(情報技術)産業をけん引しましたが、普及が一巡し、ポストスマホとして2015年はウエアラブル端末など、2016年は仮想現実(VR)、拡張現実(AR)製品が脚光を浴びてきました。昨年大ヒットしたスマホ向けゲーム、「ポケモンGO」は入り口で、これからVR、ARの大きな市場が生まれるという予測があります。

 そのほか2017年に話題になりそうな「モノ・コト」をピックアップしましたが、ロボットに関連するものが目立ちます。2016年に話題となった製品に、シャープのロボット型携帯電話「ロボホン」がありました。同社は、話しかけると家電製品の調節など「執事」機能を果たす会話ロボット「ホームアシスタント」を17年前半、発売します。

 先端テクノロジーでは「宇宙」をテーマにした企業の動きも目立ってきます。米国では電気自動車テスラモーターズの創業者、イーロン・マスク氏の「スペースX」が宇宙ビジネスを展開していますが、日本でも「宇宙ビジネス」に関連する動きが既に活発です。

 1月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が人工衛星を載せる世界最小の「ミニロケット」を打ち上げます。この計画にキヤノングループが制御機器の開発に初めて参画することは、2016年12月2日付の日本経済新聞の1面トップ記事で報じられました。米グーグルがスポンサーとなり実施している月面探査の賞金レース「Google Lunar XPRIZE」は2017年末が期限で、日本の民間チーム「HAKUTO」が参加するプロジェクトが進んでおり、KDDIが支援しています。

 5~6月にJR東日本、JR西日本が相次いで豪華寝台列車を運行することは、「コト消費」や「シニア消費」にかかわる定番の話題です。また、2月からは政府や経団連などが旗を振って、月末の最終金曜日を午後3時終業にするキャンペーン「プレミアムフライデー」の取り組みも始まります。

「周年」にも注目

 「iPhone10年」もそうですが、「周年」は、モノ・コトの消費につながるきっかけにもなります。2016年は「モーツァルト生誕260周年(没後225年)」でしたが、ヒットチャートで有名な米ビルボードのランキングのウェブサイトによると、「2016年に米国で最も売れたCD」は、現在活躍するアーティストの作品でなく、モーツァルトの没後225年にちなんだボックスセット「モーツァルト225」でした。「CD」の売り上げ自体が大幅に減少していることもありますが、興味深い動きです。

 2017年2月は夏目漱石の生誕150周年、秋には東京都新宿区に記念館がオープンします。2016年の「没後100年」でも既にブームとなり、2016年12月には漱石の姿を再現した人型ロボット(アンドロイド)を二松学舎大学と大阪大学が開発した話題もありました。ちなみに新潮文庫の中で最も売れているのは漱石の「こころ」で700万部超、漱石作品17冊で計3000万部を超えるそうです。

 やや脱線しましたが、このように年間予定を眺めると、テーマごとに経済や産業がどのように動くのか、興味がわいてくるはずです。

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 日経TESTは「生きた経済」を題材に、経済知力(ビジネス思考力)を試す能力テストで、日々の経済ニュースへの感度を高めることがこの知力を高めます。興味を持たれた方は「日経TEST」のサイトも訪れてみてください。
[日経電子版2017年1月3日付]

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