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ジュリアード@NYからの手紙(5)ボスキャリレポート(下)
企業側から見て分かった就活攻略のヒント

廣津留すみれ authored by 廣津留すみれ米ジュリアード音楽院1年生
ジュリアード@NYからの手紙(5) ボスキャリレポート(下)企業側から見て分かった就活攻略のヒント

 前回に続いてボストンキャリアフォーラム(ボスキャリ)リポートです。さて、この熾烈な3日間の就活イベントでどうすれば内定を取れるのか? ブースに3日間立ち続けて、内定をゲットした人たちの話から分析する、成功する人の印象と、良い印象を残すコツをお伝えします(あくまでも筆者個人の見解です)。

1.基本のき 履歴書は手書きよりもタイプ

 まずは履歴書についてです。よほど腕に自信がある方以外は、手書きよりもタイプのほうが見やすいです。限られたスペースに詰め込んである小さな字や斜めな字を読むのは時間も労力もかかりますし、タイプの方が構成も綺麗に仕上がります。手書きと指定されている企業以外には、大量の履歴書をさばかなければいけない企業側の気持ちを考えると、タイプでの提出がおすすめです。

 そして顔写真は必須です。いくらたくさんの学生がブースに来るとはいえ、説明会で良い質問をした学生や説明会後にわざわざ話しに来た好印象の学生の顔は大抵覚えています。しかし、その場では履歴書を提出するだけで、忙しい企業側は後から履歴書のみ見ることが多いです。その場合、せっかく現場で好印象を残したものの、名前がわからずに「あの熱心な子誰だったっけ」と見送られることになるかもしれません。

2016年度で30周年を迎えたボストンキャリアフォーラム

 もちろん、アメリカの就活では外見や人種などで採用を決定することは禁止されているため、写真を貼ることはありません。しばらくアメリカで学んでいる方は「履歴書に写真貼るなんて、こっちの文化では聞いたことないし」と思ってしまうかもしれません......が、ここは日本の文化に従っておきましょう。悪いことはないと思います。

 上記の理由から、残していく履歴書に顔写真をつけることで確実に採用の可能性が高まります(ただし、ブースでの印象が薄い場合には顔写真の効果はありません。あくまでも、就活は人と人の間のマッチングなので、企業の方への質問や、興味があるポジションや分野についての会話を忘れないように!)。

 また、日本語版と英語版両方の履歴書を準備しましょう。多くの日系企業は日本語版で良いですが、英語版が必要になる場面も少なくありません。英語で resume template example などのキーワードで検索すればテンプレートがたくさんでてくるので、フォーマットを真似して書きましょう。英語では履歴書特有の言い回しもあるため、一度ネイティブチェックを入れることをおすすめします。

 最後に、連絡先の欄にメールアドレスを書くのを忘れないようにしましょう。特にボスキャリは海外ですので、連絡手段として電話よりメールを使う場合も多いです。

インタビュールームが並ぶ会場

2.徹底的なリサーチ ここに惹かれたので採って!

 ボスキャリに来る前に、興味のある企業をピックアップしてリサーチを徹底しましょう。ボスキャリに来るおよそ200社のうち、きっと自分の興味のある業界は、どう多く見積もっても50社ほどだと思います。これ以上増やすと、フォーカスが定まらず、半端に終わってしまいます。その50社なら50社、10社なら10社のことを調べて臨むだけで、他の参加者よりも一枚上手になることができます。

 企業側からすれば当然、「あなたのことを知らないので、とりあえず教えてください」という学生よりも「あなたのこことここに惹かれたので採ってください」という学生に目が行きます。自明の理ですね。しかし、ボスキャリはウォークインという文化のためか、全く企業のことを知らずにブースに来る学生が多いので、その当たり前のことをするだけで、頭一つ分リードすることができるのです。「リサーチって何?」という方は、ぜひ以下を調べてください。

・何をつくっているのか
・企業理念
・社長や役員がどういう人か
・国内や海外での展開(なぜボスキャリに採用に来ているのか?)

 だいたいどの企業のページにも下部に小さく「企業情報」というリンクがついており、そのページを見るだけでも重要な情報を手に入れることができます。

 さらに、頭二つ分抜けたい方は、カバーレターをつけましょう。カバーレターとはいわゆる志望理由書みたいなもので、なぜその企業か、なぜ自分がその職に適しているか、とアピールするものです。海外でのリクルーティングは履歴書と共にカバーレターを要求されることがほとんどですが、相手が日系であっても効果的なのは間違いありません。履歴書とは違い、その企業にどれだけ熱意を持っているかをこちらから示すことができるからです。これは企業ごとに異なるものが必要なので、本命の企業用に準備して履歴書と一緒に提出することをおすすめします。

スーツに身を包んだ日本人学生で埋まる会場

3.心構え 「態度・振る舞い」を大切に

 人というのは不思議なもので、不安要素があると隠そうとどう頑張っても顔や動作にでてしまいます。「せっかくボストンまで来たのに3日間で内定がでなかったら」「親に何と言われるだろう」「一緒に来た子はもう内定が出てる」「面接でつまったらどうしよう」と、心配事を考え出すと負のループに陥ってしまい、他人と目を合わせづらくなったり、声や手が震えたりしてしまいます。そうなると、企業側から見ても、この子は自信がないのかな、採用して大丈夫だろうか、と思ってしまいます。

 良い第一印象を与えるのに何よりも大事なのは就活スーツの色や髪型ではありません。「態度・振る舞い」です。まずは、自分に自信を持つことが何より大切です。自分の脳内でいくら心配をしたところで、何の解決にもなりません。「皆があなたのように自信が持てるわけではないです」と時々言われることがあるのですが、自信は、正しいステップを踏めば誰にでもつくれるものだと思います。自信に必要なステップは「周到な準備」と「平常心」です。

 私は音楽のオーディションの前には必ず立ち止まって深呼吸をして、「今日は私が主役で、周りはみんなオーディエンスだ」と頭の中で唱えます。就活もオーディションと同じだと思います。事前準備をちゃんとして、自分より企業にふさわしい人などいない、と落ち着いたどっしりとした態度で臨み、話す時や履歴書を渡す時にはしっかりと相手の目を見るようにしましょう。

4.シミュレーション 会場に入るところから出るまでを

 さて、キャリアフォーラム前日になりました。上記3つは完璧、もう何もやることがない!という人は、頭の中で当日のシミュレーションをしましょう。これも私はコンサート前に必ずするものですが、舞台袖からステージに上がり、演奏を終えて舞台袖に帰るまでの一連の流れを頭の中で再生します。これをすることで、当日その場面が来た時に、脳がなぜか既視感を覚え、緊張がほぐれます。就活も同じことです。会場に踏み入れるところから説明会や面接官とのお話、会場を出るまでの流れをシミュレーションしてみてください。

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ボスキャリレポート・就活攻略法、いかがだったでしょうか。最後になりますが、就活というのは人生の1ステップにすぎません。学生が同じ服を着て全国一斉に就活を始める国は日本くらいですし、就活に失敗したからといって、道が閉ざされるわけではありません。むしろ、企業に選んでもらえなかったことで、自分の力で新しい道を拓くチャンスが巡ってきた、と逆に幸運に思える時代が来ているのかもしれません。