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アサヒ会員サイト
「楽しみ」訴求で購入1割増

アサヒ会員サイト「楽しみ」訴求で購入1割増

 アサヒビールが2015年3月に開設した会員サイト「アサヒパーク」が人気だ。「お酒を楽しむ」という切り口でレシピやクイズなどを用意。キャンペーンやインターネット通販とは自然な形で連携させた。従来、食品メーカーのサイトは商品紹介が主だったが、キュレーションサイトのようにコンテンツを中心に据えることで、消費者集めに成功している。

 「ちくわの穴につめたらうまいもの決定戦」。16年夏、アサヒパークではそんなおつまみの人気投票を実施した。チーズや梅キュウリなど50種類を、会員に「おいしそう」や「まあまあ」などと評価してもらうものだ。ちくわ芸人、ちくわまんさんを起用したインタビュー記事も反響を呼んだ。

 これまで食品メーカーなどのサイトは、商品やブランドの紹介に終始することが多かった。ただ、すでに商品などの認知がある人しかサイトを訪れないため、新たな顧客が開拓しにくい。キャンペーンなどで一時的に顧客を獲得しても定着しにくいのも課題だった。

 アサヒパークでは、そんな商品を起点とする考えを見直した。まずコンテンツを楽しんでもらってサイトを回遊してもらい、そこから新商品の情報やキャンペーンなどに誘導していく流れに変えた。「コンテンツで引き付けられれば、サイトからの離脱も抑えられる」(デジタルマーケティング部の尾関博次長)との考えもあった。

アサヒパークは、レシピなどのコンテンツが主体だ

 サイトは、ネット上の情報をまとめるキュレーションサイトを意識し、コンテンツをパネルのように並べた。コンテンツそのものも変えた。従来、レシピなどは主婦らが閲覧することを前提にしていたが、「お酒のアテ」の紹介という切り口で男性も興味がわくようにした。ちくわの人気投票もその一環だ。

 キャンペーンや商品・ブランドは、自然な形で登場する。例えば、「ワインに合うおつまみ」というコーナーでは、商品はレシピの横で紹介される。それでも商品サイトの閲覧者は増えた。コンテンツを閲覧すると、キャンペーンなどに応募できるポイントがたまる仕組みも、利用者の回遊を活発にしている。

 今年に入り、通販サイトとの連携も始めた。店頭では詳しい商品の説明は難しい。特にグラスなどの景品を付けた商品の場合は、使い方もアピールできる。今後、ネット通販限定の景品を増やすことも検討している。

 現在、会員は数十万人にのぼる。グループのサイト全体のページビュー(PV)は、アサヒパークの開設前に比べて2.5倍に。同社の調査では、会員のアサヒビール商品の購入状況は1年間で1割以上も伸びたという。尾関次長は「関心がそもそもある人も、よりファンになってもらえている」と分析している。

 今後は、会員の属性を絞り込んだマーケティングも検討する。登録に必要な性別や生年月日、在住地域などを活用して、ネット通販などでその人に合ったお薦めの商品を表示したりする。会員同士がやりとりするコミュニティーからくみとった消費者のニーズを、コンテンツづくりにも役立てる方針だ。

 自社のサイトで販促活動する「オウンドメディア」は、食品メーカーでは先駆けの日本コカ・コーラが撤退、アプリに切り替える方針を打ち出すなど転機ともいえる。交流サイト(SNS)などが普及するなか、キュレーションサイトのような形のオウンドメディアが1つの解となるかは注目だ。
(名古屋和希)[日経MJ2016年10月26日付、日経電子版から転載]

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